今さら聞けないITワード「ビットコイン」

 

第13回 「ビットコイン」

分かっているようで、実はよく分からないものが多いITワードを岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。

ビットコインを取り扱っていた日本の大手取引所であるマウントゴックスが取引停止し、破産申請したというニュースがありました。このビットコインと呼ばれるネット上での通貨ですが、これはネット通販のポイントやゲームのアイテムのようなネット上だけの仮想通貨ではなく、クレジット・カードのように実際にものを買ったときの支払いに利用できたり、外国へ送金して現地通貨と交換したりすることなどもできます。最近では投機目的で取り引きもされています。大きな話題になっていますが、ほとんどの人はその正体が全くつかめていないのではないでしょうか。

ビットコインの説明は難解?

グーグルやウィキペディアで調べても、難しい言葉の羅列で到底理解しがたいと感じている人が多いと思います。ビットコインに対して、素人にも分かるようにやさしく説明したものが見当たらないようなので、私が理解している範囲でできるだけ噛み砕いて説明しようと思います。

発案者は日本人?

ビットコインは、サトシ・ナカモト(中本哲史)という日本名の人物が2008年に書いた論文が発端となります。ただこのサトシ・ナカモトさんが誰なのか、いろいろ噂はあり、最近かなり動きがあるようですが、今でも特定できていません。論文は9ページほどの英文で、タイトルは「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」。インターネットで探せば日本語訳も出ています。論文の内容ですが、タイトルにあるように、インターネット上で、直接お金をやり取りする新しいシステムとそのアルゴリズムを紹介しています。

主な特徴

ビットコインの特徴として、(1)インターネットを使う、(2)金融機関を通さず直接送金や支払いのやり取りをする、(3)匿名性を保証、(4)安全性を確保するというものです。かいつまんで説明すると、お金に限らず、ある価値を持ったものをインターネットを使い、ある人からある人に送る時に、銀行など第三者を通さず匿名性を保証しながら安全性を確保する送金方法と言えます。

元締めのいないシステム

海外送金をするのに、なぜ高い送金手数料を銀行に払わないといけないかと疑問に思った人は少なからずいると思います。この送金手数料は、銀行が送金にかかる費用とその安全性を銀行が保証した価格設定ですが、ビットコインは銀行にあたる元締めがいないので中間搾取がなく、手数料は微々たるものです。では銀行を通さなくてどのように安全に送金できるのでしょうか?

実は、銀行がない代わりにユーザー全員で管理していることが理由として挙げられます。ブロックチェーンと呼ばれる元締め台帳がネット上にあり、これは基本的に誰でも閲覧できる公開されたもので、ビットコインで行われたトランザクションはブロックチェーンに書き込まれ公開されます。つまりすべてのビットコインのトランザクションを皆で監視し合っているわけです。ただし匿名なので誰が誰に送ったのかは分かりません。

マイナー(採掘者)

この言葉はビットコインにはつきものです。このマイナーと呼ばれる人たちはビットコインのメンテナンスを請け負っています。管理者のいないシステムでは、誰かが銀行員の代わりに送金した記録をブロックチェーンに承認、追加する必要があり、これは特定の人ではなくボランティアで、誰でもマイナーになることができます。送金などの取引記録を数百件集めたもので1ブロックという単位を構成します。未承認の送金に対しブロック単位で、マイナーが承認作業をするのですが、その作業には高性能コンピュータを使った複雑な計算が必要です。その承認作業を複数のマイナーで競い、最も早く承認できたマイナーが報酬のビットコインを受け取る仕組みになっています。つまりマイナーは主にその報酬を目当てに作業しているのです。そして、その報酬に使われるビットコインは、送金者から取るのではなく別にビットコインの鉱山と呼ばれるものがあり、そこから受け取ります。ちなみにビットコインの総額は、2,100万コインと決まっています。最初の4年で半分、次の4年で残りの半分、その次の4年でその残りの半分がマイナー用に埋蔵されているとのことです。

インターネットと同じ考え方を持つ

だんだん説明が難しくなってきましたが、こう考えてください。インターネットの画期的なところは、元締めのいないネットワークで、規則だけがあり、その規則に従ってみんなでネットワークをつないでいくボトム・アップ型という点です。ビットコインも元締めのない通貨で、銀行や国家に左右されることのない通貨システムを考えた時にこのような形になったわけです。ナカモト氏の賛同者(ナカモト氏が入っているかは不明)は、論文を基に実際のシステムをネット上で作って、最初は実際には価値のないビットコインを公開ゲームのように考えて遊んでいたのです。

ビットコインはどのようにして価値ができたか

ところがある日、ビットコインでピザを売る店ができ、そのうちあちらこちらでビットコインを使ってものが買えるようになりました。やがてビットコインの交換所ができ、実際の通貨との交換ができるようになり交換レートができました。そして昨今の通貨危機や、自国の通貨に不安がある人々が外国為替や株を買う感覚でビットコインを買いあさった結果、ビットコインの価値が膨れ上がり、無価値だった1ビットコインが1,000ドルを超えるような事態になりました。ただしマウントゴックスの破綻劇はこのような為替交換レートの問題というよりは、サイバー攻撃によって多くのビットコインが奪われ、交換できなくなったからだと聞いています。

 

岩戸あつし <著者プロフィル>
大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CG などへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。

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