春のレインボー・ロリキート

第62回
春のレインボー・ロリキート

春になり、野生動物たちの活動が活発になると、けがや病気で保護される動物も増えます。カランビン野生動物病院(Currumbin Wildlife Hospital)では毎日たくさんの動物が治療を受けていますが、中でも一番多く保護されるのはカランビンの餌付けでもおなじみのレインボー・ロリキート(Rainbow Lorikeet/ゴシキセイガイインコ)です。

オーストラリア東海岸に広く生息するオウム科のこの鳥は、青、赤、黄、オレンジ、緑色の鮮やかな羽を持ち、ブラシのような舌先を器用に使って花の蜜や花粉を食べます。

2017年の1年間で保護され治療を受けたロリキートの数は2,000を超え、全体の15パーセントを占めています。先月ひと月だけでも200を超えるロリキートが保護されました。その多くが車やガラス窓に衝突してしまったり、犬や他の種の鳥に攻撃されてけがを負ってしまった鳥たちですが、伐採された木の巣穴から発見されたヒナたちもいました。

もう1つ、ロリキートが保護される理由として重要なのが、「オウム類嘴(くちばし)羽毛病」(Psittacine Beak and Feather Disease)です。略してPBFDと呼ばれるウイルス性のこの病気は、オウムやインコ類のほとんどが感染し、羽毛の形成不全やくちばしの変形、下痢、突然死も起こさせる重篤なものです。

PBFDにより風切羽と尾羽を失ったロリキート
PBFDにより風切羽と尾羽を失ったロリキート

野生のロリキートがPBFDに感染すると、風切羽や尾羽が形成不全のため抜けてしまったまま生え替わらなくなり、二度と空を飛べなくなってしまいます。PBFDウイルスは免疫機能を低下させる働きもあるため、細菌などによる二次感染にも罹(かか)りやすくなってしまいます。現在のところ、治療法やワクチンなどがないため、ロリキートを始めとする野生のオウムやインコにとっては不治の病なのです。

PBFDを発症する鳥の多くは巣立ち前後の幼鳥ですので、風切羽がそろっていないのはまだ幼いからなのか病気だからなのか、ひと目で判断するのは容易ではありません。もしロリキートが飛ばずに地面をうろうろしていたら、保護して獣医の診察を受けられるようにしてください。


床次史江(とこなみ ふみえ)
クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっている他、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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