花のある生活「木枯らし、枯れ物」

 花のある生活─ flower in life ─

第6回:木枯らし、枯れ物

パームの枯れ葉を使用して、柔らかい曲線を作り同色の花を合わせ、ピンポイントに新鮮な緑の花を合わせている
パームの枯れ葉を使用して、柔らかい曲線を作り同色の花を合わせ、ピンポイントに新鮮な緑の花を合わせている

こんにちは。生け花講師をしていますYoshimiです。

スズカケの木の葉も、みずみずしく茂っていた夏とは変わり、乾いた音を立てて、冷たい風と共に舞い落ちて見られるようになりました。日差しが強いシドニーですので、枯れた葉はこの地には似合わないように思えますが、そろそろ冬支度をしなければ風邪をひいてしまいそうです。茎の細い秋の花が咲き始め、少しトーンの落ちた秋色の花々は、心をしずめてくれます。生け花のお稽古でよく使用する枯れ物とは、乾燥した花材のことを言います。基本的に生け花には水が不可欠ですが、枯れ物には必要ありません。そのため、花器から離れた位置に生けたり、生の場合とは違う軽快さや質感を表現できます。枯れた物だけで構成しても、生の植物と組み合わせても良いでしょう。いずれの場合も枯れた物だからこそできる、その花材ならではの性質をしっかりと観察して全面に押し出していきます。なお、水に付けることで材質が変化することがありますので注意して、面白味があるのはどういったところかを考えて生けましょう。

乾燥して裂けてしまっているバナナの葉にユリを入れる。葉物の下に小さな花器が隠れている
乾燥して裂けてしまっているバナナの葉にユリを入れる。葉物の下に小さな花器が隠れている

家の周りを大きくひと回りもすれば、枯れ物は落ちています。カウンシルの管轄(かんかつ)の敷地内に咲いている物にはさみを入れることはできませんが、乾いた葉を拾うことに戸惑われることはないと思います。同じ木で育った、同じ大きさの葉物でも、乾くと全く異なる形に変化をしていきます。私たちの流派の花伝書に「枯れた物も美しい」とあります。その美しさを自ら発見して生の花材とは別物と考え、活用することも大切です。

これらの素材で難しさを感じるとすると、それは色彩が単調になりがちだということと、生の物より抽象化された物になってしまうことです。それには、色の変化を付けるために一輪でも生の花や、質感の異なる物と組み合わせて対比効果を上げていくと、バランスの良い、すばらしい作品へと導かれていきます。冬枯れの冷たさの中でも、ふと目にした1枚の枯れ葉を、再びまた新鮮な花と組み合わせ、日常の中から美しい物を発見し、小さな空間であっても心をダイナミックに表現してみてください。生け花の楽しみはこのようなことからスタートします。


Yoshimi
草月流華道講師。幼少の頃から花を嗜む。学生の頃、本格的に活動を始め大阪高島屋に出展。兵庫県議会公館迎え花を担当。シンガポール駐在中に趣味の油絵といけばな展をシンガポール高島屋で行う。現在はチャッツウッド駅前で華道教室フラワー・イン・ライフ(www.7elements.me)を開講

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