日本人学校の生徒が1日職場体験!

職場体験リポート
シドニー日本人学校の生徒が1日新聞記者体験!

 

日本古美術展、「能狂言」展で自国の文化に触れる

シドニー日本人学校の中学校2年生と3年生の生徒2人が7月23日、同校の職場体験学習で日豪プレスシドニー本社を訪問した。この1日職場体験学習は、さまざまな体験を通じて各職業の特色や仕事内容を理解し、将来の進路選択に生かすことを目的としたプログラム。今回は新井創君、細谷啓太君の2人が記者となり、取材から記事作成を体験した。

◀◀◀写真:職人が精魂を込めて仕上げる面には魂が宿ると言われ、数ある舞台道具の中でも特別な存在。素材は檜。写真は、阿吽の呼吸の「阿」の部分を表現しており、このように眼が金色の面は神や鬼の役が着ける。

今回、2人の新人記者が訪れたのは、現在シドニーのNSW州立美術館で開催中の「能狂言」展。英字では「Theatre of Dreams, Theatre of Play: Nō and Kyōgen in Japan」と題されたこの展覧会は、日本の文化庁が毎年、自国の歴史と文化に対する理解の増進と国際親善の推進に寄与することを目的として海外で開催している日本古美術展の一環だ。今回は、日本が誇る芸術である「能狂言」の世界の素晴らしさを、国および国立能楽堂が所蔵する165点もの文化財を通じて紹介している。


ガイドのチョーカー和子さんと一緒に

展示会場へ向かうとまず来場者を迎えてくれるのは、能楽堂では、舞台背景になる鏡板に必ず描かれているという老松の絵だ。それを抜けて中へ入ると、会場には当時実際に使われていた面(マスク)や装束(衣装)、また楽器や浮世絵などが展示されており、中央には動画を見ることのできるスペースもある。それぞれのセクションを、今回ガイドを勤めてくれたコミュニティー・アンバサダーでありシドニー日本クラブの会長でもある、チョーカー和子さんの説明を聞きながら廻ってゆく。

圧倒的な迫力と存在感を誇る芸術性も去ることながら、まず何より驚いてしまうのは、その展示品の状態の良さ。同展での主な出品作品は、室町時代、桃山時代、江戸時代からのものであり、実に400年以上の時を経てきているというのに、それを感じさないほどの見事な品質を保つ。浮世絵はいまだに鮮やかな色合いを放ちながらも繊細なタッチを残し、一般的には百年ほどが寿命と言われる絹の装束もすばらしく良好な型と材質を維持している。


般若役が身に着ける道具一式。般若は女の役であるが、壁にかけられた面を見てみると、顔の下半分が怒っているのに対して上半分は悲しみに満ちている。これは、怒りは常に悲しみを含むという女の情を表現

和子さんによると、それは「能狂言」の文化が、金額に糸目を付けずに投資をしてきた当時の大名らによって支援され、発展してきたからであると言う。絵の具1つ、絹糸1つとっても、最高級のものが使用されていた。そうした贅沢な素材をもとに表現される洗練された造形や色彩の至る所には作り手の意匠が息づいており、見るものの心を奪っていた。筆者も、気の遠くなるような年月を経て、さらに海を渡り届けられた最高級の様式美を目の前にし、記者デビューを果たした2人とともにこの日、改めて日本人であることを誇りに思ったのは言うまでもない。それではこれより、一部の展示品と2人の感想文を紹介する。(編集・校正=荒川佳子)

2人のデビュー原稿を公開

新井創記者 中学2年生

「栄華」。それが、今回の取材をして僕が感じたことです。能は中間的な表情をとらえ、狂言は瞬間的な表情をとらえるなどという普段知ることのできないことを、納得しながら知識として吸収することができました。展示品は、例えばひげ一本といったとても細かい部分にまで当時の人々の思いが込められていて、とてもすばらしかったです。非常に魅了されました。また今回は、日本の新聞記者などが海外へ出てきて現地の美術館や博物館へ取材をする気持ちも体験することが出来ました。日本の文化を豪州で感じ、いかに日本の歴史が深いかがわかり、とても新鮮な感覚になれました。新聞記者という職業は、大変であり、しかし充実した仕事で、今回は驚くことばかりでした。

細谷啓太記者 中学3年生

僕は能や狂言には今まであまり興味がなかったし、進んで見ようと思ったこともありませんでしたが、今回間近で見て、またガイドの方の説明を聞いて、だんだんとその世界に惹かれていきました。特に、面の一つひとつに意味が込められていることや、衣装の模様によって役柄やストーリー展開を予想することができるなどという絡繰りには驚いたし、印象に残っています。また今回の体験によって、昔の人々が一体どのような工夫や努力をして自分たちの劇を見せていたのかがわかってきました。さらには、そのような工夫や努力によってできた作品に対する観客側の想いも知ることができました。それはとても楽しく面白い体験で、このような新たな知識を得ることができて、大変嬉しかったです。

 

【開催概要】
会場:ART Gallery NSW Lower Asian Gallery, Art Gallery Rd., The Domain
日程:開催中~9月14日(日)
料金:大人$10、会員$7、コンセッション$8、家族(大人2人+子ども3人)$28、5歳未満は無料
※毎週水・土11AMから日本語ツアーあり。
★Web: www.artgallery.nsw.gov.au/media-office/theatre-of-dreams

 

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