缶フードを好む猫、口臭が気になります

Q 5歳になる飼い猫の歯が茶色くなっていて、口臭もあるのが気になります。ドライフードが嫌いでいつも缶フードばかり好んで食べています。特に痛がっている様子はないのですが、猫も虫歯になるのでしょうか。(45歳主婦=女性)

 

A 猫の口臭の一番の原因は歯周病によるものです。猫の歯周病は非常に多く、2、3歳の若さからみられることも珍しくありません。歯周病は歯肉炎(歯茎の炎症)と、歯周炎(歯を支える歯根膜や歯槽骨の炎症)の総称です。

症状

口臭、口を気にする、よだれが増える、ドライフードを拒む、などが分かりやすい症状です。口が痛いため毛繕いをしなくなることもあります。免疫疾患などで見られる口内炎と違い、歯周病では食べられなくなることがまずないため、初期のころは飼い主が気付かないことが多いようです。歯垢や歯石が付くと歯の表面は茶褐色から灰色に変色し、歯石が歯茎に触れている箇所はたいてい赤く炎症を起こしています。猫によっては目に見える歯垢や歯石があまりなくても歯茎が赤く腫れる歯肉炎を起こしていることがあります。

原因

歯周病は歯垢や歯と歯茎の間に潜む細菌による炎症が原因です。柔らかいものばかり食べる猫や、ドライフードでもよく噛まないで丸呑みするような猫は歯に歯垢がたまりやすいので要注意です。歯垢は放っておくと石灰化して歯石となり、さらに歯垢がつきやすくなって細菌が増殖します。その結果歯肉炎、歯周炎へと進行し、歯周組織の破壊が進むと歯がぐらつき、抜け落ちてしまうこともあります。

治療

歯石は歯ブラシでは落ちません。まず炎症の原因である歯垢と歯石を超音波で粉砕して除去します。ぐらつきのある歯は、そしてレントゲンで歯周炎が進んでいると確認された歯は抜歯します。治療をする際の全身麻酔を心配される飼い主さんもいますが、歯周病を放置しておく方がよほど健康を害することになります。

猫の虫歯には付け根の部分から歯が破壊されて穴が開いてしまう破歯細胞性吸収病巣(Feline Oral Resorptive Lesion – FORL)または歯頸部病変(Neck Lesion)と言う、猫特有の歯科疾患があります。この原因はまだ分かっていません。FORLは強い痛みを伴うため、歯を軽く触っただけで痛がります。開いた穴は歯茎の下に隠れていることが多いため、ちょっと見ただけでは分かりにくい疾患です。FORLに冒された歯は抜歯をするしかありませんが、痛い歯が無くなった方が猫にとってはずっと楽になります。

予防

歯垢や歯石が付着していると歯周病になりやすいため、毎日のデンタル・ケアがとても大切になります。1番は毎日の歯ブラシ、それ以外は歯垢の付着を軽減する処方食(Hill’s t/d)や、飲み水に混ぜるHealthy mouthなどです。猫によっては6〜12カ月おきの歯石除去の処置が必要になることもあります。

8月は全国的にPet Dental Health Monthです!この機会に是非かかりつけの病院で飼い猫/犬の歯の健康状態を見てもらい、自分のペットに合ったデンタル・ケアの方法を教えてもらって下さい。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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