【QLD】すてきに年を重ねよう!リタイアメントに備えて今できること④

すてきに年を重ねよう!リタイアメントに備えて今できること

年金 取材協力=ライフメイツ社会保険労務士事務所/蓑田透さん

日本の公的年金の受給資格

日本の年金をオーストラリアで受給するために、まず受給資格はどのようなものかを確認しておこう。

日本の公的年金には「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、以前はこの他に「共済年金」もあったが、2015年10月から厚生年金に一本化された。

基本となる「国民年金」とは、日本に住む20歳以上60歳未満の人(第1号被保険者)が年金保険料を納め、原則65歳以降に受け取りができる公的年金のことで、「老齢基礎年金」とも呼ばれる。そのため、保険料さえしっかりと納めていれば誰でも受給することができると覚えておこう。20歳から60歳までの480カ月間を滞りなく保険料を納付していれば、65歳で満額受給できる。従来、25年間納付しないと国民年金の受給資格を得ることができなかったが、2017年8月より10年間保険料を納めることで受け取りができるように改正された。この改正により、さまざまな事情で一時納付が途切れたとしても、10年間納付した人であれば「国民年金」受給資格を得ることができる。

保険料は「納付対象月の翌月末」が納付期限であり、2年間の有効期限を過ぎると納付することができなくなる。年金未納が発生すると受け取れるはずの年金が受給できなくなったり、受給額が減少するなどの問題が発生するため、「後納制度」と呼ばれる2年以上前の年金をさかのぼって納付することができる特別な措置が現在施行されている。同制度は2015年10月1日から始まり、過去5年間にわたって未納分を納付することができる「年金事業運営改善法」も今年9月30日まで施行されている。年金未納者の人はこの機会をぜひ活用しよう。

一方、「厚生年金」とは、厚生年金保険の適用を受ける法人企業に勤務する全ての会社員と公務員(第2号被保険者)が加入する公的年金で、受給額は、個人の報酬額と勤続加入期間によって決まるため、それぞれに異なる。

厚生年金加入者は自動的に「国民年金」にも加入するため、受給年齢に達すると「老齢基礎年金」に加え「厚生年金」も受給することになる。「厚生年金」も「国民年金」同様に25年から10年の保険料納付期間で受給できるように改正されている。

障害年金

通常の受給開始年齢65歳に達していない加入者が、けがや病気などによって、法令で定められた1級、2級レベルの障がい状態に認定された場合に受け取れる「障害年金」がある。障がいの原因となった傷病の初診日に「国民年金」、または「厚生年金」に加入しいたことが必要条件となる。

遺族年金

65歳を前にして加入者が死亡した場合に遺族の生活が困窮しないように受け取れる「遺族年金」がある。

国民年金の場合、子どもを支えることを目的としているので、18歳未満の子どもがいない遺族には支給されない。その場合、配偶者には「寡婦年金」が支給される。一方、厚生年金の場合は、子どもの年齢や有無にかかわらず、受給権が妻の場合は、死亡した加入者の支払った厚生年金保険料に応じた年金額を65歳になるまで受け取れる上に、40歳から65歳までの間「中高年寡婦加算」があり、手厚い保障を受けられる。

しかしながら、「障害年金」も「遺族年金」も年金が未納であると、いざという時に家族が受け取れないことを理解しておこう。今一度、日本年金機構のウェブサイトで日本の公的年金制度の受給資格をしっかりと見直しておこう。

公的年金をオーストラリアで受給する

国籍や居住地に制限はなく、請求手続を行えばオーストラリア在住でも日本の公的年金を受け取ることができる。また、オーストラリアと日本は社会保障協定を締結しているので、日本の年金加入期間が受給資格に満たなくとも、両国相互に通算して、日本の年金を受給することもできる。日本の年金受給の方法は以下の3つが挙げられる。

  1. ①帰国して手続きを行う
    全国各地にある年金事務所に出向き続きを行う。
  2. ②日本の家族または専門業者に依頼
    日本の家族や専門業者に手続きの依頼をする。その際、受給者本人からの委任状が必要となる。
  3. ③オーストラリアで手続き
    下記のサイトから必要書類をダウンロードしてATOまたはセンターリンクで手続きを行い日本の年金事務所に書類を送付する。

スーパーアニュエーション 取材協力=Wealth Protection Australia Pty Ltd/吉住京子さん

スーパーアニュエーションとは

スーパーアニュエーション(以下スーパー)とは、オーストラリアの企業、個人の積み立て年金(確定拠出年金)制度のことを指す。老齢年金(Age Pension)とは異なったものなので注意しよう。

オーストラリアで従業員を雇用し、給料を支払っている会社は、従業員に対して、給料の9.5パーセントをスーパー専用の口座へ積み立てることが決められており、スーパーの口座は本人が選ぶこともできるが、場合によっては、会社が口座を作って、そこで積み立てることがある。そのため、転職で複数の会社に勤めたことがある人は、働いた会社の数だけスーパーの口座を持っていることもある。

スーパーの口座に積み立てられたお金は、多少の増減はあるものの、リタイアメントに備えて増やすように資産運用され、一般的にその投資内容は個人で決めることができるようになっている。投資によって発生した利益に課される税率は15パーセントのため、個人の税率によってはスーパーを使って投資をした方が節税効果が見込める有利な場合もある。

しかし、給料の9.5パーセントのスーパーへの積み立て値は、平均所得者の場合、将来安定した豊かな老後に必要な額を生み出すことは不可能と言われおり、課税前のサラリー・サクリファイス(給与を全部受け取る代わりに一部をスーパー口座へ積み立て、所得を減らし税金を低くすること)を始めることにより、節税及び老後のためのスーパー残高も増やすことができる。

また条件が合えば、一定収入以下の人が税金を支払った後に自身の資金をスーパーに積み立てると政府が最高で500ドルの追加積み立てを援助してくれるという「スーパー・コー・コントリビューション」という制度も利用できる。スーパー・コー・コントリビューションの詳細は、ATOウェブサイトで確認しよう。

スーパーはリタイア後の大きな資産

転職などの理由で複数のスーパーの口座を持っている人は、まずは、それらを1つにまとめることから始めよう。まとめることで、複数のスーパー・ファンドそれぞれの操作に必要な管理手数料を減らすことができると共に、投資内容の検討、資産の配分、将来の計画に沿った管理が可能になる。

リタイア後の大きな資産となるスーパーは、どのスーパーファンドを選ぶのか、どのように運用していくのかによって、大きく影響される。言い換えれば、リタイア後のライフスタイルは、ファンド選びの結果によって変わってくるということだ。スーパーは長期間置いたまま忘れがちになるが、より有利な運用方法や金融商品は流動的に登場し、最適な節税条件なども絶えず変化していくので、専門的な知識を持つファイナンシャル・プランナーと2年に1度くらいの頻度でスーパーの見直しを行うことが、結果的に大きな資産を生むことにもなるかもしれない。


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