「日本人画家KATSUYA」の巻

メルボルンの街に息づくアートたち アートの時間ですよ !
「日本人画家KATSUYA」の巻
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KATSUYA氏のギャラリー

文:たかぎ まさひこ
「メルボルンに面白い日本人アーティストはいませんか」と人に会うたび聞いていたら、知人に「面白い日本人作家がいます」と連絡をいただいた。その方は、洋画家のKATSUYA氏であった。名字がKATSUで名前がYA。メルボルン在住15年以上、画家一筋の人生という彼のアトリエに伺うことになった。


知人曰く「あのアトリエは、まるで19世紀のイギリスにでもいるような錯覚を覚えます」。どんな人かと聞けば「う~ん、ひと言で言うならアバンギャルドって感じかな」と、ますます期待が膨らむような人物ではないか。私は日本で美術出版社に勤めていた手前、アトリエ訪問は日常茶飯事で、常識離れした作家にも多く遭遇した。久々のアトリエ訪問にかなり胸が躍った。
 訪問当日、約束の時間に遅れてしまった私を、KATSUYA氏は「今日は来ないかと思って少し昼寝しようと思っていたよ」とあまり気に留める様子もなく、握手と笑顔でアトリエに招き入れてくれた。壁一面に彼の作品が飾られていて、19世紀のイギリスという意味が分かった気がした。アトリエがというより絵そのものが雰囲気を醸し出している。カソリックの信仰者でもあるKATSUYA氏の絵はジャンルに縛られることなく、宗教的な人物画から、静物画、風景画などの具象画で、とても重厚感があり奥深い色使いの作品だ。私は、彼の絵に正直さとリアルさを見ることができた。
 彼は言う。「前衛的な絵を描く画家たちがよく長々とうんちくを書き、自分の絵を説明したりするが、言葉で表現するなら絵はいらない。絵は絵自身がものを語るのだ」。私も同感である。絵で相手に伝えることができないのなら、その絵の表現は鑑賞者に伝わりきっていない、それでは作家自身の自己満足でしかない。
 KATSUYA氏の絵には、本来あるべき姿の絵画表現があり、そこに作家の個性となる色と筆の息遣いを感じる。久しぶりに新鮮で真っ正直な画家に出会ったような気がした。彼の絵に囲まれていると、じんわりと心の琴線に触れる温かみを感じることができ、その日はとても幸運に感じられた。同氏は教会の絵なども手掛けているのだが、今後アイルランドでも展示をするという。彼の作品を今度はぜひ、ギャラリーのスポットライトの下で見てみたい。
■Web: www.katsuya-art.com


たかぎまさひこ プロフィル
メルボルンを拠点にアート・マネジメントを手がける、マユミ・インターナショナル社のオペレーション・マネジャー。1995年より美術系出版社営業・編集、画商などとして芸術分野で活動している。

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