歯に問題があると言われました。

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Q: 11歳のマルチーズを飼っています。数週間前から右目の下辺りがプクッと腫れたり引いたりを何度か繰り返していました。皮膚病かと思って病院に連れて行ったら、歯に問題があると言われてびっくりしました。以前から口臭があり、歯石取りを勧められていたのですが、今度は抜歯もしなければいけないと言われてしまいました。本当にする必要があるのでしょうか。

(38歳男性=会社員)

A: 突然目の下や頬の辺りが腫れた場合、一番疑わしいのはそのすぐ下にある歯の根元周辺が化膿性炎症を起こす根尖膿瘍(こんせんのうよう)、または歯根膿瘍(しこんのうよう)と言われる歯の病気です。英語ではTooth Root Abscessと言います。犬ほどではありませんが、猫でも見られます。

 

原因

根尖膿瘍は、歯根周辺が細菌感染を起こすことで膿をもった袋(膿瘍/abscess)が形成されてしまう疾患です。

細菌感染の経緯は以下のようなものになります。
1. 外傷などで歯が折れて、露出した歯髄から細菌の侵入を許す。
2. 歯石沈着による歯周病の悪化で、後退した歯茎の隙間から細菌が侵入する。

若い犬では外傷性によるものが多く、中高齢から老犬に多く診られるのは歯周病によるものです。

 

症状

初期の症状は硬い食べ物を嫌がったり、オモチャで遊ぶのを拒んだりなどの行動変化が見られますが、ほとんどの場合顔が腫れてくることで問題に気付きます。炎症が進むと溜まった膿が皮膚を突き破って破裂することもあります。

腫れる場所は、どの歯の根元に炎症が起きているかで変わってきます。

上顎の犬歯の場合、炎症が鼻腔に向かって進むと膿が鼻水と混ざって出てきたりもします。慢性的な鼻炎の原因が歯にあったというケースも珍しくありません。

 

治療

一般的な治療は炎症を起こしている歯の抜歯です。抗生物質で炎症を一時的に抑えることはできますが、薬を止めるとまた腫れてきてしまいます。抜歯をする時は当然全身麻酔が必要になります。歯根の炎症なので、表に出ている歯や歯茎の方は一見異常がないように見えることもあるため、レントゲンで抜歯が必要な歯の確認をする必要があります。

歯の治療をすれば顔の腫れも2〜3日で治まります。場合によっては抜歯をせずに根管治療( root canal therapy)の選択もありますが、歯周病で歯の土台部分の歯槽骨が大きく失われているとできません。

 

予防

外傷性の予防で気を付けてほしいのが、食事やオヤツに与える骨です。骨の種類によっては硬すぎて、歯の健康のためを思って与える骨が逆に歯を痛める原因になっていることがあります。欠けて歯髄が出てしまった歯はその時は大したことがなさそうでも、後になって根尖膿瘍を発症することがあるため、欠いてしまった直後に根管治療か抜歯をするのが望ましいです。

オモチャ(特にテニスボール)の噛み過ぎで磨耗により歯髄が露出することもあるので、それも気を付けてください。

歯周病の予防には言うまでもなく、日ごろの歯の手入れが一番大切です。そして病院で定期的に歯を診てもらい、必要に応じて歯石の除去を行っていきましょう。最近では歯の健康の重要性が認識され、積極的に歯石除去を望む飼い主が増えています。


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戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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