犬や猫も糖尿病になるって本当ですか ?

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Q: 犬や猫も糖尿病になるって本当ですか?
(33歳女性=会社員)

A: 糖尿病(Diabetes Mellitus)は犬や猫でもよく見られる内分泌疾患の1つです。

 

症状:
 糖尿病の主な症状は人間も動物も同じで、多飲、多尿、多食、そして体重減です。

 

糖尿病とは:
 糖尿病はひと言で言うなら糖分の代謝障害です。通常は食事を採ると、体内に取り込まれた糖質は消化され、ブドウ糖として血流にのって体内をめぐり、細胞のエネルギー源として使われます。細胞が血液からブドウ糖を取り込むには、膵臓で作られるホルモンの「インシュリン」がないとできません。
 血液中のブドウ糖の濃度=血糖値は、インシュリンによってコントロールされています。このインシュリンが何らかの理由で不足またはうまく作用しなくなると、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれなくなってしまいます。血糖値が下がらないということは、細胞にエネルギー源が供給されていないということです。細胞が飢餓状態に陥るため食欲が増進されますが、いくら食べても糖分が使えないので、身体は新たなエネルギー源として筋肉や脂肪を分解し始め、体重が減少します。
 通常では尿に糖分が出ることはありませんが、血糖値が腎臓の吸収容量を超えると尿にも糖分が出てしまいます。浸透圧の作用で、糖分とともに多量の水分も出てしまうため、多飲多尿の症状が出ます。
 糖尿病は放置しておくと白内障や臓器疾患などの合併症に加え、血液中の有害な物質が増加して糖尿病性ケトアシドーシスという重篤な状態に陥ることもあります。

 

原因:
 犬の場合は糖尿病になりやすい犬種がいることから遺伝的な要素もありますが、生活習慣(肥満、運動不足)も大きく関わってきます。
 性ホルモンの変化でなる場合もあり、発症は犬では雌の方が多く、猫では雄(去勢ずみ)に多く見られます。中高齢(8歳以上)での発症が一般的です。

 

治療法:
 糖尿病にはインシュリンが不足するI型と、インシュリンはあるがうまく作用しないII型の2つがあります。動物では圧倒的にI型が多く、治療にはインシュリン注射が欠かせません。
 治療を始める時は、入院して何度も血糖値を計りながらインシュリンの量を調節していきます。血糖値が安定したら飼い主自身が1日1回から2回、毎日決まった時間にインシュリン注射を打ってあげる必要があります。運動量や摂取カロリーによってインシュリンの必要量も変わってくるため、規則正しい生活も治療の一環です。
 インシュリンが多すぎると低血糖症を引き起こし、けいれんや昏睡を起こすことがあるので、注意深い体調監視を要します。
 ごくわずかな例外を除いて、糖尿病が完治することはありません。治療は生涯続けることになるので、飼い主に責任が大きくかかってきます。しかし血糖値がきちんとコントロールできれば、長生きすることも十分に可能です。


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戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格取得に向けて勉強中。


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