在留子女の母国語教育

QLD日本語補習授業校の窓辺から

「教えて、校長先生!」

第3回 在留子女の母国語教育

前回は、在留子女の母国語教育のために検定教科書と海外子女財団の通信教育を利用することをお勧めしました。しかし、現実にはそれほど簡単ではないと思われる人も多いことでしょう。一般的なケースについての手がかりを考えてみましょう。

ケースとして多いのは、永住家庭や国際結婚家庭で、親子の日本語会話が保たれている環境でありながらも、学習がうまく進んでいないというものです。日本語環境がある場合には、そのメリットを生かし、いかに学習言語を習得し、日本人としてのアイデンティティーを身に着けていくかが課題です。それには、子どもに母国語学習の動機づけを根気よくしてあげることが重要です。親子の日本語会話ができることだけで満足してしまったり、こちらの社会で将来も暮らすことを口実にしてしまっては前進しません。子どもが将来、日本の大学に進む可能性もあるかもしれません。

今、文科省では、「グローバル人材の育成」計画を推進しており、海外留学や英語教育、在外教育施設支援に力を入れています。日本社会はグローバル人材をますます必要としており、こちらでは当たり前の英語が日本では宝になります。これは1つの例に過ぎませんが、このような将来の見通しも学習の動機づけになるでしょう。

また、検定教科書の内容そのものへの興味は最大の動機づけになることでしょう。音楽や社会や理科の教科書の中には子どもが楽しく感じる単元が必ずあります。国語の教科書を読む場合も、親子の会話が弾む物語などを選んだらいいでしょう。国語の教科書には単元に関する本が紹介されています。補習校の図書室で借りたり、日本から取り寄せてあげれば、子どもはいつの間にか読書好きになるかもしれません。読書好きになれば、「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能が格段に進歩するとともに母語の果たす人格教育上の効果も上がります。この流れの「母国語教育」で大切なことは、日本語世界への「興味を育む」ことです。


丸山吉信
■プロフィル

日本で大学院修了後、小学校、中学校、高等学校で合計30年間に渡り、帰国子女教育、国際教育に従事。2012年3月文部科学省派遣教員として来豪。現在、在外教育施設クイーンズランド補習授業校ブリスベン校およびゴールドコースト校校長。

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