13歳の愛犬が昼寝中にお漏らしを…対策方法は?

何でも相談

Q 今年13歳になる雌犬(雑種、中型犬)を飼っているのですが、最近寝ている間にお漏らしをしてしまうことがあります。老化現象で仕方がないことかもしれませんが、何か対策はないでしょうか。
(37歳会社員=女性)

A 尿失禁(Urinary Incontinence)は無意識に尿が尿路から漏れ出してしまう状態です。高齢犬、避妊をした雌犬、中型や大型犬に多く見られる症状です。

排尿の仕組み

腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に溜まり、そして尿道から体の外に排泄されます。膀胱の出口は通常、尿道括約筋という筋肉の締まりで、尿が外に漏れ出さないようになっています。尿が満杯になると膀胱の筋肉が伸び、その刺激が神経から脳へと伝達され、尿意を感じます。排尿する時は尿道括約筋を緩め尿道の出口を開け、同時に膀胱とその周りの筋肉を収縮させて尿を外に押し出します。正常な排尿には、神経回路、膀胱の伸縮、尿道括約筋の開け閉め、という3つの機能がうまく働く必要があります。

原因

上で述べた機能の1つにでも障害が生じると、尿失禁につながります。その中で高齢犬に一番多い原因が、尿道括約筋の機能不全です。膀胱の出口をしめる筋力が弱くなるため、膀胱が満杯になったり、外からの圧力を受けたりすると、尿が漏れ出してしまいます。筋力の低下は、加齢や、雌犬では特に女性ホルモンの低下などが関係しています。高齢犬の場合、慢性腎不全による多飲多尿や、細菌感染による膀胱炎が尿失禁の引き金になることもあります。

症状

・眠っている時、または横になっている時、尿が漏れ出てしまう。
・横になっている時は、自分で尿漏れに気付いて、外陰部をしきりになめることもある。
・立ち上がる時や、力んだ時に尿が出てしまう。
・歩いている時に尿がポタポタとたれる。

診断

まず尿検査をして感染症の有無を調べます。血液検査で腎臓の機能を把握しておくことも大事です。超音波検査やレントゲンの尿路造影検査で、膀胱や尿道に腫瘍などの疾患がないか調べることもあります。

治療

尿道括約筋の機能不全が原因の尿失禁は、主に投薬による内科治療が行われます。

1. 交感神経作動薬(フェニルプロパノールアミン、商品名Propalin):尿道括約筋を刺激して、尿道の閉鎖圧を高めます。液体の飲み薬で、1日2〜3回、投与します。70〜90パーセントの犬で改善が見られます。

2. ホルモン製剤(エストリオール、商品名Incurin、ジエチルスチルベストロール、商品名Stilboesterol):女性ホルモンのエストロゲンの低下による筋力の衰えが引き金となった尿失禁に対して有効です。避妊済みの雌犬の40〜80パーセントで改善が見られます。錠剤は初め数日連続して与えた後、週に1〜回の間隔で継続します。

投薬に加え、膀胱が満杯にならないよう頻繁にトイレに連れていったり、漏れても心配がないようベッドにオムツ・シーツを敷くなどの対策もとってください。

尿失禁は犬と飼い主両方にとってストレスになります。治療で改善できることも多いので、まずは尿検査をされることをお勧めします。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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