在留子女の母国語教育(6)

QLD日本語補習授業校の窓辺から

「教えて、校長先生!」

最終回 在留子女の母国語教育(6)

帰国子女の大学進学には、欧文エッセーや日本語小論文が重要であることを前回お知らせしました。今回はその基礎力が小学生の「国語」にあることについてお話し、教科書の見本を「まねて書く」ことをバイリンガルの国語基礎力養成としてお勧めしていきます。

学習指導要領は、段落学習を3年生から段階的に進めるよう組んでいます。具体的には、小学校3年生の「上」の教科書で「初め・中・終わり」という段落と文章構成を「読み」として学びます。「イルカの眠り方」の話がその例です。「初め」の部分で、イルカはいつ眠るのか、という「問い」を発し、「中」で調べたことや考えたことを説明し、「終わり」で「問い」の答えを、イルカは夜中に泳ぎながら脳を半分ずつ交代で休ませて眠っている、と結んでいます。「下」の教科書では、「初め」が「問い」ではなく、話題提示となっている説明文に接します。

この段落学習は、さらに4年生「上」の「動いて、考えて、また動く」で発展的に扱われます。

作者の元オリンピック選手は高校生の時に「ひざを高く上げて、足を思いきり後ろにける」という指導を受けたが、次第に何かが違うのではないかと思い始めたこと、そして工夫し、課題を克服した様子を書き、最終段落で「まず動く、そして考えることが大切だ」と結論づけています。

この模範文を通して児童は、考えを述べる文章を書く時は、書き手が最も言いたいことを短い言い方で題名とし、文の始めと終わりとの両方で自分の主張を繰り返すと、読む人により強い印象を与えることができる。また、初めに書かれた主張の裏付けとなる事実や理由を後に書き、その結果が結論内容に自然にたどり着いている、ということを学びます。

このように、小学国語で論理的なエッセーを書く基礎を学ぶことができるのです。教科書にはお手本の文が付いています。これらを「まねて書く」練習を繰り返せば、英語環境の子どもたちも、日本文を書くことの自信と喜びを得て、立派なバイリンガルに育ってくれるでしょう。


丸山吉信
■プロフィル

日本で大学院修了後、小学校、中学校、高等学校で合計30年間に渡り、帰国子女教育、国際教育に従事。2012年3月文部科学省派遣教員として来豪。現在、在外教育施設クイーンズランド補習授業校ブリスベン校およびゴールドコースト校校長。

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