第7回 シドニーに秋がやって来た

サマンサのとっておきシドニーライフ

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第7回
シドニーに秋がやって来た



 私、夏が大好きなの。太陽を肌で感じるのが好き。ビーチやバーベキューでのんびりくつろいだり、友達と散歩したりするのもね。秋になるとやって来るのが、サマー・タイムの終わり。でもこれ、私はいつも戸惑ってしまうの。

 そもそも、こういう形で時間を変えてしまえること自体が、かなり独断的という気もするけれど、それは置いておくとして、やっぱり体内時計が狂ってしまうわ。1時間得をして、朝の寒さもそれほど厳しくはなくなるけど、一方で仕事が終わるともう暗くなっていて、帰宅するころには真っ暗ということなのよね。
 日はどんどん短くなって、暗い夜はますます長くなっていくけれど、寒くなることにもプラス面はあるわ。私、秋の色が大好き。落葉樹が、赤やオレンジ、黄色、それに時々は紫まで、美しい色をつけていくのよ。緑を眺めるのも好きだけど、秋の色が現れてくると、何か感動的なものを覚えるわ。まるで、木々が冬になって枯れてしまう前に、有終の美を飾ろうとしているかのよう。

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紅葉に染まる秋のブルー・マウンテンズ(Photo: Tourism Australia)

 私は高校生のころ、シドニー西郊のノース・リッチモンドという、あまり大きくない町で暮らしていたの。私が住んでいた通りは並木道になっていて、夏の緑は最高に素晴らしかった。それが秋になると、温かみのある色が揺らめくパレットになるの。そのころの私は毎日、学校から歩いて帰っていたわ。その日に校庭やバスで起こった出来事なんかを考えながら、落ち葉が敷かれた道を歩くの。特に、落ち葉を踏んだ時のパリパリという音を聴くのが楽しかった。
 時には1人で、パリパリ踏めそうな葉っぱがあるところだけを歩く、というゲームをしたこともあったわ。このゲーム、葉がちょうど落ち始めたころはかなり難しいんだけど、冬に向けて落ち葉がどんどん増えるにつれて、簡単になっていくの。
 それと、シドニー近郊で最も秋の訪れを感じられる場所といえば、やっぱりブルー・マウンテンズね。特に“花の町”ルーラは、可愛らしい家々の庭に季節の花が咲き乱れる町並みはいつ行っても癒されるけど、町全体が紅葉に染まる秋は、訪れるのに一番好きな季節。オープン・エアのカフェでのんびりとお茶を楽しむのが、私のお薦めの楽しみ方ね。

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最近お気に入りの「シュート」は秋にピッタリの靴

 今、私は都会に住んでいるから、落ち葉をパリパリ踏んで遊べるところは限られているけど、秋の新しい楽しみもあるのよ。それは、ファッション。
 私、スカーフとブーツ、それからコートとファンキーな帽子が大好きなの。秋になるとたいてい、赤や紫、茶色のような、濃い目で深みのある色にシフトしていくのよ。少し前にホリデーで日本に行った時は、冬物のファッションにすごく刺激を受けたわ。どれもこれも試してみたい ! それから、夏物の黒のショートパンツを今も愛用しているわ。肌の透けない黒のタイツを下に履いて、秋の通勤着として活用しているの。今度は柄物のストッキングと合わせてみようかしら。このショートパンツは、いつまでも使える気がするわ !
 最近は、スカーフにもちょっとはまっているの。目標は、全色1枚ずつそろえること。そうしたら、全部を収納する場所を探さなきゃならないけど ! この前は、すごくいい秋物の靴を買ったのよ。靴というか、靴とブーツの中間のようなものだから、「シュート」と呼ぶことにするわね。これ、暑い時季と寒い時期の間にちょうどいいのよ。黒の皮で、ヒールの周りはスウェード。足首までしっかり覆うのだけど、つま先だけちょっと開いてるの。そして、かなりのハイヒール。ひと言でいうと、美しいシドニーの秋を楽しみにしているシングルの女子にぴったりの靴なのよ !

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「De Nom」

 この靴を履いて行きたい場所も変わっていくわね。夏はプール・サイドでのパーティーや、そういうパーティーを主催するクラブ・イベントが目白押しだけど、秋はもっと落ち着いた雰囲気を楽しむ時季だと思うの。ダーク・ウッドの家具にビロードの装飾、雰囲気のある照明がそろったところを見つけたいな。暖炉なんかあったら最高じゃない ?
 そんな感じに近いのは、私が思いつくところではオックスフォード・ストリートの「De Nom」ね。しばらく行ってないんだけど、期待を裏切らないといいな。クラウン・ストリートにある「Tokonoma」も素敵よ。あの有名な「Toko」の隣にある系列店なの。チェックしてみようって、友達にまた声をかけなくちゃ。新しいヒールの靴が、もう待ちきれずにいるんだもの。
 それから、映画を観に行ったり、暖かなレストランでボリュームたっぷりのお料理を楽しんだりすることも増えそうね。だからこの時季は、サマー・タイム終了後の1時間だけじゃなくて、体重まで何キロか増えるのも、当然のことなのよね。
 私の場合、秋は夏に比べて、走ることも泳ぐことも遊び歩くことも少なくなるけど、秋のスポーツにも好きなものがあるのよ。ネットボールとかね。私、ネットボールをしたいという自分の気持ちに改めて気が付いたの。冷え込む夕方、ハードな試合の後に、自分の吐く息が白い湯気になるのを見ることでさえ、楽しいのよ。
 こんな感じで、寒さなんか忘れて、この季節ならではの楽しみに目を向けようと思っているの。そして、毎年そうしているように、次の夏が巡ってくるのを辛抱強く待つことにするわ。
今月の気になるフレーズ
Meet Bludger
怠け者にこんにちは

 この前、仕事中にトルコ出身の友達と話していたの。彼にとって英語は第2言語。私たちは休憩がてら、下の階へバナナを買いにいったのね。そこで私が「すぐ戻らないとね。 Bludgerっぽく見られたくないもの」と言ったら、彼が「Bludgerって何?」と尋ねてきた。これが、今月の言葉を決めたきっかけだったの。
「Bludger」って、オーストラリア独特の言葉だと思うわ。怠け者で、一生懸命働こうともせずに、ほかの人の努力や親切の恩恵に預かろうとする人のことを指すの。
 秋には、そして冬になればもっと、この「bludger」な人たちが増えているのを実感できると思うわ。特に家の辺りでね。だって、あまりにも寒くて、家でぬくぬくしながら好きな映画を観ることくらいしかできないんだもの !


プロフィル
Samantha Holland

シドニー大学ではジャーナリズムとコミュニケーション学を専攻。「シドニー・モーニング・ヘラルド」紙の書評コーナーに記事を寄稿するほか、本紙別冊の英字誌「jstyle(ジェイスタイル)」では編集長という大役も務める23歳。

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