AUSで安全・快適カー・ライフ【2016】

広大なオーストラリアでは、日常生活に自動車はなくてはならない存在だ。日本の運転免許をオーストラリアの免許証へ書き換えるのも簡単で、日本と同様に車は左側通行、道路も広く運転しやすい。その一方で、書類上の手続きや、交通事情の違い、まさかの時の対処など、不安な点もあるだろう。しかし何よりも車があれば、行動範囲もぐっと広がり便利になる。このガイドを参考に、オーストラリア流のカー・ライフを安全にそして快適に楽しんでみよう。文=内藤タカヒコ

豪州の運転免許への書き換え

最初に断っておくが、オーストラリアは日本と違い、自動車や免許に関することは州政府が行うため、州によって条件などが異なることを理解しておこう。

観光などでオーストラリアに短期間滞在する場合なら日本の運転免許や国際免許で自動車を運転することができるが、3カ月以上滞在する場合は、オーストラリアの運転免許へ書き換えることが法律で定められている。

書き換えには、①日本で有効な運転免許証、②免許証の公的な英訳、③パスポート、学生証やクレジット・カードなど身分を証明するもの、④タックス・ファイル・ナンバー取得時の手紙や銀行からの手紙など住所が確認できるもの(州によって異なる)、などが必要になる。

これらの書類が準備できたら、各州の陸運局に相当するオフィスへ行き申請書類に記入し、視力検査、写真撮影を行えば、オーストラリアの運転免許証が発行される。基本的に25歳以上であれば、学科試験、実技試験が免除される(免許取得年数や州によって異なる)。

なお、NSW州の免許に書き換える場合は、6カ月以上連続してNSW州に滞在していなければならない。1日でも出国した場合は最初から数え直しとなるので注意しよう。

免許証の有効期限など、州によって状況が異なるので、詳しくは住んでいる州の陸運局のホームページで確認しよう。(Web: www.australia.gov.au/information-and-services/transport-and-regional/driving-with-an-overseas-licence

■免許取り扱い窓口

窓口 英文翻訳証明書
NSW州 Roads and Maritime Services Multicultural NSW(旧CRC)が翻訳したもののみ
QLD州 Queensland Transport 領事館または政府公認のNAATI資格保持者が翻訳したもの
TAS州 Department of State Growth Transport
ACT Road Transport Authority
VIC州 VicRoads
WA州 Department of Transport
SA州 Travel and Motoring
NT準州 Department of Transport

*NSW州は他の州と異なり、大使館・領事館やNAATIの翻訳は不可で、MNSW(旧CRC)が翻訳した書類のみが有効

自動車の購入と登録

自動車を購入する場合、新車や中古車をディーラーで購入するか、中古車を個人売買するかになる。ディーラーで買うならば、中古車であっても整備されているし、一部に制限はあるが保証もされている。一方、個人売買は安く購入できるが、保証がないなどリスクを伴う。コンディションのアタリ・ハズレもあるので車に詳しい友人などと一緒にチェックしよう。また盗難車やローン返済中でないかなど、必ず車の履歴をREVS check(Web: www.revscheck.com.au)で確認すること。さらにNSW州、QLD州、TAS州では、車の売買時にロード・ワーシー・サティフィケート(RWC: Road Worthy Certificate)と呼ばれる車両点検証明書の提示が義務づけられているのでしっかり確認しよう。なお、州をまたいでの中古車購入は手続きが非常に複雑になるのでお薦めできない。売買が成立したら陸運局へ売り主と一緒に出向き、名義変更を行い、その後登録手続きをすることになる。

QLD州での登録手続きは通称「レジョ」(Vichle Registration = Rege)と呼ばれ、ディーラーで購入した場合は基本的にディーラー側が行うが、個人売買の場合は手続きなどを自分自身で行わなければならない。また次年度以降は毎年更新する必要があり、郵送された書類を確認し、半年または1年の期間を選択し指定された金額を振り込めば完了となる。しかしこれらの手続きも州によって異なるため詳細は各州の陸運局のウェブサイトで確認しよう。例えばNSW州などの登録手続きは以下のようになる。

①車検を行う。日本に比べると簡略化されており、陸運局認定の整備工場で整備、点検をし、必要があれば部品交換を行い、合格すればオンラインで陸運局へ連絡される。新車購入の場合は最初の3年間は不要だが翌年から毎年必要となる。なお州によっては登録の更新時車検が不要の州もある。

②強制保険への加入。日本の自賠責保険と同様で、加入が義務付けられている対人保険で、CTP(Compulsory Third Party Insurance)と呼ばれる。保険会社を選べない州と、NSW州やQLD州のように複数の保険会社から選択できる州がある。契約すると、自動的に陸運局へ連絡される。

③登録。車検、強制保険への加入後、登録(更新)をする。登録はインターネットで可能。この時、登録費と自動車税を支払う。

以上で登録は完了だが、できれば対物保険や車両保険にも加入するといいだろう。また日本のJAFのようなロード・サービス(表)に加入しておけば、24時間の電話対応やレッカー移動などが利用でき、まさかのトラブルの時も安心だ。

オーストラリアの車検は、基本的に車が最低限安全に動作するかどうかを確認するだけの点検なので、部品交換がなければ10分程度で完了する。州によっては毎年点検しなければならない。安全・安心のためにも定期的に整備工場で点検・整備することをお勧めする。

■自動車の登録の流れ

① 車検を通す▶▶

陸運局の認定整備工場で点検・整備。必要があれば部品交換など
*QLD州など州によっては不要

② 強制保険への加入▶▶

Compulsory Third Party Insuranceの契約。インターネットでも可能

③ 登 録

登録費、自動車税を納付。インターネットでも可能

■主なロード・サービス

名称 ウェブサイト
NSW州、ACT NRMA Web: www.mynrma.com.au
QLD州 RACQ Web: www.racq.com.au
TAS州 RACT Web: www.ract.com.au
VIC州 RACV Web: www.racv.com.au
WA州 RAC Web: rac.com.au
SA州 RAA Web: www.raa.com.au
NT準州 AANT Web: www.aant.com.au

運転時の注意点

オーストラリアでの運転は日本と同様の左側通行である。道幅は広く、車の量は多くないので日本人には運転しやすい。しかし、ウインカーを使わずに曲がったり、走行中に他の車線からの割り込みをするドライバーもいる。さらにブレーキ・ランプが壊れて点灯しない車もあるため、車間距離を広めにして運転するようにしよう。

●運転する前に点検をしよう

オーストラリアで運転をしていると、何らかのトラブルで路肩に停車している車をよく見かける。運転する前に簡単な点検を自分で行うようにすることで、このようなリスクをかなり抑えることができる。

点検のポイントは以下の4点。①ブレーキの確認。フット・ブレーキ、サイド・ブレーキが確実に効いているかを確認。②灯火類の確認。ヘッドライト、ブレーキ・ランプ、ウィンカーがきちんと点灯するか確認。③燃料の残量の確認。途中でガス欠にならないように残量をしっかり確認する。④タイヤの確認。タイヤの溝がしっかりあり、摩耗していないか確認する。空気圧が適正か確認する。給油時にガソリン・スタンドでタイヤの空気圧をこまめにチェックするようにしよう。

エンジン・ルームの確認は専門的なこともあるが、自分で確認できる人は積極的にチェックしよう。ウォッシャー液の確認や補充なら自分でできる。バッテリー関係やラジエター液、ブレーキ・フルード、オイルなどの確認も行いたいが、自信のない人は定期的に整備工場で点検するようにしよう。特にエンジン・オイルは大体のメーカーは5,000キロごとの交換を推奨している。交換の際、他の部分にも問題がないか、点検・整備をしてもらうといいだろう。

●ガソリンスタンドを利用する時

オーストラリアのガソリンの種類は日本とほぼ同じだ。主流の無鉛ガソリンは「Unleaded」といい、その後に付いている数字の「91」などはオクタン価を表す。「91」は日本のレギュラー・ガソリンに相当し、「Premium」や「95」以上はハイオク・ガソリンでスポーツ・カーなどで使用する。「Leaded」は有鉛ガソリンで一部の古い車はこれを給油する。また「E10」と呼ばれるエタノールを添加し環境問題などに配慮したガソリンもある。「Diesel」は軽油のことで、ディーゼル・エンジン車専用の燃料なので間違えないようにしよう。

基本的に給油はセルフサービスで、ガソリン・スタンドによっては、事前に何リットル入れるかを決められたり、クレジット・カードで支払いが可能な所がある。給油が終わったら、レジへ行って、自分が利用した機械の番号を言って支払いを済ます。支払い前に車を動かすと、泥棒と間違えられるので動かさないようにしよう。

●運転する時に気をつけるべきポイント

同乗者はシートベルトの着用、7歳未満はチャイルド・シートの使用が義務づけられている。運転中の携帯電話の操作は禁止となっており、触れるだけでも違反となる。また学校の周辺はスクール・ゾーンになっている。通学時間帯には速度制限が厳しくなり、取り締まりも多く行われる(標識1)。

オーストラリアにはラウンド・アバウトと呼ばれる環状交差点がある。車は必ず時計回りで走行する。

またアルコールを摂取しての運転は、一定量以内であれば認められている。しかし微量の飲酒でも運転に支障が出るので、「飲んだら乗らない」を実行してほしい。

同乗者に子どもがいる場合、車内での喫煙は違反となる点も気を付けよう。

路上駐車をする時は標識を必ず確認する(標識2)。標識の一番上の大きな数字は駐車可能時間。その下に「PAY & DISPLAY」や「TICKET」、「METER」などの表示があれば、パーキング・メーターで駐車代を支払い、ダッシュボードにチケットを掲示。無表示なら無料で駐車できる。更にその下にはこれらが適用される時間帯と曜日が示されている。この期間以外は、駐車可能時間に制限がない。駐車の取り締まりは厳しいので、きちんとルールを守るようにしよう。

市街地では各所にUターン許可の標識があり、標識がない場所では禁止となる(標識3)。T2やT3の標識はトランジット・レーンで、たとえばT2なら車に運転者を含めて2人以上乗っている車両が優先的に走れる車線を意味する。もし1人しか乗っていない車がこの車線を走行した場合は違反となる(標識4)。また郊外では動物の飛び出し注意の標識が多く見られ、カンガルーやコアラ、エミューなど、いかにもオーストラリアらしい光景だ。特に夜間は注意しなければならない。カンガルーは突然の光(車のライト)に驚くと、光のある方向へ飛び出す習性があり、深刻な事故になるケースが多い。見通しの悪い状況では細心の注意が必要だ(標識5)。

そして突然の気候変化にも注意しよう。集中豪雨や突風などに加えて、河川の氾濫が多いのが特徴で、特に道路が冠水している時は、絶対に近寄らないようにしよう。

日本では道を譲られた時にハザード・ランプを点灯させるサンキュー・ハザードのマナーが一般的だが、オーストラリアではハザード・ランプは緊急事態の場合のみ点灯させるので、うっかり出さないように気を付けよう。

●有料道路を利用する場合

主要都市の周辺部などの限られた場所ではあるが有料道路があり、日本のような料金所がなく電子決算で、通行した車両はカメラで記録される。精算方法はQLD州では、①E-tagというプリペイド式の電子端末で支払う(Web: www.govia.com.au/web/ssp/go-viatag)、②インターネットでクレジット・カード払い。通過後または事前にナンバーと期間を設定し、カード引き落としにする(Web: www.govia.com.au/via/home)、③電話でクレジット・カード払い、などの方法がある。

標識1:スクール・ゾーン。学校のある日の登下校の時間帯は要注意
標識1:スクール・ゾーン。学校のある日の登下校の時間帯は要注意
標識2:路上駐車には制約が多いので付近の標識を必ずよく見て確認
標識2:路上駐車には制約が多いので付近の標識を必ずよく見て確認
標識3:この表示があれば、Uターン可能。なければ禁止
標識3:この表示があれば、Uターン可能。なければ禁止
標識4:トランジット・レーンは、表示人数以上が乗っていれば優先的に走れる車線
標識4:トランジット・レーンは、表示人数以上が乗っていれば優先的に走れる車線
標識5:動物飛び出し注意。深刻な事故につながるケースがあるので注意する
標識5:動物飛び出し注意。深刻な事故につながるケースがあるので注意する

もしもの時は……

交通違反を犯してしまった場合、その場で違反キップを渡されるか、後日郵送されるので指示に従って期日までに罰金を支払うこと。レンタカーの利用時に違反をして、そのまま罰金を払わずに帰国した人が、後からペナルティーとして多額の罰金を請求されたというケースもあるので、速やかに支払おう。また違反に対して異議を申し立てることも可能で、その際は違反の通知書に記載されている発行機関へ違反となったことに対する自分の反論を書面にし、また反論をサポートする証拠(写真や証言など)をできるだけ集めて提出する。

もし交通事故にあった場合は

①直ちに車を停めて安全確認をし、けが人がいないか確認、周囲の安全を確保する。

②負傷者がいる場合は「000」に電話し、救急車、警察の出動を要請。車内に閉じ込められて出られない人がいる場合は消防に出動を要請する。

③負傷者がなく、軽度の事故の場合も警察へ連絡し、お互いの氏名、住所、連絡先、免許証番号、車のメーカーや車種、ナンバー、保険会社の詳細などを交換し、目撃者がいる場合は協力をお願いし、連絡先を聞いておく(通常、車の同乗者は目撃者にはならない)。人身事故や重度の事故なら警察は出動するが、軽微な事故はインターネットなどでの報告だけということもあり、この場合は速やかに事故の詳細を報告すること。なお当て逃げやひき逃げは必ず警察に通報し、相手の自動車ナンバーなど可能な限りの証拠を確保し、周囲に目撃者がいないか呼びかけたり、監視カメラの映像がないか確認などしよう。

④写真やビデオなどで事故の状況が分かるように撮影する。時間、場所、天候などの状況をメモしておく。

⑤警察へ事故の報告を行い、完了したら報告書のレシートが発行されるので大切に保管する。

⑥保険会社へ連絡する(この時事故報告書のレシートの番号が必要になる)。

⑦保険会社の指示に従って車を修理に出す。以後は双方の保険会社が示談手続きを進めていく。余計なトラブルを引き起こさないためにも当事者同士で直接連絡をしないで、必ず保険会社経由で行うようにしよう。

⑧また損害の規模が大きかったり、重度の後遺症が残るなどの場合は交通事故を扱う弁護士に必ず相談するようにしよう。

■事故に遭った場合の対処手順

事故に遭った場合の対処手順

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