透明な心

福島先生の教育指導

福島先生の人生日々勉強
透明な心

大人になってもなかなか改善されないこと、それは感情に振り回されてしまうことです。諭してくれる親も先生もそばにいないとなると、したいからする、嫌だから逃げる、気に入らないから攻撃する、といった感情本位の生き方を自分で抑えなければならないわけです。大人になったから常に理性が勝つかというと、実は子ども以上に制御が難しいのです。

肝心なことは、心を落ち着かせることです。冷静でいれば、明晰にものごとを観ることができ、理性的で正しい行動が取れるようになります。特に若いうちは、感情こそが自分自身だと思い込み、稀有な時間をふらふらと遊んで過ごしてしまいがち。そういうことのないように、冷静になるのです。心が落ち着いていれば、欲望を抑えて、なすべきことをしようとするでしょう。将来の見込みというのは、こうした行いの積み重ねから生まれます。智慧が備わってくるのです。しかし、要となる精神が安定していないと、ただ知識が雑然とあるに過ぎず、幸福の役には立ちません。

不安定な心は、風に揺れる水面のようなものです。揺れる心を鎮めるには、何もせず、じっとして、ゆらゆら揺れていた心がすっと澄みきった鏡になるような時間を持つことです。すなわち朝晩に、瞑想、禅定の時間を確保するのです。朝行うと1日を冷静に過ごせますし、夜行うと1日分の穢(けが)れを落とせます。実際にやってみると、その効果の大きさに驚かれることでしょう。瞑想の時間は、朝晩に限らず何度行ってもかまいません。バスを待つ時、掃除をする時など、瞑想はいつでもどこでもできます。1週間もすると、自分の心が以前よりずっと澄んでいて、なかなか動揺しなくなっていることに気付くでしょう。そのころには、以前よりもはるかに鮮明に物事を理解できるようになっています。

自分の内面に目を向け、注意深くなりましょう。透明な心と明晰な頭脳は、「智慧」そのものです。私たちの意識と注意力を研ぎ澄ませていくこのプロセスこそが、日常生活において非常に役に立つようになるのです。前述の通り、瞑想には、特別な道具も場所も必要ありません。歩きながらでも、座しても臥してもできます。まずは、ただ今ここに存在しているという状態をじっくりと味わってみましょう。そうして自分の心が沈黙の中で、再び充填されるのを待ちます。既存の自分から解き放たれ、新しく生まれ変わった感覚を呼び覚ますのです。途切れることなく続く思考が、人生をどれほど複雑にしているかを私たちは自覚していません。人生で最も大切な勉強は、心を育てること。瞑想、禅定を実践して余計なものを削ぎ落とし、智慧の完成を目指しましょう。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。29年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。19 92年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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