充実のシニア・ライフのための9ステップ

充実のシニア・ライフのための9ステップ

シニア・ライフは安心して、ゆっくりと過ごしたいですよね。個人の状況で税率や年金の受給額、ライフスタイルによっては必要な金額が違うため、自分なりのプランが必要となってきます。老後へ向けての計画なので、子どもや家族への資産分与も視野に入れて考えなければなりません。また、将来状況が大きく変わる可能性もあり得ますので、融通が利くことも大切です。日本に帰国するなら税金やタックス・リターンなども避けたいところですよね。満足のいく豊かなシニア・ライフを送るために9つのキー・ポイントを説明します。(ファイナンシャル・プランナー:吉住京子さん)

1. 自分のライフスタイルを考える

まずどのようなライフスタイルを望んでいるのか、帰国などの状況変化、それに伴って必要となる金額を把握することが大切です。老後、今までできなかった旅行や家の改築、新しい車の購入などの計画がある場合、一時的に出費が増えるかもしれません。しかし、その後どのくらいの生活費が必要になるのかを明確に把握しておきましょう。今まで付けたことがなければ、「家計の支出確認表」を作ってみましょう。また、大きな出費の予定があるのなら家計の「キャッシュ・フロー表」を作成し、将来の支出に対して安心感を持てるようにするのも良いでしょう。

「Association of Superannuation Funds of Australia(ASFA)」によると、持ち家のある健康なカップルでも、老後も良い生活水準を保つためには年間約6万ドル必要だと言われています。予算に余裕を持って、無駄をなくせるよう家計を見直していきましょう。また、最低限必要な金額と余裕のある生活に必要な金額も把握しておくと良いでしょう。

2. 負債をなくす

リタイアメント後は、税金対策用以外のホーム・ローンなどの大きな負債はなくしたいですよね。ホーム・ローンは年齢によって変更が難しいかもしれませんが、銀行とレートを交渉したり、スーパーアニュエーション(以下:スーパー)のお金で支払うこともできます。ローンの支払いを最小限にし、小さい家を購入される方もいます。いずれにしても不安材料はなくしていきたいですね。

3. 毎月のキャッシュ・フローを確保する

シニア・ライフを安心して過ごすにはキャッシュ・フローが一番の鍵となります。家などの資産を持っていても、収入がないと生活できません。65歳の方の寿命が90歳を超える可能性も大いにあり得るでしょう。自分の資産や年金から毎月どのくらいの収入があるのか計算しましょう。

収入源としては、老齢年金(Age Pension)に加えレンタル・インカム、スーパー、アカウント・ベースド・ペンション(ABP)、アニュイティー、投資の配当金、日本の年金などで構成されるでしょう。これでどの程度自分の支出がカバーできるのか見てみましょう。もし足りないのなら、出費の見直しをして支出を縮小させ、投資などで収入を増やす必要があります。ターム・アカウントなど銀行の定期預金より利率が良いものを利用してキャッシュ・フローを確保するのも1つの手でしょう。

4. 保持している資産を守る

不自由のない生活水準を満たすために、貯蓄はカップルだと64万ドル、シングルでは54.5万ドル程必要だと言われています。資産と負債の確認を「バランス・シート」に付けてみましょう。資産を一旦失ってしまうと取り戻している時間がほぼありません。そのため、保守的な投資が重要になってきます。元本保証の投資、定期預金またはターム・アカウント、アニュイティーなどを利用して資産を守るのと同時に毎月のキャッシュ・フローを確実なものにしていきましょう。

5. インフレ対策する

現在オーストラリアは今までになく低金利ですが、今後も大幅に変わる見込みは薄く、保守的な投資だけでは資産は増えていかないでしょう。老後もライフスタイルが変わらなければ、支出が減るわけではないのでインフレを考慮すると、出費だけが増えていくことになります。

例えば2.5%のインフレでは、3ドルのミルクが25年後には5.56ドル、約2倍近くになります。今後30年のインフレを考慮すると資産を増やすことを考えなければなりません。その際に使えるのがスーパーで、投資内容を自分で決めることができます。100%保守的になるのではなく、他の資産とのバランスを見て少しリスクを取り、資産を増やすための投資をしましょう。他にも株や投資信託、不動産投資も利用できるでしょう。

6. 節税

労働所得がなくなれば節税の仕方が変わります。スーパー内の投資の伸びには15%の税金が掛かりますが、それをアカウント・ベースド・ペンションに切り替えることで無税にすることができます。例えば、スーパーに30万ドルの預金があり、10%の投資の伸びの場合は3万ドルに対して15%の税金が掛かるので、4,500ドルの税金を払っていることになります。この税金を節約できれば、資産を有効に使うことができます。スーパーやペンションから取り出す収入は60歳以上は無税です。

自分の家を売ってダウン・サイズする場合は、「Capital Gains Tax(CGT)」が掛かりません。投資物件を売る場合は税金が掛かってきますので、税率や売るタイミングなど気を付けることもあります。また売却後の現金を銀行に入れると老齢年金資格を左右しますのでスーパーに積み立てなどして上手に対策しましょう。

7. 老齢年金資格を理解して最大化する

老齢年金をもらうには資産テスト所得テストがあります(表1)。2017年に大幅な改正があり、持ち家がある方は資産が83.7万ドル以上あると年金をもらえなくなりました。

■表1

資産テスト(2018年3月20日~) パート・ペンション フル・ペンション
シングル/持家なし $759,500.00 $456,750.00
カップル/持家なし $1,040,000.00 $583,500.00
シングル/持家あり $556,500.00 $253,750.00
カップル/持家あり $837,000.00 $380,500.00

テストをパスするために贈与や、自分の家の改装アニュイティー年金などできることがあります。アニュイティーは定期預金に似ている商品で元本保証、加入した際に金利が決まり、利子が毎月支払われるというものです。それだけでなく、アニュイティーの一部は老齢年金の所得と資産テストの評価にカウントされないので、受給資格を高めたり、受給金額を増やすことができます。

8. 遺族のために税金対策をして詳細を残す

いつ何があっても良いように、遺族のために準備をしておきましょう。自分の資産を子どもや家族に残す場合は、遺書や「エンディングノート」などで自分の希望や詳細を残しておくのは大切です。いざこざが起こらないように、財産の分散を明確にしておく必要があります。

スーパーは成人した子どもに渡す場合、17%の税金が掛かる可能性があります。どのような方法で残すかで税金も変化するので、税金対策も考えておきましょう。インピュテーション・ボンドの投資方法は、相続相手や渡す金額のパーセンテージを自身で決めることができますし、名義変更も簡単にでき無税で子どもや孫に渡すことができます。

9. 日豪両国の生活に向けて資産のシンプル化と管理

シニア・ライフでは大きな変化も起こり得ます。日本に帰国、もしくは両国を行き来する生活をする人もいるでしょう。親は日本で子どもはオーストラリアなどということも多々あります。オーストラリアの非居住者となれば税率も変わります。資産運用する場合、タックス・リターンなどの義務もあるので、資産運用の管理をシンプル化することも大切です。定期預金やターム・アカウントなど自動的に税金を徴収してくれる投資方法もありますし、インピュテーション・ボンドなどアクセスしない限りタックス・リターンに含めなくて良いものもあるのです。

こちらより無料ダウンロードできます


吉住京子
プロフィル◎在豪日本人ファイナンシャル・プランナー、ライフスタイル・プランナー、モーゲージ・ブローカー、新老人の会オーストラリア支部会長。難しいお金のことを易しく解説。クライアントそれぞれの状況に合わせた賢い戦略の提供に定評がある。在豪日系コミュニティーのためのチャリティー活動や各メディアでの連載記事・セミナーなども行っている。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る