飼い犬が蛇に噛まれてしまった時の処置方法

何でも相談

Q 飼い犬も連れてキャンプに行く予定です。好奇心旺盛な2歳のジャック・ラッセルの雄なので、ブッシュに入って蛇にでも噛まれないか心配です。もし蛇に噛まれてしまったらどうしたらいいのでしょう?
(34歳会社員=女性)

A オーストラリアには危険な蛇が多く、世界の毒蛇ランキング・トップ10のうち7 種が、オーストラリアに生息しています。シドニー近郊でもよくみられる毒蛇は、Eastern Brown Snake、Red-belied Black Snake、Eastern Tiger Snake、Death Adderなどです。

しかし通常自分から襲ってくるようなどう猛性はなく、身の危険を感じた時にだけ攻撃してきます。犬や猫は遊びの感覚で蛇を追い詰めてしまうため、噛まれる確率は人間よりずっと高くなります。

蛇の毒

神経毒、出血毒、溶血毒、筋肉毒など、蛇によって違う種類の毒成分を持っています。神経毒は四肢の動きを奪うだけでなく、呼吸困難も引き起こします。筋肉毒は患部の壊死、出血毒や溶血毒は体内出血、腎機能障害そして多臓器不全を起こします。毒は噛まれたところからリンパの流れに乗って少しずつ血管内に送り込まれ全身を巡ります。

症状

足のふらつき、おう吐、けいれん、呼吸困難などです。患部が腫れて痛むこともあれば、噛み跡が見つけられない場合もあります。犬や猫の場合、必ずしも蛇に噛まれる現場を目撃することがないため、発見が遅れることや、蛇に噛まれたと知らずに、具合が悪いので病院に連れて来られることもあります。運悪く毒が直接血管に入ってしまい、毒の回りが早いと、数分で死に至ることもあります。

治療

蛇の毒には幸いなことに解毒薬(血清)があります。これをできれば30分以内、遅くとも4時間以内に投与します。早く血清を打つほど回復する確率も上がります。症状が重い場合、回復するまでの間、人工呼吸器につないだり、血清を複数回投与する必要があるかもしれません。血清を投与しても助からないこともあります。

蛇に噛まれたら

1. 蛇を殺そうとしたり、追いかけたりしない(自分も噛まれる恐れがあるため)

2. 患部から毒を口で吸い出したり、洗ったりしない(患部に残っている毒で蛇の識別検査ができるため)

3. 患部が足などの場合は包帯を巻く、首や顔の場合は圧迫する(リンパの流れを少しでも抑えるためなので、止血の時ほどきつく巻いてはいけない)

4. 犬/猫を落ち着かせ、できるだけ歩かせたり動かしたりしないで、病院に連れていく

毒蛇に噛まれた犬や猫を助けるのは時間との戦いです。キャンプやホリデーにペットを連れていく場合は、事前にその地域での動物病院の場所を確認しておきましょう。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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