2歳のチワワが膝蓋骨脱臼と判明。症状が軽ても手術すべきでしょうか

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Q

2歳になるチワワを飼っています。健康診断で、ひざのお皿が滑りやすい膝蓋骨(しつがいこつ)脱臼だと分かり、手術が必要になるかもしれないと言われました。今は特に足が痛そうなこともなく、時々ケンケンをするぐらいですが、手術した方が良いのでしょうか。(30代会社員=女性)

A

膝蓋骨脱臼(Patellar Luxation)は小型犬によく見られる関節疾患です。膝蓋骨(ひざの皿)は大腿骨(ももの骨)にある滑車溝というくぼみの中を上下することで滑らかなひざ関節の屈伸運動を可能にします。膝蓋骨がこの滑車溝から外れる状況を膝蓋骨脱臼と言います。脱臼の度合いは、少々滑りやすいものから、全く元に戻らないものまであり、それによって症状も異なり、手術が必要かどうかも変わってきます。

原因

打撲や交通事故などによる外傷性の場合もありますが、ほとんどが先天性です。特にトイ・プードル、チワワ、ヨークシャー・テリア、ポメラニアンなどの超小型犬でよく見られます。実際の原因は滑車溝が浅かったり、ひざの周りの靭帯の位置や大腿四頭筋(だいたいしとうきん)のバランスが悪かったりすることなどが考えられています。

症状

無症状のものから、時々片足を上げてスキップをする軽度の症状、そして常に足を引きずっていたり、足が全く使えないなど、症状はさまざまです。重症の場合は骨格の変形を伴い関節炎も発症してしまいます。

膝蓋骨脱臼は、以下の4段階のグレードに分けられます。

  • グレード1:指で膝蓋骨を押すと脱臼させられるが、離せば自然に元に戻る。ほとんどが無症状で痛みもない。
  • グレード2:普段の生活で時々脱臼するが自然に元に戻る。脱臼した時はスキップをしたり、足を引きずる。脱臼を繰り返すことで骨格が変形し、症状が悪化することもある。
  • グレード3:常に脱臼した状態。指で押せば元に戻せるが、離すと脱臼する。異常な歩行が目立つようになり、階段を登れないなどの症状も見られる。
  • グレード4:常に脱臼した状態で、指で押しても元に戻せない。骨格の変形が見られ、ひざを曲げたままの状態で歩くといった歩行困難が見られる。

治療

治療は消炎鎮痛剤を投与する内科的治療か、手術で脱臼を整復する外科的治療かのどちらかですが、症状や脱臼のグレード、また犬の年齢などを考慮して個々に検討する必要があります。

グレード1か2で、症状がほとんどない場合には手術の必要はありませんが、グレード3と4では手術をした方が今後の見通しが良くなります。しかし、グレード2でも症状が重い場合は手術が推奨され、逆にグレード3でも高齢で症状があまりない場合などは内科治療で管理します。

根本的な治療は手術しかありませんが、膝蓋骨脱臼が認められた場合、手術を受けても受けなくても気を付けるべきことは、環境改善(フローリングなどの滑りやすい床を避ける)と生活改善(肥満を避ける、適度な運動をさせる、ジャンプをさせないなど)です。

また膝蓋骨脱臼は遺伝的要素が強く疑われているため、繁殖は勧められません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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