異物を飲み込んだクッカバラ

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第33回 異物を飲み込んだクッカバラ

釣り針などの異物を飲み込んでしまったために保護されカランビン野生動物病院で治療を受けたペリカンや亀の話はこれまでにも紹介してきましたが、今回は私たちスタッフもびっくりしてしまった異物のお話です。

オーストラリアではおなじみのクッカバラ(ワライカワセミ/Laughing Kookaburra)が、歩道でじっとして動かなくなっているところを保護され、病院に連れて来られました。目立った外傷も無く、車通りの多い道路のすぐそばで発見されたため、車との接触による脳震盪(のうしんとう)が疑われました。

骨折などが無いか確認するためにレントゲンを撮ると、金属の棒のようなものがのどから腹部にかけて、まるでクッカバラの体を突き刺しているように写っていました。羽毛をかき分けても体表に金属が刺さったような傷はなく、口の中にもそれらしいものは見当たらず、その金属の棒は鳥の体にすっぽり収まってしまっていたのです。

異物を飲み込んでしまったクッカバラのレントゲン写真
異物を飲み込んでしまったクッカバラのレントゲン写真

内視鏡を使ってのどの奥を見てみると、とがった金属の先端が見えました。手術用の鉗かんし子を使ってその棒をつかみ、食道を傷つけないようにそっと引っ張って、15センチほどの金属の棒を完全に取り除くことに成功しました。のどの奥からは少量の出血がありましたが、幸いにも胃や食道の粘膜にほとんど傷はついておらず、痛み止めの薬を飲ませて様子を見ることになりました。

この金属の棒、編み棒にしては短いし、焼き串にしては太すぎで、一体何なのかとスタッフ一同不思議に思っていましたが、後からそれは調理用の温度計の一部だということがわかりました。温度計の金属部分に肉などの食べ物が付着していてそれを食べようとした結果なのかどうかはわかりませんが、どうしたらこんなに長い物を飲み込んでしまうことができたのか、不思議でなりません。

こうしたカランビン野生動物病院の活動をより多くの人に知ってもらうため、病院の施設を無料で見学することができるオープン・デーが7月31日(日)に企画されています。詳しくは病院のウェブサイト(Web: www.savingyourwildlife.org.au)をご覧ください。


■床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る