ルーシーのアート通信「Juliet」

ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第9回 ダイアナ・ワトソン(Diana Watson)
「Juliet」

From the Exhibition ‘Foscari Chapter’ at Gallery One: ‘Juliet’. By Diana Watson. Oil on Canvas, 122x153 cm
From the Exhibition ‘Foscari Chapter’ at Gallery One: ‘Juliet’. By Diana Watson. Oil on Canvas, 122×153 cm

シドニーを拠点に活動するダイアナ・ワトソンは、洗練された静物画を描くことで知られ、国内外で高い評価を得ているオーストラリア人画家の1人だ。西オーストラリア州で生まれた彼女は、自然が織り成す美しい景観や動物に囲まれて育ち、幼少のころから絵を描いていたという。そして学生時代、有名なオーストラリア人画家であるロバート・ジュニファーから自然本来の美しさの観察に加え、現在ダイアナが描く作品の基礎となる表現技法を学んだ。その際、彼女独自の美しい自然を表現する力を身に着けたのだ。

ダイアナは、結婚し子どもを持つ以前はファッション・アーティストとして活動し、世界中を周っていたという。しかし、彼女の芸術的で創造的な能力は、子育てや家族との生活に割かれていった。その後、ダイアナが50代前半に差し掛かり子どもらが独立したころ、創作活動に欠かせない最も重要な「時間」を持つことができたため、画家として本格的な活動を始めたのだ。70代になった現在もオーストラリアを始め、イタリアやアメリカで60以上もの個展やグループ展を行っている。

彼女の作品には、ミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチの古典的な手法にならい、スケッチや写真を拡大し、麻のキャンバスに油絵の具で描く技法が用いられている。大きなバラやシャクヤク、果物が大胆に描かれ、暗い背景とは対照的な柔らかな色に照らされたように被写体が描かれているのが特徴だ。それらは、人びとによって「時間」が重宝され楽しまれた時にこそ味わえる贅沢な瞬間とライフスタイルを連想させる。彼女の喜びに満ちた感情が明白に筆遣いに表れている作品を観ると、暖かさ、郷愁、奥行き、そしてより被写体に興味をそそられるような感覚が響きわたるのだ。

今回紹介する「Juliet」は、ゴールドコーストにある「Gallery One」で7月13日から8月3日に開催されるダイアナの展示会「Foscari Chapter」で観ることができる作品の1つだ。花びらがキャンバスからあふれ出し散るような、儚(はかな)く官能的なタッチと題材がより想像をかきたて、毛布のような暖かさが鑑賞者を包み込むだろう。そして、まるで冷たくておいしいスパークリング・ワインを片手に、イタリア・ベネチアにあるフォスカリ宮殿の庭園に座っているような感覚に陥るはずだ。

■Web: www.dianawatson.com.au
■Instagram: dianawatson70


ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート並びにグリフィス大学でファイン・アート(ペインティング)の美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、QLD州のサウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Instagram: lucy_nsky
■Web: www.luceartbrands.com.au

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る