「アート・メルボルン2010」の巻

Yアートの時間ですよ
キャロライン・ウォングの「ショート・ストーリー」
メルボルンの街に息づくアートたち 
アートの時間ですよ !
「アート・メルボルン2010」の巻

文:たかぎ まさひこ

 今回は4月末に開かれた、アート・メルボルンについてお伝えしたい。
  
 このショーには毎年100以上のギャラリーが全豪から出展する。私もギャラリストとして毎年出展しており、今回は約40人の日本在住アーティストを紹介した。9割がオーストラリアで初めて紹介されるアーティストだったが、なかなか好評だった。そこで、出展ギャラリーの中から日本的な要素を含む面白いアーティストとその作品をご紹介しよう。
 まずは、シドニーのメイヤー・ギャラリーから以前このコラムでも紹介した写真家のルーク・ハーディの新作1点と雪女シリーズの作品。幻想的な雪女の写真はとてもオーストラリア人が撮ったと思えないほどで、日本の雪女という創造を絵に描いたように写真で表現していた。
 それから、ブランズウィック・ギャラリーからトーマス・マッコルという写真家が、芸者や合気道といった写真や、神戸に設置された実物大の鉄人28号のモニュメント像の写真を発表していた。古典的な日本のイメージ写真と鉄人28号というインパクトのある写真は、オーストラリア人の意表をついていたのではないだろうか。
 最後に、メルボルン生まれの香港系オーストラリア人のアーティスト、キャロライン・ウォングの「ショート・ストーリー」という作品。シンプルな折り紙が標本のような形態で展示されており、1,500ドルから2,000ドルくらい。かなりの数で売れていた。日本人が見たら「えっ ? 」「自分にもできそう」と思ってしまうかもしれないが、やはりアートとはまさにアイデア1つなのだ。折り紙を並べて額に入れるという誰もが思いつきそうなものだが、何だろうと最初に発表した人間のオリジナルであることは間違いない。実際に作ってみたところで同じものはもちろん表現できないし、同じものは存在しない。アートとは、10人いれば10人の表現。これがアートというものの面白さなのかと改めて考えさせられた。  
 
 今年の10月にはアート・シドニーが控えている。ぜひ足を運んでほしい。
Art Melbourne Web: www.artmelbourne10.com.au
Luke Hardy Web: www.lukehardy.com
Thomas Maccoll Web: www.thomasmaccoll.com
Carolyn Wong Web: www.myshortstory.com.au
面白いアーティストがいたらぜひご紹介ください。
masahiko@mayumiinternational.com


たかぎまさひこ プロフィル
メルボルンを拠点にアート・マネジメントを手がける、マユミ・インターナショナル社のオペレーション・マネジャー。1995年より美術系出版社営業・編集、画商などとして芸術分野で活動している。

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