【サークル紹介】日本語デス・カフェ in シドニー

サークル・コミュニティー紹介 in SYDNEY

シドニーを拠点とするサークルまたはコミュニティーの活動に編集部員が突撃し、取材を敢行。それまでなかなか発信しきれなかった活動の詳細や団体の魅力を紹介する。

第6回 日本語デス・カフェ in シドニー

世界で広がりを見せる運動

誰にでも等しく訪れる人生の「最期」。その普遍的なテーマを話し合うための「デス・カフェ」というコミュニティーが今、世界的なムーブメントとなりつつあることをご存知だろうか。2011年にヨーロッパで始まったデス・カフェは、北米やオーストラリアを含め現在52カ国5,597カ所で展開されている。

この集まりをシドニーで日本人のために開催しているのが、「日本語デス・カフェ in シドニー」だ。同コミュニティーを主宰するのは、シドニーこころクリニックの臨床心理士・谷野汐里さん。昨年の7月末に初めて開催され、12月で既に3回目を迎えたが、構想は一昨年の年末からあったという。

コーヒーを飲みリラックスした雰囲気の中で「死」について話し合う
コーヒーを飲みリラックスした雰囲気の中で「死」について話し合う

「これまでカウンセリングのサービスを行ってきた中で、配偶者や身内を亡くされたという方の悲しみをケアすることが多くありました。『死』というと非常に難しいテーマに思えますが、今生きる者が『生』を充実させていくためにも、そのテーマについて広く話せる場を持ちたかったんです」

数々の悲しみに触れてきた谷野さんだからこそ実現できた同コミュニティーは、その名前から今では大きな話題となり、参加者も増えているという。そして、そこでできたネットワークは参加者の生活にとって大きな張りとなっているそうだ。

「死」に見る人の本質

デス・カフェでは毎回特定の議題などは用意されず、参加者は「死」という大きなテーマの下、コーヒーを飲みながら自らの経験を踏まえ思い思いの話をする。テーマ自体は確かに重いが、実際は時折大きな笑い声を交えた和やかな雰囲気の中、話が進んでいく。

取材に訪れた当日も、「遺言」「葬儀」といった「終活」から、ペットなどの身近な存在の死、宗教における死生観など、話の内容は実に多岐にわたった。

デス・カフェの公式ウェブサイト(Web: deathcafe.com)
デス・カフェの公式ウェブサイト(Web: deathcafe.com)

その多岐にわたる話の内容の中から見えてきたのは、参加者それぞれが抱く死への距離感の違いだ。死を「準備」として現実的で間近な問題として捉える参加者もいれば、「このまま起きなかったらどうしようかと思う」と日常の中での不安を打ち明ける参加者もいた。また、30代の女性は「日本で離れて暮らす母親のことを考えると、人生において残された時間を考えずにはいられない」と「他者」の死への本音をもらした。

その死という問題において、現実と感情の狭間を行ったり来たりするのが「人の本質」と谷野さんは語る。そして「捉われすぎてはいけない」と前置きしつつ、最後にこう話してくれた。

「私たちはいつも、死に関するさまざまな感情の中にいます」

死への感情を打ち明け共有しながら、今をどう生きるかという最重要課題に向き合うデス・カフェは、生への希望の場だ。(リポート:編集部・山内亮治)

PRメッセージ

代表
谷野汐里(やのしおり)さん

自分が亡くなる、そして大切な人を亡くすいうのは誰しもが持つ問題です。デス・カフェはそのような難しいテーマを話し合える貴重な場なので、興味がある方はどなたでもいらしてください。また、写真撮影のプライバシーの部分も事前に確認するので安心してください。次回のデス・カフェは、1月31日(水)の午前10時から午後12時までスターバックス・コーヒー(チャイナタウン店)での開催となります。

シドニー市内を拠点とし、当コーナーでの紹介を希望するサークルまたはコミュニティーは、代表者氏名・団体名・活動内容・活動場所を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)までご連絡ください。また紹介団体については、非営利団体に限ります。

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