【WH日記】ローカル店で腕を磨く日本人理容師 – 伊藤穣司さん


ローカル店で腕を磨く日本人理容師

第30回 今回登場のワーホリ・メーカーは?


伊藤穣司さん


1994年生まれ・熊本県出身
子どもの頃から実家の理髪店を手伝い、アルバイトで3年、フルタイムで4年勤務しながら通信教育で理容師の国家資格を取得。「スタイルを提案する床屋」としての勉強のため、2015年11月に来豪。趣味はダンスと音楽鑑賞。


シドニーに4店舗を構える理髪店「Style Plus」で唯一の日本人理容師として働く伊藤穣司さんは、オーストラリアに来て約5カ月になる。「実家が床屋なのですが、両親の店を継ぐのではなく、自分で店を出すことを前提にセンスを磨くためにオーストラリアに来ました」と話す。ワーキング・ホリデー(WH)の滞在先としてこの国を選んだ理由は、訪れたい店があったことだそうだ。

「日本や欧米などではここ数年、おしゃれな床屋がブームになってきています。ただ髪を切りひげを剃るだけでなく、ライフスタイル全体を提案するようなタイプのバーバー。そのブームの発信元となったのはカリフォルニアの『Hawleywood’s Barber Shop』という、40年代のクラシカルな世界観が売りのお店で、シドニーのニュータウンにも支店があるんです」

シドニーで理容師として働く

伊藤さんはシドニー到着直後から、ローカル店で働くべく気になる理容室を見付けてはレジュメを配ったが、簡単には反応が得られなかったと言う。

「シドニーは他にも格好いい床屋がたくさんあって、街を歩き回っては髪を切りに行ったり写真を撮ったりしていました。けれど自分の技術を見て判断してもらうチャンスまでなかなかつながらなくて」と伊藤さん。それまで目を向けていた店以外にも挑戦することに決め、道具を一式持って出向いたのが今働いている理容室なのだと言う。

「シティの中心部にあり、仕事の合間や帰りに寄るお客さんの多い店です。『働かせてほしい』と言うと、僕の技術を見るためにその場で1人の男性客のカットを任せてくれたんです。オーストラリア男性に多いスーパー・ゼロというごく薄く刈り上げるヘア・スタイルで、日本ではあまり慣れていない理容師も多いですが、仕上がりを見たボスが翌日に採用を決定してくれました」と、来豪から約2週間で伊藤さんはフルタイムの理容師としての生活をスタートさせた。

お客さんが名前を覚えてくれる

週に5~6日、朝10時半から夜7時半までの勤務で、顧客層は幅広く下は4歳くらいから上は年配者まで。週末より平日が忙しく、多い日には1人で40数名のカットを担当することもあるというからその多忙さは想像に難くない。仕事は日給制で、勤務開始から3カ月でボスは伊藤さんの日給を30ドルほどアップさせた。

「働き方について何か決める時、『これでお前はハッピーか?』とボスはいつも尋ねてくれて、1人ひとりを尊重してくれているのを感じます。個人主義の国なので、スタッフは皆、技術者としてのプライドもあり競争も激しいですが、アラブ系オージーのボスをはじめ同僚に恵まれて楽しく働いています。自分も髪を切ってもらいにあちこち行きますが、スタッフによってサービスが全然違うのが面白いところ。ローカルの技術者も想像以上に上手で、ただアジア人の髪の扱いには慣れていない人もいますが、バリカンの使い方は皆うまいですね。ハサミ使いやひげ剃りの技術は僕も褒めてもらうことがあり、鍛えてくれた両親に感謝しています」

当初、複数の支店に日替わりで勤務していた伊藤さんだが、ある時を境にタウンホールの店舗の固定シフトになった。

「あのハットをかぶった日本人はいる?」と、伊藤さんを指名する顧客が増え始めたからだ。

「お客さんは、カットが気に入ると次回のためにスタッフの名前を尋ねます。日に数人はリピートのお客さんが来てくれて、『ジョージ』と名前を呼ばれることが今すごくうれしいです。英語が流暢ではないので、お薦めの髪型を聞かれて戸惑うことなどもありますが、しっかり目を合わせて意思の疎通を図るよう心がけています」

ラッキーを引き寄せるのは自分

伊藤さんのWH生活は間もなく折り返し地点。ローカルの繁忙店で働く毎日は貴重だが、シドニーに留まるか考えているところだと言う。

「メルボルンも良い床屋が多く、文化的にも興味深いです。スカのミュージシャンのようなイギリス系のスタイルが好きなので、ロンドンやアイルランドにも行きたい。ラッキーを引き寄せるのは自分の選ぶ行動次第だから、この国でやれることも、自分が将来持つ店のスタイルも、よく考えて決めたいです」

豪州に来てからこれまで以上に自分と対話する時間が増えたという伊藤さん。どんなスタイルを発信する理容師として成長していくのか、彼のこれからが楽しみだ。

「ワーキング・ホリデー・メーカー」募集中!
自薦、他薦は問いません! 「推薦理由」など、詳細をお書き添えの上、編集部(nichigopress@gmail.com)まで。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る