【WH日記】パフォーマーの聖地から世界へ - 本田尚之さん

第22回

がんばるワーキング・ホリデー・メーカーにフォーカス

みんなの「ワーホリ・ダイアリー」

オーストラリアでがんばるワーキング・ホリデー・メーカーを毎月紹介。

 

今回登場のワーホリ・メーカーは?

本田尚之さん

1987年生まれ・熊本県出身ダンス主体のストリート・パフォーマンス団体「ナニコレ? 劇団」(Web: www.facebook.com/nanikoregekidan)のMarioとして、世界中の舞台を目指して活動中。

パフォーマーの聖地から世界へ

言葉を発さないロボットのような動きとダンス、銀色のマスクを着けた一見得体の知れない佇まい。ダーリング・ハーバーなどシドニー各所でストリート・パフォーマー“Mario”として観客の目を釘付けにする本田尚之さんは、マスクを外すと一転して気さくな素顔をのぞかせる。「海外でパフォーマーとして大成したい人にとって、オーストラリアは聖地のような場所。多国籍環境で、誰もが子どものころからバスキング(編注:投げ銭を伴う大道芸や音楽などのショー)の文化に親しんでいて楽しみ方を知っているんですよね」と話す本田さん。日本ではダンスを中心としたパフォーマンス・ユニット“ナニコレ?劇団”を主催し、プロとしての活動歴を持つ。その活動を一時休止し、修行として単身でシドニーにやって来たのだという。

ダンスを始めたのは大学のころ。「多くの人にダンスの魅力を知ってほしい、感動させたい」という思いから、ダンスの大会で出会った相方と一緒に社会人2年目に“ナニコレ?劇団”を始動させた。彼らの街頭パフォーマンスを見た人々の「何これ?!」という興味津々な声が命名の由来だとか。

「大学卒業後はダンスとは関連のない一般企業の営業マンをしていて、数年後には家を建てられるくらいに待遇も良かったのですが…。でも『これでいいのか』と何かが引っかかっていて。本当は新しいチャレンジをして人生に波を作りたい。そんな時に結成したのが“ナニコレ?劇団”です。2人で演じると表現の幅が広がり、1人でやるのとは違った世界観ができていく」と、仮面と衣装をまとった本田さんは相方とともに地元九州を拠点にパフォーマンス活動を展開。その存在は口コミで次第に広まり、お祭りや政治家のイベント、結婚式や介護施設の慰問など多くの出演依頼が来るようになった。

目標はアポロ・シアター

「ニューヨークにあるアポロ・シアターの舞台に挑戦することが、今、夢ではなくて目標です。観客による審査で、世界中のパフォーマーたちがその腕を競う。そこにたどり着くために、海外でのパフォーマンスについて体で勉強したくて、ワーキング・ホリデーを利用して今年シドニーに来ました」と本田さん。相方を日本に残し、1人用の新ネタを用意する。すべてはユニットで世界を目指すため。来豪3日目で街頭に立ち最初のパフォーマンスをするも、マネー・ハットに入ったコインはたったの3ドルだったという。

「感性も笑いのツボも日本とは違う。そんな中で活躍するほかのパフォーマーを見て学んだり、相談したり。シェアハウスにこもってネタ作りに試行錯誤する時間を経て、自分は観た人に『何かを考えさせる』ようなものがやりたいと、より明確になっていきました」

笑わせるネタから戦争を描くストーリーまで、幅広いパフォーマンスで魅せる本田さん。毎週末ダーリング・ハーバーなどで活動中

人の心を動かすパフォーマンスを

この国で多いのはラストで華やかに盛り上がるパターンのショーだが、本田さんが目指したのは、“感動”で終わるパフォーマンス。「ウケないよ、と言われていたんです。でも戦争のむごさをストーリーにして演じた時、号泣しながら観てくれたお客さんもいて、『Vivid Sydney』のころには1日400ドルを超えるくらいの稼ぎになりました。また、普段は通行人やパフォーマーを取り締まるレンジャーが、演技を観てわざわざ場所を確保してくれたことも嬉しかったです」と、この国でも感動を伝えられることを実感できる日が増えたという。

しかしストリート・パフォーマンスの反響は天候などにも左右され、なかなか人が足を止めてくれない日もある。それでも「お客さんが少ない時も、必ず日本式にお辞儀をしてパフォーマンスを締めくくります。観てくれた人に対して、ここで演じられたことに対して、きちんと感謝を伝えたいので。そしてこれからも夢や目標を持てない人の前にたくさん立って、体1つで感動を届け続けたい」と言う本田さん。早ければ来年にも“ナニコレ?劇団”としてニューヨークに向かうという。世界中のあちこちでパフォーマンスの終わりに深く一礼する彼の姿が目に浮かぶようだ。

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