【サークル紹介】ゆーかり教室

サークル・コミュニティー紹介 in SYDNEY

シドニーを拠点とするサークルまたはコミュニティーの活動に編集部員が突撃し、取材を敢行。それまでなかなか発信しきれなかった活動の詳細や団体の魅力を紹介する。

第7回 ゆーかり教室

作業療法を交えた学びの場

障害を持って生まれること、あるいは成長の過程で障害を持ってしまうこと。それは教育の機会が制限されてしまうほど特別なことなのか――。

シドニー西郊の某所で月に一度、週末に不定期で開催される「ゆーかり教室」は、発達の遅れや障害を持つ子どもに日本の文化や言葉を学ぶ機会を提供する親子のための集まりだ。障害のある子どもを持つ家族のための触れ合いの場「日本語療育会」から派生する形で、2016年5月に発足、同年7月から本格的に活動を開始した。同教室の発足に至った詳しい経緯を代表の五十嵐小夏さんはこう語る。

遊具が豊富に取りそろえられた教室
遊具が豊富に取りそろえられた教室

「障害を持つお子さんが定期的に集まり、日本語や日本文化を保護者と一緒にのびのびと清潔かつ安全な環境で学べる場所を確立したいという思いから、数人の保護者と力を合わせ試行錯誤しながら開始しました。今では、そこから生まれる子どもだけでなく、保護者同士のつながりも大切にしています」

発足当初、活動内容は平仮名の読み書きに加え、歌や書道を通し四季折々の風物詩を学ぶものだったが、現在では作業療法士の指導の下、創作活動(体操、絵画、楽器演奏など)が行われるなど広がりを見せている。教室では、トランポリンや簡易のボルダリングで元気いっぱいに遊ぶ子どもたちの姿が見られ、強く印象に残った。

心を支える横のつながり

子どもたちが日本語や日本文化を学ぶだけでなく身体機能の向上も図ることができる同教室は、その場の保護者にとっても心強く貴重な存在となっている。

取材中に話を聞いた保護者の1人は「子どもに日本語を教えることを諦めていましたが、教室に参加してから興味を示すようになった」と我が子の変化と喜びを語り、続けて「子育てにおけるほんのささいなことも保護者同士で情報共有ができ、その横のつながりは大きな助けになっています」と心の内を明かした。

触れ合うことで心が穏やかになる効果があるというセラピー犬
触れ合うことで心が穏やかになる効果があるというセラピー犬

障害を持つ子どもの子育ては、「療育」という壁として家族の前に立ちはだかる現実がある。それは保護者にとって大きな精神的負担となることもあるが、ある保護者は「ゆーかり教室で子どもの喜ぶ姿を見ながら楽しく保護者同士で話をしたり、情報を共有することによって『大変なのは自分だけではない』とポジティブになり、有意義な時間を過ごすことができる」と明るく言う。そんな強く真っすぐな思いが、同じ境遇にいる保護者同士を支え合っている。

取材当日も初参加となる親子が教室を訪れていた。障害を持つ子ども、そしてその親への救いの手は、シドニーの中で着実に広がろうとしている。(リポート:編集部)

PRメッセージ

代表:五十嵐小夏さん

「ゆーかり教室」は、シドニー初の日本語でのボランティアによる支援教室です。各種有資格者による、芸術、工作、音楽、書道、各種セラピーに直接触れ、親子で体験することを基本理念に開催しています。参加者の家族同士の触れ合いを大切に、コミュニティーにおけるソーシャル・インクルージョン(※)、NDIS活用を提唱しています。本会では、図書文庫の貸し出しも行っています。ご興味のある方はEメール(nihongo.ryouiku@hotmail.com)までお問い合わせください。

※全ての人びとを孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、社会の構成員として包み支え合うという理念

シドニー市内を拠点とし、当コーナーでの紹介を希望するサークルまたはコミュニティーは、代表者氏名・団体名・活動内容・活動場所を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)までご連絡ください。また紹介団体については、非営利団体に限ります。

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