庭で毒ヘビに出会ったら…

 オージー・ワイルドライフ 診療日記

 第7回 毒ヘビの治療


 

QLD州南東部には、27種もの陸ヘビがいます。そのうち13種は強弱はありますが、毒素を持っています。主に森の中や水辺に生息する種がほとんどですが、猛毒を持つブラウン・スネークやアカハラクロヘビなどは住宅街の裏庭などに頻繁に出没するため、豪州全土で毎年200人以上が毒ヘビに噛まれて救急病院での治療を受けており、少なからず死者も出ています。このため、毒素の危険性ばかりが注目されてしまう毒ヘビですが、彼らが逆に攻撃の対象になってケガを負うことも多々あります。

カランビン野生動物病院で治療を受ける毒ヘビのほとんどが、庭先で犬や猫におもちゃにされて遊ばれているところを、飼い主に発見され運ばれてきます。

ヘビが病院に連れて来られた際は、職業安全上の理由から、特別な訓練を受けたスタッフだけがヘビの種の特定をできることになっています。訓練を受けていない私はヘビが無毒と確認されるまでは触れることができません。種を特定し、透明なプラスチックのチューブに頭を入れて振り向けないように固定しやっと診察ができます。噛むだけでなく、毒を吐き出すヘビもいるため、保定も治療も慎重に行われます。治療とリハビリの後に住宅地から離れた場所にリリースされます。

もしペットがヘビを捕まえてしまったら、ヘビに触れずにリードや餌を使ってペットを遠ざけるよう試みてください。毒ヘビと知らず捕まえようとした際にご自身が噛まれてしまったら、早急に病院で診察を受けてください。

自分とペットがヘビから離れた安全な場所に着いてから、ペットがヘビに噛まれていないかどうかを確認をします。ペットのヘビ毒中毒のケースでは、噛み傷が確認できるのは3割と言われており、噛み傷が見あたらなくても毒が口や目に入ったことによる嘔吐や麻痺などの中毒症状が出ることもあります。できるだけ早く獣医の診察を受けてください。次に、RSPCAやワイルドケアなどの野生動物保護団体に連絡をして、ケガをしている可能性のあるヘビを保護してもらいます。こうすることで、飼い主、ペット、そしてヘビそれぞれの安全を守ることができます。

 
 
■床次史江(とこなみ ふみえ)

クイーンズランド大学獣医学部卒業。カランビン・ワイルドライフ病院で年間7,000以上の野生動物の診察、治療に携わっているほか、アニマル・ウェルフェア・リーグで小動物獣医として勤務。

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