【特集】心穏やかに最期を迎えるためにオーストラリアで「終活」を考える②


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遺言

◆遺言書 取材協力=山本法律事務所/山本智子さん

遺言書とは


「遺言書」とは、自分の遺産がどのように誰の采配で分配されるか、生前の諸事の整理がどのように行われるか、没後の葬式の形式などが明記される文書のこと。こうした処理に故人の遺志を反映させる手段は遺言書の他に無く、例えばある特定の近親者に対し分配割合を多くしたい、チャリティー団体などに遺産を分配したいと思っていても、これらの遺志が遺言書で明記されていなければ実現することは出来ない。

そのため遺言書は、遺産の分配を始めとした没後の本人の意思を明確に示すための唯一の方法となり、非常に重要な書類となる。

遺言書を残さなかった場合

もし遺言書を残さずに死亡した場合、遺産は故人の遺志とは無関係に関連法律に従って規定の親族に、また規定の配分で分配される。

遺産の相続権を与えられている親族は、配偶者または事実婚の配偶者、子ども、孫、親、兄弟姉妹、祖父母、おじ・おばとされている。関連法律上相続権を与えられている近親者が誰もいなければ(いとこより近い近親者が遺族にいない場合)、個人の遺産は国家に帰属することになる。

訂正が必要なタイミング

まず、作成した遺言書が有効なものとなるためには、常に作成した本人の境遇に合致したものである必要がある。そのため、結婚や離婚などの境遇の変化の際には、新たに遺言書を作成する必要が生じ、遺言書作成後に結婚した場合、婚前に作成された遺言書は一般に全て無効となる。

また離婚の場合は、必ずしも遺言書の内容全てを無効にするものではないが、婚姻期間中に作成された遺言の配偶者に関わる規定が全て無効になるので特に注意が必要だ。

作成後の注意点

遺言書を実際に作成してからの注意点としてまず気をつけておきたいのが、上記の訂正の場合を除き、一度遺言書を作成したら加筆修正などは絶対に行わないことだ。加筆修正が行われた時点で、その遺言書は無効となる。また、遺言書は最新の物が過去の内容全てを無効にする効果を持つため、混乱を防ぐためにも過去に作成された遺言が手元にあれば破棄する必要がある。

次に遺言書作成後に必要なこととして挙げられるのが、遺言書を作成したら遺言執行人(複数任命していればそれぞれ)に作成者本人の「署名無し」の遺言書のコピー(フォトコピー)を渡し、遺言書原本の保管場所の指示をしておくこと。法律上正式な遺言は原本の1通のみとされ、本人の署名がある遺言が複数存在すると原本が正式な遺言として見なされなくなる可能性が生じる。そこで、遺言執行人には作成者の署名無しの状態のコピーを渡さなければならない。

◆Power of Attorney 取材協力=山本法律事務所/山本智子さん

遺言書と共に準備したい書類

「Power of Attorney」とは自身の財産管理を第三者に委任するための法的文書のこと。委任を受けた者(Attorney)は委任者の銀行口座、有価証券、不動産などあらゆる財産に関する取引を代理で行う権限が与えられる。

Power of Attorneyには、「General Power of Attorney」と「Enduring Power of Attorney」と呼ばれる2種類のものが存在する。

上記のうち前者は、委任者が不能状態(判断知能を喪失すること)に陥った時点で効力が失われる性質を持つことが特徴で、委任者が海外渡航などで一時的に不在にしている間などの際に短期目的で作成され、管理する財産も限定的に記載される。

後者は、前者と違い委任者が不能状態に陥った後も効力が継続する。そのため、後者の文書は不慮の事故によるけがや病気、また加齢に伴い可能性が高くなる知能障害などに備えて作成される場合が多々ある。

もし存命中に「不測の出来事」が起こり、高額治療費などに自身の財産からの支払いが必要となった場合、その時に自身の判断能力が失われてしまっていれば、財産の処理が出来ないことになってしまう。

遺言書の受益人である親族であっても、不動産を処理する契約書に代理署名することなどは基本的に不可能であり、銀行口座からの金銭引き出しも共同名義の口座でないかぎり難しい。「もしも」の時に備え、Power of Attorneyはぜひとも検討しておきたい文書だ。

もう1つの文書

Power of Attorneyと同時に備えておきたい文書に「Enduring Guardianship」と呼ばれる文書がある。

Power of Attorneyは財産管理の委任をするためだけの書類であるが、自身がどのような治療や投薬を受けるか、またはどこの(医療)施設に入所するかなどに関する判断をAttorneyに委ねることは出来ない仕組みとなっている。

Enduring Guardianshipはこうした健康や生活面に関する判断を委任する際に作成されるもので、Power of Attorneyと別に作成される必要がある。ぜひ、Power of Attorneyと併せて作成を検討してはどうだろうか。

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