冬の磯の釣り

冬の磯の釣りLet’s 豪 Fishing ! 
第157回

フィッシング・ライター
金園 泰秀
冬の磯の釣り
 バッシャーン ! という音とともに磯際で砕けた波のしぶきが飛んできた。「うっ、冷たい ! 」。黄色の雨具の下にはライフジャケット、ダイビングのウエットスーツのズボン、靴は磯釣り用のスパイク付きブーツという、磯釣りの完全装備のいでたちだが、オーストラリア独特の低い磯から飛んでくる水は冷たかった。
(写真)穏やかな冬の外洋の磯では、メジナ釣りのシーズンが始まる


外洋の磯では、ルアーでテイラーやカマス、カツオ、そしてイカ釣りもおもしろい外洋の磯では、ルアーでテイラーやカマス、カツオ、そしてイカ釣りもおもしろい


 北はQLD州の州境のTweed Headsから、南はVIC州の近くのEdenまでのNSW州沿岸の岩礁地帯は、メジナという魚のサンクチュアリと言える。日本ではメジナ、グレと呼ばれる磯魚は、当地ではブラックフィッシュともルダーリック(Luderick)とも呼ばれる。
 毎年5月から9月ごろまでの晩秋から早春の季節には水温が18度以下に下がる。満潮時に波が当たる磯の波打ち際にはキャベッジ・ウィード(日本ではアオサと呼ぶ)の新芽が芽吹き、その新芽を大好物とするメジナの本格的釣りシーズンに入る。この時期は、陸からの西風が吹くことが多く、外洋の沿岸は波静かな穏やかな日が多くなるので釣りがしやすくなる。また、夏の季節は磯の小動物などを雑食して、独特の磯臭い匂いだった肉質も、この時期はウィードを主食とするので磯臭さも減り、脂も載ってとても美味しくなるので、年配のオージーのロック・フィッシャーマンたちがこぞって狙いに行く。
 釣り方は、ウキが付いた仕掛けに、足元に生えているキャベッジ・ウィードの新芽をちぎって針に刺し、その仕掛けをポイントに投げ込んで、魚がエサを食ったらウキが沈むのに合わせるだけ。と、書けばいたって簡単な釣りに見えるが、大物がいる外洋の磯から釣る場合、究極に難しい釣りの1つでもある。
 まず、普段は波が洗っている磯に立ち入らなければならないので、干満の時間をしっかり把握する必要がある。そして、釣り場の潮を読まなければならない。磯を洗った波でちぎれたウィードが潮に流され、渦を巻いて漂う場所がメジナのポイントになるためだ。
 さらに、警戒心の強いメジナは、逃げ込めるような岩の側を回遊しているので、海底の岩場の状態を把握しなければならない。
 そして、いよいよ釣る際には竿とリールさばきで、エサの付いた仕掛けが自然に潮に流されていくような感じでポイントに送り込まなければならない。最後に魚がウキを引いて掛かってくれたら、獲物に岩場の中に潜り込まれ、細い仕掛けの糸を切られないように、荒磯の上と海中の魚との無言のファイトが始まるのだ。
 この釣りは、テクニックもさることながら、いつ大波が襲ってくるか分からない危険な磯の先端に立つことが多いので、長年の経験で波が来ることを予期できる人以外は、必ずライフジャケットとスパイク・ブーツを着用してほしい。実際に毎年、安全な装備をしていない多くの無謀なアングラーたちが波に流される事故に遭っている。
 大昔に東京でサラリーマンをしていたころ、毎週末に伊豆半島や伊豆諸島でメジナばかり専門に釣っていて、グレ師(メジナ釣り師)と呼ばれたこともあるくらい夢中になっていた。その当時の日本は、磯釣りでの安全装備着用の義務はなかったが、水泳の得意な知り合いの釣り人が磯に落ちて亡くなった話を聞き、服や靴を履いた状態で海に落ちたら、どんなに水泳ができても事故に繋がることが分かり、それから常に救命胴衣を着用して磯に釣りに行くようにしている。安全だからこそ楽しい釣りができるものです。
 穏やかな日に、磯の先端でメジナ釣りをしていると、時々小魚の大群が水面をジャンプする光景に遭遇する。そんな時は、別に用意したルアー竿に変えて小魚たちの群れの向こうにキャストし、ルアーをアクションさせれば、テイラーやカマス、ボニートと呼ばれる歯カツオなどがヒットしてくるケースも多いものだ。また、あまりにも穏やかすぎてメジナの食いが悪い時は、アオリイカ狙いの餌木と呼ばれるイカ釣りルアーをキャストして美味しいイカを狙うのもいいかもしれない。
 メジナ釣りの経験が浅い人は、湾内の桟橋などの橋脚に付いている藻を食べているメジナを狙うのも手。おそらく海の近くの釣り道具屋さんでは髪の毛のような感じの藻のエサを売っているので、それを針にクルクルと絡めるように付け、メジナが泳いでいる姿が見える橋脚すれすれに仕掛けを落として、ウキに当りが出るまで待つだけの安全で手軽な釣りだ。しかし、細い仕掛けを使わなければメナジは食いつかないので、やはり糸を切られないように魚とのファイトをしなければならない。
「オーストラリアの釣り情報」
www.fujimaru.com.au

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