何をするか、何をしないか/福島先生の人生日々勉強

福島先生の人生日々勉強

何をするか、何をしないか

昔から、「他人の不幸は蜜の味」と言いますが、人間の本質として妬(ねた)みの感情があることは隠し難い事実です。生存競争のため、脳に組み込まれたシステムです。

妬んでいる時に活動する脳の領域は、前頭葉の前部帯状回の上に位置し、体の痛みの処理に関係している部位でもあります。

つまり、「妬みとは心の痛みである」ということです。妬ましい他人に不幸が起きると、前部帯状回の痛みが和らぎ、自然と喜びが沸き上がるというシステムになっているので、制御できません。まず、その事実を受け入れましょう。そうしなければ、自己欺瞞(ぎまん)の葛藤の中で、問題を解決することが不可能になってしまいます。認めた上で、どう適切に対処すべきかをよく考えるのです。

例えば、人は心の痛みを和らげるために、張り合って誇示的な消費活動をしたり、自分を生身以上に立派に見せようと無理をしたりという行動に走りがちだということを知っておくと、抑止力になります。趣味や目標など「属性」が同じ者同士は妬み合いやすいので、相手の立場や気持ちを慮(おもんぱか)るということも大切です。格好良くもなく、質素倹約に努めて暮らすと楽だということを認識し、実行したいところです。

それでも、嫉妬から生まれるもめ事は尽きないでしょう。生物には本来、同じ種の仲間に対する闘争の衝動があり、人間の場合はそれを理性で抑制して生活しているので、ストレスが生じます。ただし、そのストレスを解放することで、もめ事を最小限に収めることができます。その最も効果的な方法は「笑い」です。終始怖い顔をして怒りをぶつけていれば、衝突が起きるに決まっています。笑いの力は侮れません。心掛けて自分から笑いかけるようにしましょう。相手と自分を「心の痛み」から解放するのです。

SNSで他人の小さな過失をあげつらうというようなことがありますが、これも本能のなせる業ですね。過失でなくとも、妬みの対象であれば、何事も過失だと思えてくるものです。だからこそ、私たちには深い洞察が必要です。世の中に対してあるいは他人に対して、という外へ向かう思考よりも、ある事柄に対して、自分自身がどう対処していくのかというような内省的な思考が必要です。人がどうしたこうしたではなく、自分がどう生きているのか、行動しているのか、何をしたのか、何をしなかったのか、そこだけを見つめるのです。

人生の時は刻々と過ぎ去っていきます。誰もが次の瞬間に命を失うかもしれないというのが無常であるこの世の現実です。他人がどう生きているかを批評する時間があるなら、自らを省み、なすべきことをなし、なさぬべきことはなさぬよう精進したいものです。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。33年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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