プラスチック・フリー月間

オージー・ワイルドライフ 診療日記

第47回 プラスチック・フリー月間

私が勤務するカランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリーでは7月中、「Plastic Free July」という活動をしています。その名の通り、使い捨てプラスチック容器やビニール袋を一切使わないようにしようという試みです。

買い物用のビニール袋、ペットボトル、テイク・アウェイの食品容器やコーヒー・カップなどは、そのほとんどがリサイクルされず、一般ごみと同様に埋立地に送られます。プラスチック製容器の中には、リサイクル業者によって加工され、プラスチック製家具や化学製品の原料になるものもありますが、再生プラスチックが更にリサイクルされることはなく、自然分解の方法も無いため、結局はごみとしてそのまま残ってしまいます。

ビーチや船上で捨てられたプラスチック容器は、何年も経つと脆くなり、細かい破片や粒子となります。それを魚が誤って食べてしまい、その魚を鳥が食べてしまったらどうなるでしょう。プラスチックは消化されず、そのまま胃の中に残ります。尖ったプラスチック片が胃壁を貫いてしまったり、プラスチック粒子が溜まりすぎて他の餌を食べられず、死んでしまうこともあります。また、水中に漂うビニール袋はクラゲにそっくりで、ウミガメが誤って飲み込んでしまうこともあるのです。

カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリーで保護された動物の胃などから見つかったプラスチック製品のごみ
カランビン・ワイルドライフ・サンクチュアリーで保護された動物の胃などから見つかったプラスチック製品のごみ

毎年、夏の暴風雨の後は、強風に煽られて疲れ切ってしまった渡り鳥たちがたくさん保護されます。極度の脱水、飢餓により治療不可能な鳥がほとんどで、2週間ほどのリハビリで自然に返すことが出来る鳥たちは、ほんの一部です。治療不可能とされた鳥たちの死後解剖では、その9割の胃の中にビニール袋やプラスチックの破片が見つかりました。保護されたのはほんの一部の鳥ですので、もし海上にいる何百万羽という鳥たちにも同じようなことが起こっているとしたら、恐ろしいことです。

地球温暖化や食物汚染による健康被害など、プラスチックごみが私たち人間に及ぼす悪影響はさまざまですが、野生動物たちも被害に遭っていることを忘れてはいけませんね。

まずは、買い物袋、ペットボトル、コーヒー・カップ、ストローなど手近なところから、繰り返し使える物を利用するようにしてみてください。


■床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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