ケガをした水鳥のレスキュー専門家

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第28回 ケガをした水鳥のレスキュー専門家

ゴールドコーストの街は、ビーチはもちろん、湖や川などの水辺が至る所に存在します。砂浜で休憩しているペリカンや、ヒナを連れて湖を泳いでいる黒鳥を見て、心が和むことも多いのではないでしょうか。

水鳥は、翼を傷めて飛べなくなったり、脚にケガをして引きずるような歩き方をしていても、水の中を泳いでいると遠目にはケガが分かりづらい生き物です。そのため、地面や樹上で生活する鳥と異なりケガの発見や保護が遅くなってしまうことがよくあります。また、ケガをした水鳥がいるとの報告を受けても、岸から遠い水上へ逃げられてしまったりと、捕獲するのは容易ではありません。

水鳥の捕獲に際し、病院スタッフだけでなくゴールドコースト中の野生動物保護ボランティア団体が頼りにしているのが「Wild Bird Rescues Gold Coast」のロウリー・グーナンさんです。ロウリーは、ケガをした黒鳥とペリカンのレスキューを専門としていますが、釣り針や漁網でケガをした海鳥、そして車にひかれてしまったアイビスや七面鳥など、どんな鳥の保護でも快く引き受けてくれます。ゴールドコーストの水鳥の生息地に精通していて、黒鳥においては個体を見分けて名前で呼べるほど詳しく知っています。時にはボートで、またある時はカヌーを漕いで、水鳥のレスキューに向かいます。

黒鳥とペリカンのレスキュー専門家、ロウリー・グーナン
黒鳥とペリカンのレスキュー専門家、ロウリー・グーナン

ケガをした水鳥を捕獲し、治療が必要と判断した時はすぐに「Currumbin Wildlife Hospital」に連れて来ます。水鳥に限らず、野生動物の保護や治療においてとても大切なことは、その動物が普段どんな環境で生活しているのか、リハビリを終えて返す時にどんな危険があるかという情報を出来るだけ詳しく知っていることです。病院で患者を受け入れる際にはそのことをロウリーとよく相談して、リリース時のプランも一緒に考えます。

海岸に捨てられているゴミが水鳥に及ぼす危害を目の当たりにしているロウリーは、レスキューの合間を縫ってはビーチのゴミ拾いもしています。

すべて無償で行われているロウリーの活動について興味がある方は、ウェブサイト(Web: wildbirdrescues.com.au)をご覧ください。今日もゴールドコーストのどこかで傷ついた水鳥の捕獲に取り組んでいるロウリー。もし見かけたら、彼の視線の先にどんな動物がいるか、注意して見てみてくださいね。


■床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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