7カ月の愛犬に妊娠の可能性が…妊娠初期の摘出手術について

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Q 7カ月になるメスのパピヨンを飼っています。避妊手術はまだしていません。先週友人宅のオス犬(ジャック・ラッセル)と目を離している間に交尾をしてしまいました。ヒートになっている様子はなかったのですが、妊娠している可能性はあるでしょうか。子犬を産ませたくはありません。
(46歳主婦=女性)

 

A メス犬は犬種や個体によりますが、生後6~8カ月ごろになると性的に成熟し、発情期(ヒート)を迎えます。一般的に最初の発情は小型犬の方が早く、そして大型犬の方が遅くなる傾向にあります。その後だいたい半年おきに発情を繰り返します。

発情期間は2~3週間ほど続き、その間は外陰部が腫れ、血液性分泌物が出てきます。この出血量には個体差があり、量が少なく自分で舐めてしまう小型犬の場合、飼い主が気付き難いこともあります。発情期中のメスは普段と比べ、落ち着きがなくなったり食欲がなくなったりもしますが、まだ幼い場合はいつもと変わりなく見えるかもしれません。

メス犬は発情の兆候が見られてから1週間ほどして排卵します。発情期の前期にはオス犬を拒絶しているメス犬も、このころになると交尾を受け入れます。交尾をさせるということは排卵が始まる交配適期ということなので、高い確率で妊娠につながります。

犬の妊娠期間は60日前後です。妊娠しているかどうかは早くて21日目にホルモン検査か超音波検査で調べられますが、24~28日を過ぎた方が信頼度は高くなります。触診で分かるようになるのも28日以降です。胎児の数を知るにはレントゲンが一番有効ですが、胎児の骨格がしっかりした妊娠42~45日以降に撮るのが望ましいです。

予期せぬ交配、妊娠をしてしまった場合

もしこれからも繁殖を望まないのであれば、妊娠初期に卵巣と子宮の摘出手術(避妊手術)を行うと良いでしょう。避妊手術のメリットは、これ以降の妊娠を防ぐだけでなく子宮の病気を防ぐ意味でもとても重要です。また、発情期はホルモン・バランスの変動に伴う肉体的・精神的な変化もあり、犬と飼い主両方にとってストレスとなります。発情中の雌につられて周りの雄犬にも無駄なストレスをかけてしまいます。避妊手術をしてしまえば、当然発情もしなくなるので、そのストレスをなくすことができます。

妊娠中に行う避妊手術のデメリットは、手術中の出血が多くなる危険性と、手術後に偽妊娠(乳腺が張りミルクが出るなど)の症状がでることです。

もし、これからも繁殖を望むのであれば、内科的処置で妊娠を中絶します。オーストラリアではアグレプリストン(商品名アリジン)という妊娠状態を保つのに必要なホルモンのプロジェステロンの働きを阻害する薬があり、これを24時間あけて2回注射します。交配直後から妊娠45日まで使え、比較的副作用も少ない薬です。早い段階で使うと受精卵の着床を防げるので、犬にとっては一番負担が少なくて済みます。副作用は注射に伴う痛み、食欲減退、興奮または元気がなくなるなどです。

望まない妊娠だけでなく、乳腺腫瘍や子宮蓄膿症なのどの病気の予防のためにも、メス犬は最初の発情が始まる生後6カ月までに避妊手術を済ませることを推奨しています。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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