野生動物を捕まえる飼い猫、動物の保護や猫への影響・対処法は?

Q 飼い猫がよく鳥やトカゲなどの野生動物を捕まえてきてしまいます。小さなコウモリを捕まえて来たこともあります。幸いどれも、無事に放すことができていますが、もしひどいケガを負わせた場合どうしたらいいのでしょう?また野生動物から猫に変な病気がうつらないかも心配です。
(23歳主婦=女性)

 

A

猫と狩猟行動

肉食動物が捕食のために小動物を狩るのは自然なことですが、猫には食べるためだけではなく、本能的にただ獲物を狩る狩猟行動があります。残念ながら、オーストラリアでは、保護されている野生動物たちも猫の犠牲になっています。

生態系への影響

猫は18世紀以降、白人の入植者とともに連れて来られました。それまで天敵のいなかった多くの在来種の動物や鳥を絶滅に追いやり、今も多くの絶滅危惧種の存続を脅かしています。このため野生化してしまった猫は駆除の対象にもなっています。

野生動物の保護

飼い猫のせいでケガをした野生動物を保護したら、まずは最寄りの動物病院に連れて行ってください。どの病院も、ネイティブの野生動物は無償で受け入れてくれます。必要な治療をした後、通常は専門のボランティアに引き渡しますが、致命傷を負っている場合は安楽死させます。
 野生動物を保護する際は、大きなタオルをかぶせてから拾い上げ、適当な箱に入れて通気性のあるふたで覆い、暗くして運びます。もし逃げようとする元気があるなら、無理に捕まえてストレスを与えるより、犬や猫からの安全を確保して逃がしてやります。

注意:オーストラリアのコウモリは、人間に感染する恐れのある狂犬病と良く似た「リッサウィルス」(Australian Bat Lyssavirus)を保持している可能性があるので接触は避けてください。ワクチンと特別な訓練を受けたハンドラーしか扱うべきではありません。もしコウモリに咬まれたら、石けんで傷口を5分間洗い、ヨード系の消毒剤で消毒し、直ちに病院で診てもらってください。

野生動物による猫への害

猫が捕食した野生動物から病気をもらうことはまずありませんが、咬み傷や引っかき傷が化膿することはあります。コウモリのリッサウィルスに感染した例は今のところ人と馬だけで、犬や猫への感染の報告はありません。

猫の狩猟行動の対処

猫の狩りの本能をなくすことはできません。しかし以下のように、できるだけ猫の狩猟を減らすよう努めることはできます。

 

1. 避妊、去勢手術をする。未去勢の雄猫は遠出する傾向があります。また無駄な繁殖を防ぐことで、野生化する猫の数を抑えることが目的です。
2. 夜は外に出さない。野生動物が一番活動的なのは夕暮れと夜明けの時間帯です。
3. 猫の首輪に鈴を2〜3個着ける。音を出すことで鳥などの捕獲はだいぶ減らすことができます。音に鈍い爬虫類にはあまり効果がありません。
4. 室内飼いにする。野生動物の保護、そして猫の安全のためにも最も望ましいのが外に出さないことです。室内飼いの猫は外を行き来する猫より寿命が長いことも分かっています。

猫だけでなくあらゆる動物を飼う場合は、少しでも周りの生態系に悪影響を与えないよう、責任を持って飼ってください。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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