飼い猫が毛づくろいで地肌が見えるように…。ストレスとの関係は?

何でも相談

Q 8歳になる猫(雑種、メス、避妊済み)を飼っています。最近自分でお腹の毛をしつこく舐めているせいで、すっかりはげて地肌が見えてしまっています。皮膚には、特に湿疹などはありません。家を引っ越した後からするようになったのですが、ストレスのせいでしょうか。
(37歳会社員=男性)

A オーバー・グルーミングとは

猫にとって自分の体を舐める毛づくろい(グルーミング)は、体を奇麗に保つのに欠かせないことですが、毛がはげてしまうほど体を舐め続けことを過剰グルーミング(オーバー・グルーミング)と言います。

猫は緊張した時や、ストレスを感じた時などにグルーミングをすることで、自分を落ち着かせます。これは転位行動と呼ばれ、ストレスを発散させてリラックスするための、どの猫にも見られる一般的な行動です。

しかし脱毛が起きてしまうほどの過剰グルーミングは心因性ストレスや、皮膚の病気による痒み、体の内側からの痛みや違和感などが考えられます。

原因

● 心因性ストレス―転居、新しい家族・ペット、生活環境の変化(近所の工事の音、外に出してもらえなくなったなど)

● 皮膚の病気―アレルギー、アトピー性皮膚炎(食物、ノミ、ハウス・ダスト)、感染症(寄生虫、細菌、真菌)

● 内臓の病気―炎症性腸炎や膀胱炎による痛み

症状

体全体を適度に舐める通常のグルーミングとは違い、過剰グルーミングは特定の場所を舐め続けることが特徴です。
 ノミ・アレルギーでは腰から尻尾の付け根にかけて舐めることが多く、心因性ストレスでは下腹部、脇腹、内股などの舐めやすい箇所で見られます。だんだん舐める範囲が拡大していくことも珍しくありません。ザラザラの舌で毛を削り取ってしまうので、短い産毛状または地肌が露出した状態になります。皮膚に炎症があることもあります。

診断

ストレスの元がはっきりしていれば分かりやすいのですが、そうでない場合は感染症、アレルギー、内臓疾患などの可能性を調べる必要があります。脱毛の原因となる他の疾患が発見されない場合、心因性の過剰グルーミングと診断されます。

治療

脱毛自体は健康に害があるわけではなく、何年もはげたままという猫もいます。しかし過剰グルーミングを続けている限りは何かしらのストレスを感じているというサインです。
 原因を取り除く、または改善することで舐めるのが収まれば、毛もまた生えそろってきます。皮膚や内臓疾患があれば、それぞれに適切な治療をします。
 心因性のものなら、猫がストレスに感じているかもしれない要因を出来る限り排除します。原因が全くつかめない場合は、抗不安剤や精神安定剤の投与が必要になることもあります。



戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る