【保存版】オーストラリアで育つ花ガイド~野生種から庭木まで


熱帯雨林や湿地帯から砂漠まで、バラエティーに富んだ自然を誇るオーストラリアでは、推定2万7,700種の植物が存在するといわれる。本特集ではその植物の中から「花」を付ける種類をピックアップし、ワイルドフラワーから庭に咲くものまで、固有種や、日本とは呼び名が違うがよく見かける花などを紹介する。

写真・取材協力=Satoko Clarke(撮影地:NSW州)、文=関和マリエ、参考=Web: www.environment.gov.au(オーストラリア環境省)、書籍:『500 Plants: Great Australian favourites for your garden』(Angus Stewart)、『Key Guide: Australian Wildflowers』(Leonard Cronin) ※記事内の花の名称表記「英」及び「日」は、英語・日本語での一般的な呼称

開花時期 春

ゴールデン・ワトル

英:Golden Wattle
日:アカシア

ワトル(アカシア)は春に小さなポンポンのような花を無数に咲かせる低木で、約600種が主に豪州とアフリカ大陸に分布。豪州では庭木としても人気だが、日本の場合は関東以北の寒冷気候下では育ちにくい。ゴールデン・ワトルは豪州の国花で、紋章や切手、硬貨にデザインされている他、国際的なスポーツ・イベントにおける豪州の選手のユニフォームの色(黄色と緑)にもこの花の色が採用されている。

開花時期 春

ピメレア

英:Pimelea ferruginea、Pink Solitaire
日:ピメレア

豪州とNZに約80種が分布するジンチョウゲの仲間。鮮やかなピンクの小さな花が、ボール状にまとまって50センチ程の茎の先に咲く。乾燥して日当たりの良い場所を好む。

開花時期 春

ワックス・フラワー

英:Wax Flower
日:ワックス・フラワー

1.5~3メートル程の潅木に、白、ピンク、薄紫の直径2センチ程の花が咲く。花弁に光沢があり蝋細工のように見えることから名前が付いた。豪州の固有種で約20種が豪州南東部に分布。

開花時期 春

カンガルー・ポー

英:Kangaroo Paw、Gold Velvet
日:ガンソク

カンガルーの前足のような形で、春~夏にかけて表面に細毛が生えた花が咲く。豪州原産の草丈1メートル程の多年草。豪州南西部を中心に約8種類の野生種が分布する、SA州の州花。

開花時期 春

スノーフレークス

英:Snowflakes
日:オオマツユキソウ

早春に白い小さな鈴のような花が咲く、豪州原産の球根植物。繊細な見た目だが丈夫で育てやすく、庭先で見ることも多い。似ている花にスノードロップがある。ハンガリー、ヨーロッパ南部などにも分布。

開花時期 春

ワラタ

英:Waratah、Telopea
日:ワラタ

アボリジニーの言葉で「赤い花」の意味。握りこぶし大の花を春~初夏に咲かせる、豪州の固有種でNSW、VIC、TAS州に5種が自生し、真紅の花を咲かせるNSWワラタは州花。

開花時期 春

ケンタウリウム・エリサラエア

英:Centaurium Erythraea
日:ベニバナセンブリ

春~夏に約1センチのピンク色の花を咲かせる二年草。草丈は約50センチまで伸びる。ヨーロッパや西アジア、アフリカ北部が原産。ビター・ハーブとも呼ばれ、民間薬として胃弱や消化不良に効くとされる。

開花時期 春

ストレリチア

英:Strelitzia、Bird of Paradise
日:ストレリチア、ゴクラクチョウカ

春~秋、まれに冬にも花を咲かせる南アフリカ原産の常緑多年草。草丈は60~150センチ程で、あでやかなオレンジ色の花姿から「極楽鳥花」の名でも親しまれる。庭に植えて楽しむことも多い。

開花時期 春

ボトルブラッシュ

英:Bottlebrush、Callistemon
日:ブラシノキ

ビンを洗うブラシにそっくりな赤やピンク、白の花を春~夏に咲かせる常緑小高木。豪州全域からニューカレドニアに30種が分布。生け垣としても好まれる。枝全体に実がなり、山火事が起きると割れて種子を放出する。

開花時期 春

ストローフラワー

英:Strawflower
日:ムギワラギク

春~秋に白、黄色、ピンクなどの花を咲かせる豪州原産の一年草。草丈は約20~80センチで花径は3~5センチ程。種から育てやすく、元から乾いた質感の花であるためドライフラワーにしても長持ちする。

開花時期 春

ジャカランダ

英:Jacaranda
日:キリモドキ

芳香のある薄紫の花を晩春~初夏に付ける中南米原産の落葉高木。桐に似たラッパ状の花が特徴で、豪州では街路樹としても見かけることが多い。カエンボク、ホウオウボクと並び世界三大花木の1つ。

開花時期 夏

レッド・フラワリング・ガム

英:Red flowering gum(Corymbia ficifolia)
日:アカバナユーカリ

ユーカリの1種であるコリンビア属の木で、赤、オレンジ、ピンクまたは白の花を夏に付ける(見頃は12月)。豪州原産種が多い。庭木としても好まれるが虫や鳥も蜜を求めて集まる。

開花時期 夏

フランジパニ

英:Frangipani
日:プルメリア、インドソケイ

中米原産で熱帯・亜熱帯に広く分布する2~8メートルの落葉樹。豪州では夏~秋(12~4月)にスクリュー状のつぼみがほどけるように花開き、甘い芳香を放つ。花は5~7センチ程で色は白やピンク。

開花時期 夏

クレープ・マートル

英:Crepe Myrtle
日:サルスベリ

クレープ状の布地のように縮れた小さなピンク、白、薄紫の花を、夏(1~3月)に付ける落葉中高木。中国南部が原産だが日当たりの良い土地ならよく育ち、豪州全土にも分布。庭木としても人気。

開花時期 夏

デュランタ

英:Duranta Erecta
日:デュランタ、タイワンレンギョウ

花期は夏~秋で、スカイ・フラワーとも呼ばれる。垂れ下がる花茎に1センチ程の白や紫の花が連なって咲く。中南米産で、分類上は常緑樹だが日本では秋冬の低温で落葉。豪州では東部・北部に多い。

開花時期 夏

スパイダー・リリー

英:Spider lily、Hymenocallis
日:スパイダー・リリー、ヒメノカリス

草丈30~40センチの多年草。花は白や黄色で夏~秋に咲き、中心にあるアサガオのような副花冠とクモの脚のように伸びた6本の花弁が特徴。原産は中南米、西インド諸島。品種によりバニラ風の香りがある。

開花時期 秋

バンクシア

英:Banksia
日:バンクシア

オーストラリア原産で乾燥地域を除く全域に分布し、花期は秋~春(4~9月)。低木~高木まで約80種。赤やオレンジ色の穂状の花と、花の後にできる木質の果実が特徴。山火事を刺激として発芽する。

開花時期 冬

マグノリア

英:Magnolia
日:モクレン、コブシ

日本でもおなじみのモクレン類の総称で、アジア、中北米に分布。大きなオーバル型でなめらかな質感の花弁を持つ花(白、黄色、紫など)を、晩冬~春に高木の枝先に咲かせる。日豪でともに庭木として人気。

開花時期 冬

オニオン・ウィード

英:Onion Weed
日:オニオン・ウィード

ニラの仲間で小さな球根がしっかり土に根付くため、雑草として疎まれがちだが、40~100センチの茎の先端に8~25個の直径2センチ程の花(白、ピンク、紫)を付ける。花期は冬の終わり~夏。

開花時期 通年

グレビレア

英:Grevillea
日:グレビレア

豪州からパプア・ニューギニアを中心に約300種が分布する常緑低木。1年を通してオレンジ、黄色、赤、ピンクなどの花を、花弁のように見える総苞(そうほう)から突き出して咲かせる。蜜が多く動物に好まれる。

絵本で知る、オーストラリアの花の世界


推定2万7,700種の植物が生育するといわれるオーストラリア。そこには約2,800種にもおよぶユーカリや、1,000種のアカシア(ワトル)なども含まれ、日本の植物が約7,000種であることと比較するとその多さが実によく分かる。その一部は植物園や近隣の公園、または庭木などとして見ることができ、オーストラリアに来たばかりの人は見慣れない植物が多いことに驚くかもしれない。

オーストラリアの古典ともいえる児童文学『Gumnut Babies(ガムナット・ベイビーズ)』(Harper Collins Publishers/1916)には、そんな豊かな自然が可愛らしい絵と詩的な物語で綴られている。著者のメイ・ギブスは幼少期にSA州やWA州で親しんだユーカリやアカシアなどの花や実を妖精に見立てたストーリーを描き、『ガムナット・ベイビーズ』のシリーズは3世代にわたって愛される国民的作品となった。日本でも『ブッシュ・ベイビーズ』の題で翻訳され現在では絶版となっているが、オーストラリアでは書店や図書館で手に取ることができる。オーストラリアの豊かな自然とブッシュの魅力に触れられる、大人にも子どもにもお薦めの1冊だ。

心身のケアにも使われるオーストラリアの花

Meditation Essence 30ml(Australian Bush Flower Essences/$15.45)
 Meditation Essence 30ml(Australian Bush Flower Essences/$15.45) 

オーストラリアの先住民アボリジニーの人びとは、約4万年の昔からワイルドフラワー(野生の草木に咲く花)を治療やヒーリングに用いていたとされている。現代において効能の証明されたハーブが医療行為に使用されるように、アボリジニーは自然の恵みが凝縮されたワイルドフラワーの成分が心身に影響を及ぼすと伝統的に考えていたようだ。

オーストラリアではその流れを汲み今では政府認定のセラピスト養成機関などで「フラワー・エッセンス」のコースを受講できるなど、植物の持つ力を合理的に社会に取り入れている。フラワー・エッセンスは、古代の植物療法を背景に1930年代にイギリスで開発された民間医療用の液体で、野生の花や汚染のない環境で育てられた花の成分と水から作られ、服用または化粧水などに混ぜて使う。

オーストラリアでは「Australian Bush Flower Essences」社などのフラワー・エッセンス製品が有名だ。同社の製品は「精神の安定を図る」「創造性を高める」などの効能ごとに、カンガルー・ポー、フェンネル、ジャカランダ、ワトルなど多様なワイルドフラワーを使用している。

この他にも、植物の花や根、茎などから抽出されたエッセンシャル・オイル(精油)を使ったアロマセラピーも日常的に取り入れられている。

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