ヒナを親鳥の元へ返す「ベイビー・バケット」

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第36回 ヒナを親鳥の元へ返す「ベイビー・バケット」

気温が下がる朝晩は肌寒く、ジャケットが手放せない日が続いています。春の訪れはまだまだ先だというのに、カランビン野生動物病院では例年よりも早く「ベイビー・シーズン」が始まっています。

まだ空を飛べるほど成長していないのに巣から落ちて木の上に戻れなくなった鳥のヒナや、事故で親鳥を亡くしてしまったヒナたちが、路上で発見され保護されます。ヒナは無傷な場合がほとんどですが、何時間も親鳥のそばを離れてお腹を空かせていたり、寒さの中で体が冷え切っていたりします。

保護されたヒナは、けがをしていないことが確認された後、保育器で体を温め、補液をし、病院のボランティア・スタッフによって数時間おきに餌を与えられます。餌を食べて元気になったら、親鳥の元へ返すことを試みます。

ヒナを返す時、鳥の巣が残っているならそこにヒナを返すのが最善です。しかし巣ごと落ちてしまった場合や、巣が樹上のとても高い位置にあって届かない場合は、「ベイビー・バケット」という以下の方法で親鳥を待つことがよく行われます。

この方法を取る際、もし日没が近付いても親鳥が戻って来ない場合は、ヒナが飢えて衰弱してしまうことが懸念されるため、ヒナを保護士さんの元へ送り、人工飼育を行います。夜行性の鳥のヒナの場合は、夕方頃に木に戻し、夜中に親鳥が餌をやりに来るのを根気よく待たなければなりません。



ベイビー・バケットの実施方法

① 雨水が貯まらないよう、バケツの底に穴を開ける。

② 底に土や木の葉を敷き、バケツの高さよりも長めの木の枝を立てかけて、親鳥とヒナが出入りしやすいようにする。

③ ヒナが見つかった場所にできるだけ近い木を選び、バケツを頭の高さほどの枝に取り付け、中にヒナを入れる。

④ 親鳥がヒナの元へ戻ってくるまで、遠くから見守る。この時、あまり頻繁にヒナに近づいたり触ったりすると、親鳥は警戒して戻ってくるのが遅くなってしまいます。

もしヒナを見つけてどうしたら良いか分からない時は、カランビン野生動物病院(Tel:(07)5534-0813)か「Wildcare Australia」(Tel: (07)5527-2444)に連絡し、アドバイスに従ってください。また、ベイビー・バケットについての詳しい情報は病院のウェブサイト(Web: www.savingyourwildlife.org.au)でご確認いただけます。


■床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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