日豪プレス「生活何でもQ&A」パートナー・ビザ、タックス・リターン編

日ごろの素朴な疑問にお答えします
日豪プレス「生活何でもQ&A

オーストラリアで生活していると、日本と違う法律や習慣などに戸惑ったり困ることが少なくない。そこでよく話題に上る疑問を、その分野の専門家に直接質問してみた。日ごろから感じていた疑問の解消の一助になれば幸いだ。

ビザ

Q 現在、同棲中の彼氏とパートナー・ビザの申請を考えていますが、12カ月以上同棲していることを証明できません。このような場合でも申請は可能でしょうか?

A 安心してください、可能性はあります。パートナーがオーストラリアの市民権/永住権保持者、または特定のニュージーランド市民権保持者であり未だ結婚関係にない場合、通常12カ月以上のデファクト(De facto)関係を証明できれば可能です。

De factoとは「事実上、実際には」という意味。日本で言う「事実婚」にあたりますので、文字通りデートを重ねる“カップル(いわゆる彼氏・彼女の関係)”以上の関係を証明する必要があります。最近の例では同性愛者のカップルの場合にも「事実婚」としての申請が増えてきており、また時には、お互いがそれぞれ別の人と結婚していながらデファクトの申請をするというケースもあります。

通常、2人の関係を証明するものとして、以下のような項目が審査されます。

● History of your relationship(知り合ってからの関係がどのように発展していったのか)
● Financial evidence of your relationship(2人の関係を示す経済的証明)
● The nature of the household(家事における2人の役割)
● Social context of the relationship(社会的関係)
● The nature of your commitment to each other(お互いに対する意思や展望)

上記から、2人が一緒に暮らしている、すなわち同棲関係を証明できることがより現実的であるということになります。もちろん、ビザ、仕事、宗教上、またはそのほかの理由で離れ離れになり、同棲できないということもあります。そのような場合であっても、2人の事実婚関係が存在し、継続していることを証明できるように意識して、前述の証明ができる書類などを集めておく必要があります。

なお12カ月以上のデファクト証明が免除される場合として移民局は以下の項目を挙げています。

● 緊迫した状況下にあり、やむを得ない状況を移民局が納得する場合
● パートナーが救済ビザ(Humanitarian visa)を付与され、救済ビザ申請前から既にデファクト関係にあった場合
● オーストラリア国内(特定の州のみ)で交際関係を登録している場合

近年パートナー・ビザの申請料が大幅に値上がりしました。経済効果を狙った改定でもありますが、提出書類の不備や不足資料などの多さから、審査に膨大な労力と時間を要するという理由からの値上げでもあります。決して安くない申請料を支払っての申請となるため、きちんとした申請が行えるように専門家に相談することをお勧めします。

回答者:清水英樹(Hideki Shimizu)
QLD州弁護士、ビザ・移民法政府公認アドバイザー(MARN 9900985)。「清水国際法律事務所」筆頭弁護士所長のほか、移民ビザ専門コンサルティング会社「GOオーストラリア・ビザ・コンサルタント」、各種不動産売買手続き専門法律事務所「Conveyancing Home QLD」を経営する


タックス・リターン

Q 「タックス・リターンをしていない」とATOから警告の手紙が来ました。ここ数年働いていなかったのでタックス・リターンをしなくても良いかと思っていたのですが…。

A 「タックス・リターンができるか」という質問を受けることがありますが、これはあまり正しい日本語ではありません。タックス・リターンはできる・できないではなく、法律で義務付けられている「確定申告」のことを指します。タックス・ファイル・ナンバーを持っている、または取得するべき個人・法人などには毎年何かしらの税務順守義務が生じます。

タックス・リターンの申告義務がない人も、「申告義務のない旨を証明する届出」をする必要があります。

税務順守はオーストラリアで生活していく上で、そしてビジネスを運営する上での我々の義務です。これは市民権保持者、永住権保持者、またはビジネス・ビザ、ワーキング・ホリデー・ビザ、学生ビザ保持者などのステータスに全く関係なく課せられるものです。

義務ですので、未申告は罰金、起訴の対象となります。つまり返金額の大小や、追加で税金を支払う可能性の有無にかかわらず、申告しなくてはなりません。「返金額が少ないから」とか、「タックス・リターン代の元を取れないから」といったことを理由にすることはできません。

タックス・リターン未申告に対する罰金を、最近ATOはITシステムの進歩で積極的かつ早めに出すようになってきています。現在、1年分の未申告で900ドルの罰金です。警告の手紙を受け取ることができた場合は、指定の期限までに申告すれば問題ありませんのでラッキーです。しかし住所変更をしておらず手紙を受け取れなかった、警告なしに罰金を課されたなど、知らない間にATOに債務があるということも多々ありますので要注意。以下のようなケースが盲点となりやすいので確認してみましょう。

● 子育てのため仕事をしばらくしていない
● オーストラリア国外在住でオーストラリアに賃貸収入がある
● オーストラリア国外在住または日本に帰ったが、銀行にその旨を伝えていない
● ABNを昔取ったが、現在は使っていないので放置している
● ATOのEtaxで自分で申告してみたが実際は手続きが完了していなかった

この罰金は、適当なオーストラリアらしく、ある人にはすぐに科され、ある人は数年未申告でも何もない、という不公平な側面もあります。

ビジネスにおいても、法人や企業合同を設立した場合や、自営業者でGSTを一応登録したが何も活動していないからといってタックス・リターンやBASの申告を放っておくことで、罰金を課されることもあります。特にビジネスを行っている人でタックス・リターン申告をしていない場合、今まで未払いの数年分の所得税、GST、従業員の源泉徴収の支払い、罰金がすべて一度にのしかかってくるため、破産に至るケースもあります。

回答者:賀谷祥平(Shohei Kaya)
競馬騎手、Ezy Tax Solutions Pty. Ltd.代表取締役。豪州公認会計士、米国公認会計士、登録税理士、MBA。James Cook University経営学修士、University of New England会計学修士、上智大学経済学部卒。2001年上智大学在学中に、騎手を志し豪州の競馬学校に入学。03年、NSW州Coffs Harbour競馬場にて騎手デビュー。在豪邦人・企業だけでなく、日本在住の日本人、オーストラリア人の税務遵守に尽力している。日本人のみならず、豪州全土の4,000人超の個人、300超のビジネスの顧問税理士、会計士を務める

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る