【特集】心穏やかに最期を迎えるためにオーストラリアで「終活」を考える④


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介護

◆介護保険 取材協力=ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)/沼田貴史さん、小島直美さん

介護を始めるには


オーストラリアで自身または身内に介護の必要性を感じた時、経済的な負担を軽減したいのであれば、日本と同様、「要介護度」の認定を受け介護保険を積極的に利用しなければならない。

要介護度の認定を受けるには、オーストラリアではまず介護を受ける本人または家族が自治体ではなく連邦政府の運営する「マイ・エイジド・ケア」(Web: www.myagedcare.gov.au、Tel: 1800-200-422)に電話で連絡し登録を済ませ、要介護度(軽度または中度・重度)の認定に向けた手続きを進める仕組みとなっている。また、英語でのコミュニケーションに不安がある場合は、無料通訳サービス(TIS、Tel: 13 14 50)を利用しマイ・エイジド・ケアへの登録、手続き進めることも可能だ。

サービス利用までの具体的な流れ

マイ・エイジド・ケアへ登録を行う時、初回の電話で質問される項目は主に以下の通りとなっている。

初回登録の質問内容(5~10分で登録完了)
● 氏名
● 現住所
● メディケア番号
● 生年月日
● 居住形態(一人暮らし、または家族などと同居しているか。居住に経済的援助を受けているか)
● アボリジニーまたはトレス諸島出身かどうか
● 出生国
● 母国語
● 電話番号

上記の項目を伝えると、その場でマイ・エイジド・ケアのID番号が電話口で交付され登録完了となる。マイ・エイジド・ケアのID番号はカードや書類として発行されないため、必ず申請者自身で控えておく必要がある。

次に介護が必要になった際(もしくは初回登録時の段階)に、再度マイ・エイジド・ケアに電話し、電話で介護度認定のための簡易アセスメント(約10~20分)を受ける流れとなっている。簡易アセスメントの際に受ける主な質問項目は、以下の通り。

簡易アセスメントでの主な質問項目
● 今後どのようなサポートを受けたいか
● 他にエイジド・ケア・サービスを受けているか
● 政府から他に何か援助を受けているか
● 買い物は1人で行くことが出来るか
● 歩く際に補助器具を使用しているか
● 薬局に1人で薬を取りに行くことが出来るか
● 家事をする際に体のどこかに不自由は感じるか
● 生活をする上で何か困る動作はあるか

電話アセスメント後、3~6週間以内にマイ・エイジド・ケアから電話で自宅への訪問アセスメント日時が伝えられる。指定の日時に政府から委託されている地域の団体より、軽度の介護度を認定する認定者(Regional Assessment Service/RAS)または中度・重度の介護度を認定する(Aged Care Assesment Team/ACAT)認定者が自宅へと派遣される。認定者が自宅へ派遣され訪問アセスメントを行う際も、上記電話アセスメントとほぼ同じ質問がされるケースが多い。

介護に向けた事前準備

一言に介護と言っても、将来サービスの受け手となる本人の健康状態によりその内容はさまざまだ。一方で、「もしも」の時を考え事前に介護サービスを受けるための準備をするのであれば、大きく以下の4点の事前準備が挙げられる。

① セミナーや勉強会などに行き、大まかな介護の仕組みや掛かるコストを理解する。

② マイ・エイジド・ケアのウェブサイトに、資産と年収を基に幾ら介護コストを試算するページがあるため、そこに自分の現在の資産と年収を入れてコストをある程度把握しておく。

③ 自身がどのような場所で最期を過ごしたいかを考え、機会があれば老人ホームなどを見学し、どのような所か、また行きたい老人ホームがあるのかなどを把握しておく。

④ 家で介護を受けたい場合は、家に人が来てもらうこと(そして介護をしてもらうこと)に慣れておく。

◆施設ケア(老人ホーム)

取材協力=ジャパン・トータル・ケア・サービス(JTCS)/沼田貴史さん、小島直美さん

施設での介護


もし在宅での介護が難しいと感じれば、考えなければならないのが施設での介護だ。一般的に「老人ホーム」と呼ばれる介護施設だが、オーストラリアの公的な介護施設は、要介護度の低い人を対象とした「ホステル」と要介護度の高い人の「ナーシング・ホーム」の2種類に分かれる。ただし、近年では同じ施設内で要介護度により上記の区分を分けることが多くなってきているため、これらの違いはほとんどなくなってきている。

サービスを受けるまでの流れ

実際に公的な介護施設でのサービスを受けることを希望する場合、介護保険の認定の場合と同様マイ・エイジド・ケアに連絡をすることから始まるが、施設入居までの流れは以下の通りとなっている。

① マイ・エイジド・ケアに連絡をする。
② マイ・エイジド・ケアにより介護度のアセスメントを受け、介護度を認定してもらう。
③ センターリンクで施設への入居を希望する本人の年収と資産の認定を受ける。
④ 希望する介護施設に連絡し、部屋の空き状況を確認する。
⑤ 希望する介護施設に空きがあれば、介護施設に行き入居日や必要な費用について調整する。
⑥ 調整して双方が合意すれば入居。

想定する費用

介護施設への入居を考えた際に気になるのが、必要となる費用ではないだろうか。介護施設入居に当たり掛かる入居金や住居費といった費用は施設により異なるため、一概に年間に要する費用などを知ることは難しいが、日々に掛かる費用の試算は入居者本人の年収と資産に基づきマイ・エイジド・ケアで行うことが可能となっている。そして、入居者本人の年収と資産の状況により、求められる費用は以下の通り大きく2通りに分かれる。

年収と資産が十分に無い場合
 年間に必要な費用などは年金の支給額以上に掛かることはなく、入居金なども保有資産以上に求められることはない。

年収と資産が十分にある場合
 入居金は、施設のあるエリアの平均的住宅価格の80パーセント程度とされている。その他に、1日150ドル程度の生活費用が掛かるとされているが、収入、資産、健康状況などにより正確な費用は変動する。

施設を探す際の注意点

入居する施設を探す祭、必要とされる費用以外にどのような点を気にして探すのが良いのだろうか。介護施設を探すに当たり特に注意しておきたいポイントを以下にまとめてみる。

● 入居金はもちろん、日々のケアには幾ら掛かるのか、また追加でのケアが必要となった場合は幾ら掛かるのかを確認する。

● 食事とお風呂(シャワー)を始め、日々のアクティビティーにどのようなサービスが提供されているのかを確認する。

● 面会時間がどのように設定されているかなど、家族や友人が訪問しやすいかを確認する。

● 施設内の設備の充実具合や豪華さなどではなく、スタッフの対応やスタッフ1人あたりが受け持つ入居者の人数などを確認する(一般的に、スタッフへの負荷が少ない方が良いサービスが提供される傾向にある)。

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