第6回“宝探しのヒント”と“チョコレートのウンチ” イースターにまつわる変なモノたち

サマンサのとっておきシドニーライフ

サマンサのとっておきシドニーライフ

第6回
“宝探しのヒント”と“チョコレートのウンチ”
イースターにまつわる変なモノたち



 私、いつもイースター・バニーって奇妙だなぁって思うの。特大サイズのウサギが真夜中に家にやって来て、小さいウンチみたいなチョコレートの卵を家の周りにバラ撒くってすごく変よ。そう思わない ? イースターのペーガンとクリスチャンのシンボルが、コマーシャリズムと結びついて、すっごく奇妙なお祝いを作り上げてるの ! 少なくとも、私のファミリーではね。

サマンサのとっておきシドニーライフ
ビルビー(写真提供:Department of Environment and Resource Management, Queensland)

イースター・バニー自体が変なシンボルよ。どうも、ウサギが豊かな繁殖や恵みの象徴ってことになっているらしんだけど、オーストラリアではウサギはしばしば有害な動物とされているの。だから、オーストラリア風にアレンジして、ビルビーをウサギの代わりに使う人もいるわ。
 ビルビーっていうのは、小さくて毛がフワフワした有袋類の動物で、ウサギに似ているの。でも、長く尖った鼻や長い尻尾を持っているから、ウサギというよりネズミみたい ! 真夜中のイースターの配達人としては、あんまり素敵なイメージじゃないわよね。
 私のファミリーは、イースターもほかのホリデーと同じように、食事を囲む機会にしているわ。私たち、宗教的な慣習にはあんまり従わないの。教会へも行かない。レント(キリスト教の四旬節)もお構いなし。祖母はグッド・フライデーに魚だけを食べていたけれど、我が家で慣習に従っていたのは彼女だけ。だけど、私たち、チョコレートは食べるの。それもたくさん。エッグ・ハントでウサギのイースター・ウンチを見つけるのが、たいてい、私のイースターの一番好きなことね。

サマンサのとっておきシドニーライフ
今から20年前、私が小学校に上がる前のイースターのエッグ・ハントの様子

 子どものころは、ベッドから飛び起きて、裸足で庭へまっしぐらに走って行ったものだわ。草の中や木の上に隠されている、色鮮やかな包みがキラリと光るのを探したな。ブーツの中や、ニワトリ小屋の中、長靴下の中に隠されていることもあった。まさに自分たちだけの宝探しみたいで、とってもワクワクしたわ。
 私たち兄弟は、最後にはいつも平等に“卵”を分け合ったの。そして、新しい始まりと北半球の春の到来を告げるシンボルだとされてるらしい、“卵”を祝ったわ。朝食の前にチョコレートを食べるのを許されるのは1年でこの時だけなんだもの。
 大きくなるにつれて、エッグ・ハントはちょっとずつ難しくなったわ。朝起きると、母が短い詩を手書きした紙切れが置いてあるの。それは私たちを、家や庭のある地点から次の地点へと導くヒント。それに従って郵便受けの中を見ると、卵が1つと次のヒントが入っていて、物干し用ロープまで行け、と書いてある…とかね。今や、私の10歳になる双子の妹たちが、その慣習を守っているわ。
 そうそう、家で焼いたホット・クロス・バンもよく食べるわね。その甘いパンには、レーズンや果物の皮、スパイスが詰まっていて、上には十字架を象徴する十字の形が砂糖シロップで描かれているの。ある年、自分でも作ったのを覚えているわ。
 パン生地を混ぜるのにすごく時間がかかったな。こねる前に、生地が膨らむのを待たなければいけないし、小さな玉の形にした後、さらに膨らませるために、外で日光に当てなければならないの。30分後にやっと外に出てみたら、うちの犬がそれを全部食べていて…。その時はほんとにガッカリしたわ ! あの子、自分だけのイースター・プレゼントが欲しかったのかしら(笑)

サマンサのとっておきシドニーライフ
1989年のイースター。弟のトッド(左)と私

 私、イースターのプレゼントを贈るのがとっても上手だったの。イースターはたいてい4月だけど、街の多くの店では、3月の前からイースター・エッグをディスプレイするのね。だから、忘れようがないのよ。紙袋をたくさん買い込んで、小さな段ボール箱の中に並べて、干し草で埋め尽くして、最後はミニチュアのフワフワなニワトリで飾ってでき上がり。そんなプレゼント作りを、何日間も楽しんだな。
 で、おかしいんだけれど、教えもしないのに妹たちが、全く同じことをしているの。おそらくママが言ったのかな。それか、イースターの時季になると、少女たちが自然と思い付くアイデアなのかもしれない。
 そんな小さな卵とミニチュアのニワトリは、イースター・ハット・パレードではよく見かけるものね。イースター・ハット・パレードって、イースターの慣習の中で私が最も奇妙なものNo.1。由来はぜんぜん知らないんだけど、全国の小学生たちが、サークル状に練り歩いて、頭に被った、イースターを象徴する風変わりな帽子のコレクションを見せびらかし合うの。たいていツバの広い麦わら帽子で、色とりどりのイースター・エッグとフワフワなチキンがくっついているの。

サマンサのとっておきシドニーライフ

 1度、ブッシュマン・ハットのツバから、イースター・エッグがたくさん糸でぶら下げられているのを見たことがあるわ。それって牧場で働く人が、顔の周りのハエを追い払うために被る、コルク帽子にそっくりで、すっごくおかしかった。
 その15分間くらいのパレードのために、一番大変な思いをするのは親たちね。全国のお父さんやお母さんが、夜なべをして、色とりどりの卵やフワフワ・チキン、ウサギやビルビーを貼り付けたりして、できる限り鮮やかな帽子を作っているんだもの。
 日本でも、奇妙で、イースター・ハット・パレードみたいに不思議なイースターの慣習があるのか知りたいな。ともあれ、私にとってイースターには、永遠に変わらないものが1つあるの。
 それは…チョコレートの朝ご飯(笑)。

サマンサのとっておきシドニーライフ

イースターって何 ?
 キリスト教最古のお祭りで、十字架に架けられたイエス・キリストが、数日後に復活したといわれることを祝う。
 日付けが変わる祝祭日で、毎年3月21日から4月24日の間、「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められており、その週末の前後の金曜日(グッド・フライデー)から月曜日(イースター・マンデー)までがホリデーになる。今年は4月4日(日)のイースター当日を挟んだ2日(金)〜5日(月)までがイースター・ホリデーにあたる。
 イースターという名前の由来だが、北方神話の春の女神 「Eostre」に由来するといわれ、寒く暗い冬から、草木が芽吹き動物たちが繁殖する春へと移り変わる様が、イエス復活のイメージと重なり普及していったとみられる。
 イースター定番の2つのシンボルは、卵(イースター・エッグ)とウサギ(イースター・バニー)。生命や復活を象徴するものとして卵が使われ、それはウサギが運んできたとされている。子だくさんのうさぎは、古代より繁栄・多産を象徴している。
 カラフルな紙や布やペイントで卵を彩って家に飾ったり、庭に卵を隠して子どもに探させる「エッグ・ハント」や、卵をスプーンに乗せ、落として割らないようにレースする「エッグ・レース」などが人気の風習だ。
 では皆さん、Have a Happy Easter holiday(楽しいイースター休暇を) !


プロフィル
Samantha Holland

シドニー大学ではジャーナリズムとコミュニケーション学を専攻。「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙の書評コーナーに記事を寄稿するほか、本紙別冊の英字誌「jstyle(ジェイスタイル)」では編集長という大役も務める23歳。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る