第5回 ケガをしている野生動物を見かけたら

教えて!獣医さん
バケツで作った簡易巣

教えて!獣医さん
大切なペットを病気や危険から守る方法

 人間も動物も、刺激が「痛点」に達することで痛みを感じますが、動物は痛点の数が人間に比べて少ないので、痛みに対する反応が人間より鈍いのではないかと思われがちです。ですが痛点が刺激されれば、動物も同じように痛み苦しみます。ただ人間と異なるのは、「痛い、苦しい」と言葉で訴えることができず、泣き叫ぶことも少ないということです。


 野生動物の多くは、激しい痛みを感じていても泣き叫んで声を上げることがありません。一見すると大丈夫かなと思ってしまうかもしれませんが、人間が近づいても俊敏な動きが取れないほど弱っている動物の多くは、治療を必要としています。
 動物を見つけたら、まず動けるかを確かめます。動ければそのままタオルでくるんだり箱などに入れて動物病院へ運びましょう。動けない場合は神経的外傷の可能性もあるので、なるべく静かに平らな箱などに移し、動かさないように運びます。搬送時には、湯たんぽやタオルなどで暖かくしてあげることが重要です。動物たちは多くの場合、ショック状態で体温が低下している可能性があります。
 出血がひどい場合は、出血部位を布で2分ほど強めに抑えて止血します。それでも止まらない場合は、布で縛り(強すぎないように気を付けて)そのまま病院へ運びます。明らかに助からないと思われる場合も、迅速に最寄りの動物病院に連れて行ってあげてください。激痛で苦しませるよりも、安楽死を選んであげようというのがオーストラリア政府と動物愛護団体の考えです。いずれにしても現場の獣医師が最善の判断をしてくれます。
 巣から落下した鳥の雛を見つけた際は、対処法が少し異なります。もし雛にケガがなければ、病院に運ぶより新しい簡易の巣を作ってあげることが最善策です。巣の作り方は、底に穴を開け水はけを良くしたバケツに小枝や落ち葉などを敷き、親鳥用の止まり木となるような長い木の枝(バケツからはみ出すくらい)を1本挿します。直射日光や雨に当たりにくい、元の巣のすぐそばに設置してあげましょう。多くの場合、親鳥が戻ってきてまた雛に餌をあげ始めます。また、このバケツは愛護団体などが無料で配っている場合もあるので、問い合わせてみてください。
※動物を助けようとする際、噛まれる心配がある場合や動物の扱いに自信がない場合は、動物病院に連絡をしてアドバイスをもらうことをお薦めします。


教えて!獣医さん
PROFILE
足立理良(あだちりら)●馬と小動物の獣医師として日本で2年半の臨床経験後、ワーキング・ホリデーで来豪。飛び込みで地元の動物病院の門を叩きワーク・エクスペリエンスで経験を積んだ後、ブリスベンやゴールドコーストの動物専門医センターで麻酔師として勤務。一般の相談にも個人的に対応している。Tel: 0433-445-813

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