インタビュー:ゴールドコーストで日本人生徒をサポート

シリース
西南学院大学の短期留学生とスーさん(写真中央)

 
STYLE
人の個性や生き方、人生観、価値観、夢な どによって形成されるライフスタイルのほ か、街のスタイル、ファッション・スタイ ル、食のスタイル…など、世の中にはさま ざまなスタイルがある。QLD州で見つけた “ほっと”なスタイルとは。
 
 

多くの人に助けられた日本での経験を生かし
ゴールドコーストで日本人生徒のサポートを続ける
 
スーザン大堀さん Suzanne Ohori

 
 オーストラリアへ来たばかりのころは誰でも異文化 に戸惑い、母国語ではない英語での生活に苦労するも のだ。そんな時、日豪両国の文化への深い理解を持つ オーストラリア人が身近にいたら、どれだけ助けとな るだろうか。州立の職業訓練校、ゴールドコースト・イ ンスティチュート・オブ・テイフ(TAFE)のサウスポー ト校で働くスーことスーザン大堀さんは、日本人学生 や移住してきたばかりの日本人をサポートするコー ディネーター。日本で10年以上生活し、日本人の夫と の間に生まれた5人の子どもを両方の国で育ててきた経 験を生かして、2国間の橋渡し役を努めている。

 
——どうしてそんなに日本語が上手なんですか ?
 
  25年くらい前、17歳の時に、ワーキング・ホリデーで 山口県の湯本温泉に行きました。それまでは、日本語 もぜんぜん話せなかったんです。湯本温泉の大きなホ テルで働き出したのですが、あの辺りはほとんど外国 人がいないような場所で、小さな辞書をいつもポケッ トに入れて6カ月間なんとか生き延びました(笑)。
 最初のころはお箸も上手に使えなくて困りましたが、 お腹が空いてしょうがないから、わりと早く上手に食べ られるようになりましたね。買い物も大変でした。
 商品のラベルがみんな日本語なので、何が書いてあ るのかちっとも分からなかったんです。でも周りの皆 さんが親切で、大切な友人もたくさんできました。別 れた主人ともそのころに出会って、プロポーズされ、 1990年に結婚しました。
 その後はオーストラリアでしばらく暮らしていまし たが、上の子が2歳の時に日本へ帰って、こちらと行っ たり来たりしながら、10年以上日本で生活しました。 5人の男の子を授かって、日本で保育園や幼稚園、小学 校などに通わせてきたんです。
 お餅つきや保護者会などにも出席したり、ほかの日 本人のお母さんたちと同じように生活して、友人もた くさんできました。小さな町でしたが、皆さん本当に 親切で良いところでした。でも、女友達とランチを食 べたりすると、家に帰って「今日あそこでランチ食べ てたんだって ?」なんて、主人にすぐばれてしまうよう なところもありました(笑)。
 そんな風に日本で過ごすうちに、日本語もかなり上 手になっていきました。上の3人の子どもは、日本語と 英語をしっかりと使いこなせるようになり、後に、大学で日本語のオナーズ(注:学位に追加される研究)も修めることができました。
 
——日本の教育機関に子どもを入れて、戸惑ったこと はありましたか ?
 

シリース
日本での経験を生かし て、日本人学生のサ ポートを続ける

 日本の教育機関は「こうしなくてはいけない」と私 たちの生活をコントロールしようとすることが多いよ うに思います。例えば、小学校への登校。我が家は学 校から徒歩で45分もかかるような所にあったのです が、どんな時もとぼとぼ歩いて行かなくてはいけない という決まりになっていたんです。途中で何か事故に 遭ったら、誘拐されてしまったらと、気が気ではあり ませんでした。
 私は親として、子どもが学校に行くなら、学校でも登 下校中でも、いつも安全な場所にいるということをきち んと知っていないといけないと思うんです。「きっと大 丈夫」で何かあってからでは遅いですから。
 オーストラリアでは子どもの送迎は親がする習慣が あることを校長先生に説明したこともありました。そ の時は聞き入れてもらえませんでしたが、ある日、ほ かのお子さんが行方不明になる事件があって。そした ら校門のところで校長先生が「すみませんでした。今 ならあなたの考え方が理解できます」とおっしゃって くださいました。ずっと同じやり方でやってきたもの を、途中で変えることは難しいです。でもそれ以降 は、私たちが子どもの送迎をすることを認めていただ けるようになりました。
 
——オーストラリアの教育についてはどう思いますか ?
 
 オーストラリアでは、学校ではなく、親自身が子ど もの教育をもうちょっとコントロールできるような気 がします。教育に関するストレスも日本よりは少ない と思います。
 高校生になっても、塾に行って勉強漬けになるだけ の生活ではないですし、日本よりも勉強とスポーツな どをバランス良く楽しめるのではないでしょうか。
 でもこちらは、日本のような給食がないのが本当に 残念です ! 子どもたちが冷蔵庫で冷たくなったランチ を毎日食べるのではなくて、栄養価が高くバランスか整っていて、できてからあまり時間の経っていない温 かいごはんを学校で食べられるなんて、なんて素晴ら しいシステムでしょう。
 
——現在はTAFEでどんなお仕事をしていますか ?
 
 今はサウスポートのゴールドコースト・インスティ チュート・オブTAFEで海外留学生のサポートをしてい ます。日本で自分がいろいろ助けられた経験が、志を 持ってオーストラリアにやって来る方のサポートをす るこの仕事に生きていると思います。
 先日も、日本から短期留学でやって来た方が病気に なったのですが、一緒に救急車に乗って、ドクターに あれこれ説明してあげることができました。どんなこ とでも問題があれば、私のところに来て相談してもら えるよう、気を配っています。
 永住権を取ったばかりの日本人の中には、政府から無 料の英語レッスンを受けられる方が多いのですが、そう いった方々もまだ移住してきたばかりですので、オース トラリアで生活していく上でのサポートをしています。
 TAFEで英語の勉強をしていた方が、頑張ってTAFEの 一般コースや大学に進学することも多くて、そんな時 はとても嬉しく、誇らしく思います。特にここでは、 ホスピタリティーや看護、ビジネス、IELTSなどに特化 した専門英語コースがあるので、進学や就職にたいへ ん役立つと思います。
 英語の勉強そのものだけでなく、学校に行くといろ んな友人ができ、学校で学ぶ以上に英語の上達が早く なるきっかけを得るものです。私自身も、友人を作る ことが一番の日本語の勉強になった経験があるので、 皆さんにもぜひTAFEを通じてそんな体験をしてもらえ たら、と思います。
 これから永住権を取りたいと考えている方も、オース トラリアのスキル不足を埋めるような仕事のリストが移 民局から出ているので、それをよく検討しながらTAFE のコースを選んで、ぜひ将来につなげてください。
 ぜんぜん英語を話せない方も、ある程度話せてさら にスキルアップを考えている方も、どんな方でも受け 皿があるので、私のような日本語スタッフのサポート を利用しながら頑張っていただけたら嬉しいです。

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