椎間板ヘルニアになりやすいダックスフンド、留意点は?

Q 2歳のミニチュア・ダックスフンドを飼っています。ダックスは背中が弱く椎間板ヘルニアになりやすいと聞いていますが、とくに気を付けたほうが良いことはありますか。
(25歳会社員=男性)

 

A 椎間板ヘルニア(Intervertebral Disc Disease, disc hernia)は、背骨と背骨の間にクッションの役割としてある椎間板が押しつぶされて飛び出し、脊髄を圧迫して痛みや麻痺を起こす病気です。

原因

ダックスフンド、コッカースパニエル、シーズー、コーギー、などは「軟骨異栄養性」と言う犬種で、遺伝的に椎間板の代謝異常が見られます。本来ゲル状であるはずの椎間板の中心が硬く変性し柔軟性を失ってしまうため、少しの衝撃でつぶれてしまいます。これをハンセンI型ヘルニアと言います。
 この変化は2歳までに起こるので、ダックスなどは若年齢で椎間板ヘルニアを発症してしまいます。ハンセンI型は急性に発症し、悪化するのが特徴です。
 ほかの犬種では椎間板の外側が加齢とともに変性し、次第に押し出されて脊髄を圧迫します(ハンセンII型)。このタイプは成犬から老犬に多く、慢性的に経過し悪化します。

症状

背骨のどの位置でヘルニアが起きたか、そして脊髄の損傷の度合いで症状が変わります。症状により5つのグレードに分け、高いほど回復が難しくなります。

グレード1:痛みのみ
 散歩に行きたがらない、抱えられるのや触られるのを嫌がる、背中を丸めた姿勢をとる。
グレード2:運動失調
 脚がふらつく、足先を引きずって歩く。
グレード3:完全麻痺
 起立、歩行ができない。または前肢だけで進み後肢は引きずるようになる。
グレード4:完全麻痺+排尿障害 
 自分の意志で排尿ができなくなり、膀胱がいっぱいになると尿がポタポタと垂れてきてしまう。
グレード5:完全麻痺+排尿障害+深部痛覚の消失 
 器具などで足先を強くつねっても全く感じなくなる。
治療

グレード1と2の比較的症状が軽い場合は内科療法で回復が望めます。治療の基本は痛み止めと、3〜6週間ケージの中での絶対安静です。
 症状が改善しない、また完全麻痺がある場合は外科処置の方が回復率は高く、回復までの時間もずっと短くなります。手術では背骨に穴を開けて、脊髄を圧迫している椎間板を取り除きます。
 グレード5では内科療法での回復はまず見込めず、手術は時間との戦いです。深部痛覚消失から48時間以内に手術をすれば、歩けるようになる確率は50パーセント弱ですが、それ以上時間が経っている場合回復は難しくなります。

予防

ダックスなどは遺伝的なこともあるため、どう気を付けても発症する時はしてしまいます。そのため、大切なのは発症した際の症状にすぐ気付き、早急に治療を受けることです。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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