【特集】QLD州教育制度の新教育制度 今知っておくべき基礎知識 教育特集②


QLD州政府は、シニア・スクールにおける大学及び高等教育へ進学するための新しい評価システムの導入を、2019年時点でイヤー11を迎える学年から開始することを2年前に発表した。現在、実施へ向けて各学校においても随時説明会が開かれ、この新評価システムに対応すべく準備が進行中である。では、現在の内容と何が変わり、どのように違うのか、具体的に見てみよう。文=堀千佐子、下図の素材画像=Freepik

2019年時イヤー11からの開始

2015年に決定されたシニア・スクールにおける大学及び高等教育へ進学するための新しい評価システムの導入は、過去40年以上にわたるQLD州の教育制度の歴史の中で、最も大きな改正だとされている。この背景には、1980年代初めに始まった現在のアセスメント(評価テスト)の方法と92年に導入された進学コースを決める「オーバーオール・ポジション(以下、OP)」が、分野別に科目の細分化が進んでいる現状に今後適応できないこと、そして21世紀を担う子どもたちの将来を決定付ける大切なポジション確定にも、もっと細かなランク付けが必要であるという判断があったためだ。

この新しい評価システムは2019年にイヤー11になる学年から適用され、この生徒たちが初めて新システムの下でイヤー12を卒業する学年となる。

この新しい成績評価の導入に当たって、現行の内容と以下の2つの点で大きく異なる。

1. 学校による学校ベースのアセスメントの他に、クイーンズランド・カリキュラム・アンド・アセスメント・オーソリティー(以下、QCAA)によって作成・評価される学校外のアセスメントが加わる。

2. クイーンズランド・コア・スキルズ・テスト(通称:QCS)がなくなり、OPが廃止される代わりに、「オーストラリアン・ターシャリー・アドミッション・ランク(以下、ATAR)」が適用される。これは現在、他の全ての州都で採用されている。

では、上記の新アセスメントの形態とATARの適用について具体的に見ていこう。

新アセスメントの形態について

新しいシニア・アセスメントのシステムでは、それぞれの科目に付き4つのアサインメントを終えて、各科目の最終評価を受けることができる。3つの学校ベース・アセスメントにQCAAによる外部アセスメントが1つ加わって構成されている。

現行システムと新システムを比べると、成績評価を受けるためにこなさなければならない各科目のアセスメントの数が削減されている。必要なアセスメントの数が減るということは、学校側も教える時間が増加し生徒側も学ぶ時間が増えることになり、勉強する量よりも質の向上に重点を置いている。

また、アセスメント内容とその評価についても、質の高い幅広い内容、そしてより正確な一貫性と信頼できる透明性を実現するための強化過程が、新たに加わっているのが特徴である。

①学校ベース・アセスメント

新システムでは、それぞれの科目に付き3つの学校ベースでのアセスメントを行う。学校の先生がアセスメントを作成し、評価する従来の形態に変わりはないが、QCAAがより具体的なパラメーターを学校側に提供していく形を取っている。アセスメント前に承認をもらい、その後確認を取るという、今までとは違う新しい2つのチェック機能が用意されている。

●承認(Endorsement)
生徒がアセスメントを受ける前に、QCAAに内容の承認を得ることが条件とされている。これは、学校で行われる全てのアセスメントが各科目の学習要件と内容(シラバス)をきちんと網羅しているかどうかの確認と同時に、質の良いアセスメントを作成していく上での学校側の質の向上も意図されている。

●確認(Confirmation)
学校の先生の採点後、QCAAは各学校から科目ごとに採点済みのアセスメントをサンプルとして選別して、矛盾のない厳密な評価がなされているかどうか、QCAAのトレーニングを受けた専門の査定人が再度、評価の見直しを行う。評価の信頼性と透明性を重視しているため、学校側が選んだサンプルではなく、QCAAが生徒のアセスメントを選別し見直しを行う。

②外部アセスメント

QCAAが設定した外部アセスメントは、同日の同時間に全ての学校で、同じ内容で実施される。ただの筆記テストではなく、その科目について学んできたことの積み重ねから得た知識や情報、それに基づく発想や考え方なども評価されるように作られている。学校ベースのアセスメントとは違った手法で生徒たちの成績を査定できるように考えられており、QCAAの特別なトレーニングを受けた採点者が採点を行う。

各科目の外部アセスメントの結果は、各科目の学校ベース・アセスメントの結果と合わせた成績結果の25%に値する。しかし、数学と科学においては、外部アセスメントの結果が成績結果の50%を占めることになっている。

●最終承認(Ratification)
 これは、科目別に3つの学校ベース・アセスメントの確認と外部アセスメントの採点が終わった後、QCAAが科目ごとの最終評価を行う最後の過程である。この過程では、各生徒の各科目のアセスメントの結果を分析し、矛盾や例外などの審議を含めて最終評価が検討される。
 各科目ごとの最終評価結果は、学校ベース・アセスメントの点数と前述のパーセンテージを占める外部アセスメントの点数を合算して数値で表され、生徒は自分のQCAAのラーニング・アカウントで確認することができる。
 そして、この結果はQCAAからクイーンズランド・ターシャリー・アドミッションズ・センター(QTAC)へ提供され、OPに代わるATARのランキング基準で計られ、進学できる大学やコースなどのランクが決定される。

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新しい評価システム www.qcaa.qld.edu.au/downloads/senior/snr_assessment_intro_syllabus_subject.pdfより作成
www.qcaa.qld.edu.au/downloads/senior/snr_assessment_intro_syllabus_subject.pdfより作成

ATARの適用について

新しく適用されるATARもOP同様に、個人の成績結果を他の生徒の成績結果と総合的に比較して計算される。しかし、OPランク付けの基準として使われてきたクイーンズランド・コア・スキルズ・テストは、OP廃止と共に姿を消し、代わりにインターサブジェクト・スケーリングという方法がランク付けの基準として採用される。これについては、現在、QTACが調整を進めている。

これは、生徒たちが進学したい方向性に沿った科目を、それぞれ異なる組み合わせで選択している。そのため各生徒の総合評価を公平かつ同等に行い、入学のランク付けをするには、さまざまなパターン結果から統計的に比較と調整ができるインターサブジェクト・スケーリングという方法が必要となる。

ATARは現行のOPよりも、より正確で細やかな入学のランク付けをすることが可能であり、QLD州以外の州都においてはATARのシステムが採られている。OPが生徒の成績評価を25(OP1が最高)のランク分けで入学先を決定していたのに対し、ATARは0.05刻みで0から99.95(最高得点)のランク付けを行う。これによって、より正確に希望する大学やコースを識別することができる。

また、QLD州の生徒が他州の大学のコースへ進学を希望する場合や、他州からQLD州の大学のコースを選択したい生徒にとっても、ATARシステムの適用によって、手続きが容易になるということも利点の1つと言える。

19年から開始される新システムの構築とシラバスのリサーチは、QCAAが最終段階に向けて調整を図っている。最新の詳しい情報はQCAAのウェブサイトで随時チェックしよう。

<参考ウェブサイト>
■QLD州政府―Advancing futures
det.qld.gov.au/programsinitiatives/education/Documents/advancing-futures-sate.pdf
■QLD州政府―Queensland senior assessment and tertiary entrance systems
det.qld.gov.au/programs-initiatives/education/queensland-senior-assessment-and-tertiary-entrance-systems


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