【QLD】ルーシーのアート通信「Le marché」

ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第7回 スタン・ピィエチェク(Stanislas Piechaczek)
「Le marché」

Le marché, Acrylic on Canvas 200 x 310 cm, Private Collection, Sydney.
Le marché, Acrylic on Canvas 200 x 310 cm, Private Collection, Sydney.

スタン・ピィエチェクは、フランスのサントル・バル・ド・ロワール地方にあるイソウドンで生まれ、バスク地方のビアリッツで育った後、オーストラリアに拠点を移したアーティストだ。幼少期より絵画や詩を書くことが得意であった彼は、年齢を重ねるごとにアートが趣味の域を超え、芸術の世界へと情熱を注ぐようになったという。ここ4年間は毎日制作活動に打ち込む日々を送ってきた。

今回紹介する「Le marché(The market)」は、人物のシルエットと鮮やかな色彩を駆使してフランスの市場が描写されている。忙しい市場の現実とは対照的な、ゆったりとした雰囲気の中で人びとが腰掛けて会話を楽しむシーンをキャンバスに描いたスタン。「肌の色や性別が特定できない人物のシルエットを使用することで、鑑賞者は描かれた被写体をどんな人物にでも変換することができるようになるのです」と彼は言う。

スタンは偉大な画家であるセザンヌ、モネ、マティスなどの作品から絵画技法を学び、それらを融合した独自のスタイルで絵を描いている。また、フランスでシンガー・ソング・ライターとして活躍したジョルジュ・ブラッセンスや、セルジュ・ゲンスブール、エディト・ピアフの感性や創造性から受けた発想を基に、自身の日常生活や海をこよなく愛する彼のサーフィン・ライフのシーンを作品の主題としている。

直感を信じて作品を制作する彼は、被写体の質感や曲線などを表現するに当たり、キャンバスに描いた下絵をベースにフランスのリビエラの街並みを彷彿させるビビットなブルー・グリーンや、オレンジ・ピンク、サニー・イエローやレッドなどカラフルなアクリル絵の具を重ねていく。そうすることで独特な表情が生まれ、作品に奥行きを与える1つのポイントになるという。

「スクラッチ・ペイント(多彩な色を塗ったキャンバスを黒塗りし、それを針で引っ掻き傷を作ることで描く絵画法)から制作に入ることがあるが、制作時はあえて作品の方向性を決めずに作業を進行しながら絵のストーリー性を創造することがあります。同作でその手法を採用したのは、私が感情を下に物体を描くことがしばしばあることに気付いたのがきっかけです」とスタンは語る。

制作を直感に任せて進めて行くこともあれば、最初に決めた計画を最後まで貫き通して完成させることもあるそうだ。

現在、スタンの初の単独展覧会が、ゴールドコーストのサウスポートにある「Gallery One」で5月まで開催されている。

■Web: gallery-one.com.au/artist/stanislas-piechaczek
■Instagram: stanislas_piechaczek


ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート並びにグリフィス大学でファイン・アート(ペインティング)の美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、QLD州のサウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Email: luceartbrands@gmail.com
■Web: www.luceartbrands.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る