急に年を感じさせる11歳の愛犬、検査の必要はありますか

Q うちの飼い犬は今年で11歳です。最近になって急に年を取ったと感じるようになりました。今までずっと元気だったので特に検査など受けさせていませんでしたが、やはりこの年になったら何か検査をした方がいいのでしょうか。ほかに気をつけることもあったら教えてください。
(48歳会社員=男性)

 

A

動物の寿命

ワクチンによる予防医学の発展やペットフードの普及による栄養の改善などで、ペットの平均寿命は猫で15歳、犬で13歳と、以前と比べ長生きするようになりました。小型犬では16歳を越えるのも珍しくありません。
 しかし年とともに老化や病疾患による体の変化ももちろん出てきます。老化のスピードも個体によりそれぞれ異なりますが、大体10歳(大型犬では7〜8歳)を過ぎたら、1度血液検査と尿検査だけでもしておくといいでしょう。

病気とその対策

高齢の犬で多く見られるようになる病気が肥満、歯周病、関節炎、そしてガンです。

肥満は若い犬でももちろん見られますが、加齢によって新陳代謝が落ちることで、さらに太りやすくなります。

肥満は糖尿病や心臓病などの内臓疾患につながるだけでなく、体重増加による関節炎の悪化にもつながるので、ぜひとも防ぎたいものです。そして適正体重の犬ほど寿命が長いことも分かっています。食事は良質タンパク質を含みつつ低カロリーのシニア用の餌を選び、食事回数も2〜3回に分けた方が代謝アップになります。

高齢犬で飼主によく見過ごされてしまうのが関節炎です。明らかにびっこを引いている場合はともかく、オモチャであまり遊ばなくなった、座ったり立ち上がったりする動作が遅い、起きてしばらくは動きが鈍い、階段の上り下りをしたがらないなどを、ただ「年を取ったから」と思われている飼主が多くいます。こういった多くの症状が、関節炎の治療をすることでかなり改善されます。

ガンを含むそのほかの病気も早期に発見できれば、それだけ治療できる可能性が上がるので、高齢犬は6カ月おきに定期検診に行くことをお薦めします。

雌犬では尿漏れもよく見られます。大抵が筋力の低下によるものですが、腎疾患や内分泌疾患による多尿もあるので、こういった場合も血液と尿の検査をした方がいいでしょう。

高齢犬の生活環境

病気ではなく、聴力の低下や足腰の弱りといった防ぎようのない老化現象もあります。そこで、段差にはスロープを付ける、滑りやすい床にはマットを敷く、餌と水のボウルはかがまなくてもいいように少し位置を高くするなど、高齢犬にはさまざまな所でちょっとした生活環境の工夫が必要になってきます。

犬は認知症になることもあり、夜鳴き、ぐるぐると旋回するなど特有の症状が見られます。初期なら投薬や処方食で症状が改善することもあります。また毎日外に出て、たくさん匂いを嗅ぐことは脳の活性化にとても大切なので、短くてもいいので散歩はしましょう。歩くことで肥満と関節炎の予防にもなります。

改善や治療のできる疾患、そして残念ながら治療しようがない病気もあります。どんな症状であれ、長生きしてくれているペットが少しでも楽に過ごせるよう、若いころ以上に気配りをしてあげるようにしましょう。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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