今さら聞けないITワード「PC (ピーシー)」

 

第12回 「PC (ピーシー)」

分かっているようで、実はよく分からないものが多いITワードを岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。

 

PCはご存知の通り英語のPersonal Computerの略で、世界中で使われている当たり前の言葉ですが、では具体的に何を指しているのかと問うと、人によって2つの異なる答えが返ってきます。ある人は、個人向けのコンピュータすべての総称だと言い、ある人はウィンドウズの入ったコンピュータ、つまりアップル社のコンピュータではない方のことだと言います。

 
コンピュータとPC

1980年以前は、コンピュータといえば今のようなPCではなく、銀行や大企業、研究所が所有する何千万から何億円もする大型コンピュータのことを指しました。そのころの主流はIBM社を中心とする大型コンピュータで、このコンピュータを動かすのに何人ものエンジニアとプログラマーが必要でした。

80年代になると、個人が家で使うためのパーソナル・コンピュータが販売され始め、英語の通称でPC、日本ではパソコンと省略されて、本家のコンピュータという言葉と区別されました。コンピュータという言葉は大型のマシンのみに使われ、個人用のものはコンピュータとは言わず、「私はPC(もしくはパソコン)を持っています」というように違うものとして、もしくはおもちゃのようなものですという意味を暗に含ませながら遠慮して言うようになりました。

 
アップルとPC

70年代後半に、アップル社のスティーブ・ジョブズらが個人向けのパーソナル・コンピュータ「Apple II」をアメリカで販売しました。それまでもパーソナル・コンピュータはありましたが、量産で成功したのはこのApple IIからです。これ以前の試作品のようなものも含めて、主に個人が使用する簡単なコンピュータを総称してパーソナル・コンピュータ、略してPCと呼んだのは上で述べた通りです。

80年になって、今まで企業用の大型コンピュータのみに力を注いてきたIBMが、パーソナル・コンピュータの将来を見越して独自のモデルをいくつか作りました。これらのモデルの通称を「IBM PC」といい、アップルと区別するために単にPCと呼んだのが混乱の始まりです。

そして世間では「あなたは、アップル派かPC派か?」と問うようになりました。ちなみにパーソナル・コンピュータでは後発のIBMPCは先発のアップルに早く追いつくためにハードをライセンス・フリーにし、各ハードウェア・メーカーに作らせ、OSをビル・ゲーツ率いるマイクロソフトに任せ、MS-DOSやウィンドウズを搭載させました。

 
コンピュータ・ハードウェアの規模

PCがコンピュータ・ハードウェア全体の中でどのような位置づけになるか上記のように表でまとめてみました。

このようにPC(ここではパーソナル・コンピュータの意)は規模で言えば、最も小さいコンピュータを指し、最初はおもちゃのようだったものが、今ではビジネスの中枢を担うものになりました。小規模のビジネスはPCだけで十分となり、昨今のクラウドの発達によりオフィス内はPCのみ、クラウド側に大型機と中型機を置くというパターンができてきています。

また最近では同じ中型機にUNIXとウィンドウズ・サーバーを載せることができるように、OSが機械の規模を超えて使えるようになってきました。

 
タワー、デスクトップ、ラップトップ、ノートブック

デスクトップという言葉の解釈も2通りあり、1つはラップトップでないデスクトップ、持ち運ぶタイプではなく据え置き型のPCという意味。もう1つは、タワー型でないデスクトップ、すなわち縦長型でない横長型のPCと言う意味があります。

またよくラップトップとノートブックは同じ意味なのかと聞かれます。ノートブックが出たてのころのラップトップは手軽にかばんに入るような小さなサイズではなく、ラップトップの中の特に小さなものをノートブック型と呼んでいました。現在ではすべてがノート・ブックサイズですので特に区別しなくなりました。またスクリーンタッチができるものをタブレット(型)と呼んでいます。

 

 

岩戸あつし <著者プロフィル>

大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CG などへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。

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