点耳薬を嫌がる愛犬レトリバー、なにかいい方法はありませんか?

何でも相談

Q 7歳になる犬のレトリーバーを飼っています。よく外耳炎を起こしてしまうのですが、耳に入れる薬をとても嫌がるので、いつも苦労しています。何か良い方法はないでしょうか。
(40歳主婦=女性)

A 耳の穴から鼓膜までの間で起きる炎症を外耳炎といい、犬にはとてもよく見られる疾患です。外耳炎の主な症状は耳をよく引っ掻いたり、頭を振ったりする仕草が見られ、耳の中は赤く腫れ、茶褐色や黄色の耳垢が多く出ます。気温の高い夏によく見られますが、犬によっては季節に関係なく何度も発症することがある厄介な病気です。

原因

ほとんどの外耳炎で細菌や真菌による感染症が見られますが、その根底には生まれつき肌のバリア機能の弱いアトピーや、特定の物質に過剰反応するアレルギーなどが原因です。レトリーバーやスパニエルなど耳が大きく垂れている犬種は、中に熱や湿気がこもるので感染症を起こしやすいと思われますが、元々アトピー性皮膚炎を患いやすい犬種でもあります。菌による感染症は二次的な問題です。そのため、感染症の引き金となっている皮膚炎の治療を怠ると、何度も外耳炎になったり、いつまでも治らなかったりします(耳の中に入り込んだ異物、耳ダニ、ポリープなどが原因で外耳炎になることもあります)。

治療

外耳炎はまず感染症を治すことから始めます。耳を洗浄してから点耳薬を入れる治療が一番有効ですが、耳が痛い時に無理やり押さえ付けて薬を入れると、その後ずっと嫌がるようになり治療が難しくなってしまいます。慢性的な炎症で耳の穴が塞がっている場合や、耳がとても痛い場合は、先に痛みと炎症を抑える薬を服用してから点耳薬を使った方が良いでしょう。痛みが特に強い場合は、全身麻酔をしてしっかりと耳の洗浄をすることもあります。

点耳薬の使い方

処方される点耳薬は大抵長細いノズルが付いていますが、耳の奥深く入れると痛いので、耳の穴の入り口付近に薬を垂らし、耳の付け根を優しく揉んで全体に行き渡らせます。また注射器を使うと入れる量を正確に測ることができます。

持続性のある新しい点耳薬「Osurnia」

従来の点耳薬は毎日1~2回の使用を短くても1週間、時に3~4週間続ける必要があることもあり、薬を嫌がる犬に苦労される飼い主が多くいます。「Osurnia」は、耳の中でゲル状に固まることで1週間おきに2回投与するだけで最大45日間効果が持続します。感染症を起こしている細菌の種類によっては使えないこともありますが、よく見られるイースト菌の1種のマラセチアには効果が期待できます。

予防

外耳炎に何度もなってしまう犬の重度に差はあれど、アトピーまたはアレルギーが原因です。両方とも残念ながら完全に治せる病気ではないので、ステロイドや免疫抑制剤の服用や必須脂肪酸の摂取などで症状を抑えながら付き合っていく病気です。症状が外耳炎だけなら、耳への局所治療で済むので薬による副作用も最小に抑えられます。



戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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