心を還す

福島先生の教育指導

福島先生の人生日々勉強
心を還す

私たちが睡眠をとるのは、体の疲れを取るためだけではありません。人間にとって最も大切な「心の養生」をするためです。ところが、今日の私たちは、心のありようにさほど注意を向けません。物質文化の著しい進化の中で生まれ育ち、生活をしているうちに、精神世界を尊重することの重大さを見失いつつあるのです。

大いなる力がすべてを創り、今があることは紛れもない事実です。私たち人間も、自分の意志で生まれたわけでもなければ、自分だけの力でこの世に存在しているわけではありません。自分で考えて存在を決めたのではないということは即ち、生まれたときの心には、欲も野心もなく、その存在は無色透明、何色にも染まらず、純粋そのものだということです。ただそこに、尊い命が厳然と存在するというほかには何もありません。

与えられたその無垢な姿に色を付けていくのが人生の醍醐味であると言えるでしょうが、折に触れ、初心に立ち返ることをしなければ、正しさや清らかさが損なわれ、いずれその尊さを失ってしまいます。心が尊さ、清らかさを持たなくなると、巣食う悪にも気づかなくなりますし、体に不調和をもたらすなど、次々と患うことになるでしょう。

自分にばかり良くないことが起こる、誰からも必要とされていない気がする、特に理由も思い当たらず気が滅入る、何かと気に障る、といった消極的な思考一切の遠因が、心の不養生にあるということを、きちんと考えなければいけません。雑然とした生活にまみれ、悲観的で消極的な言葉であふれかえっているこの時代に、気に掛けることなく尊い心を持ち続けることは、非常に困難なことです。だからこそ、心の立て直しに努力する必要があるのです。人と接するときは、明るく、朗らかに。何かを言ったり、行ったり、あるいはしなかったりするときには、あとで気が咎めるような、後味が悪くなるようなことがないか、よく考える。今日1日の間に起こった「気に入らないこと」を寝る時間まで引きずらない。

心が清らかでなければ、どんなに勉強しようと、働こうと、誰も幸せにすることができません。もちろん、自分自身も幸せではいられないのです。私たちは、成長しながらも日々、汚れていきます。ですから、毎日、体を洗うだけでなく、心を洗うことを習慣にしましょう。例えば、お金にまつわること。お金を持てば持つほど人は意地悪になるという研究結果がありますが、それでも、ほんのちょっとした心理的介入、価値観のわずかな変化、誰かの軽いひと押しによって、思いやりを取り戻せるということが分かっています。必要なのは、ほんの少しの努力。生まれたばかりの透明な心に、自分の心を還す努力をするのです。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。29年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る