今さら聞けないITワード 「バージョン」

 

第11回 「バージョン」

分かっているようで、実はよく分からないものが多いITワードを岩戸あつしさんが分かりやすく解説してくれる。

最近ウィンドウズ8の新しいバージョン、ウィンドウズ8.1が発売されました。8でスタート・メニューがなくなったことへの不評を受けて、この新しい8.1で、スタート・メニューを復活させたというのが一番の売りと言われています。ただ今度の8.1へのバージョン・アップは、いわゆるウィンドウズXP、VISTA、7、8とバージョンアップされてきた車で言えばメジャー・チェンジの流れとは違い、ウィンドウズ8のマイナー・チェンジという位置付けです。

バージョンとバージョン・アップ

ソフトウェアのバージョンは、書籍で言う「版」と似ています。書籍では誤植や内容修正、内容追加によってその版を重ねていきます。これと同じように、ソフトウェアもバグ修正や機能追加をするたびにバージョンが更新されます。

新しいソフトが発売された時に付けるバージョンは通常Ver.1です。Ver.1.0というように小数点を付けて書かれることもあります。例えば1985年に産声をあげた最初のウィンドウズのバージョンはVer.1.0でした。そして1987年にVer.2.0が発売され、1990年にVer3.0が発売されました。こうして車で言えばメジャー・チェンジにあたる大きなバージョン・アップに関しては、1桁目の数字を1つずつ上げていきます。そしてバグ修正や新しい環境への適応などの小さなバージョンアップに関しては、コンマ以下に数字を入れていきます。例えば1.1、1.11、1.111というように小数点以下の桁が1桁だけでなく、2桁、3桁、場合によって小数点以下10何桁付けることがあります。この場合は小数点以下の桁が多くなればなるほど小規模のバージョンアップになるということです。

また、小数点以下の桁の数字の区切りを分かり易くするために、1.0.111.123.222というように区切りに小数点の時と同じピリオドを用いることがあります。さて、突然クイズですが、バージョン0.9というのは何のことだかわかりますでしょうか?答えは正式な製品が出る前の試作品の段階でのバージョンです。

ウィンドウズのバージョンと製品名との関係

以下は、ウィンドウズのバージョンと製品名の対応表です。この表のようにバージョン名がそのまま製品名になった時期と、バージョン名とは全く異なった年号やファンシーな製品名を付けた時期があります。ちなみにウィンドウズ7のバージョンは6.1ですが、マイクロソフトの当初の計画ではバージョンも7にするつもりだったそうです。ところができ上がったものが1桁目を上げるほどの大きな変更がなかったので、小数点1桁目だけを1つ上げたそうです。ウィンドウズ8も同様にバージョンは6.2です。なお、表に記載されているNTに関して補足しましょう。かつてWindowsにはDOSから引き継いできた流れと、新しく企業用にアーキテクチャーを作り直したNTの流れがありました。2000バージョンは以降すべてNTの流れになりました。

発売年 バージョン 製品名
1985  1.0  1.0
1987  2.0-2.11  2.0-2.11
1990  3.0-3.1  3.0-3.1
1993-1995  3.1-3.51(NT)*1  NT 3.1-3.51
1995  4.0  95
1996  4.0(NT)  NT 4.0
1998  4.10  98-98SE
2000  4.90  ME
2000  5.0(NT)  2000
2001  5.1(NT)  XP
2006  6.0(NT)  VISTA
2009  6.1(NT)  7
2012  6.2(NT)  8

エディション

ウィンドウズ8とウィンドウズ8プロなどという名前の違いが目に付くこともあると思います。このプロというのは、製品のバージョンを表しているのではありません。同じウィンドウズ8シリーズの中に機能が少ないものと多いものがあり、プロと付くものは、付かないものに比べてより多くの機能を持った製品ということになります。この場合、マイクロソフトではバージョンと呼ばす、エディションと呼んでいます。別の例で、マイクロソフト・オフィス2013Home & Businessでいうと、2013というのがバージョンと対応している製品名の一部で(正式なバージョン名は上で述べたような数字の羅列になります)、Home  & Businessのところがエディションと呼ばれるものです。ところがHome & Businessをもっと機能の多いProfessionalにアップ・グレードする際に、実際はエディション・アップであるにも関わらずよくバージョン・アップという言葉が巷で使われていてとても混乱するところです。

サービス・パック(SP)とサービス・リリース(SR)

小数点以下のマイナー・バージョン・アップの場合、多くの場合サービス・パックが無料で配信されます。サービス・パックとは、1年とか2年とかという期間内にバグ修正したプログラム、周りの環境が変化してその環境に合わせるために追加したプログラムなどをためておいて、ある時期にそれをまとめてユーザーに提供するものです。ウィンドウズXPでは今までにSP1、SP2、SP3という3つのサービスパックが提供されました。マイクロソフトではまれにサービス・リリースというのが作られていました。例えばオフィス2000のSR1というのがあり、かつては違いがあったらしいのですが、現在ではどちらも同じことで、最近ではサービス・リリースという言葉はほとんど聞かれなくなり、すべてサービス・パックになりました。

 

岩戸あつし <著者プロフィル>
大学院卒業後、貿易会社を経て、コンピュータ・エンジニアとして活躍。日経CG などへの執筆、PCショーの講師を勤める。1992年、オーストラリアに移住。1994年シドニーにジャパン・コンピュータ・ネットを設立、主にシドニー在住の日本人、日本企業にコンピュータ・サービスを開始する。現在同代表取締役社長。

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