【WH日記】ワイン樽を芸術に変えるアーティスト – 山下亮太さん


ワイン樽を芸術に変えるアーティスト

第40回 今回登場のワーホリ・メーカーは?


山下亮太さん


1987年生まれ・佐賀県出身
芸術大学を卒業後、中学校での非常勤講師の勤務を経て、ワイン生産・販売を学ぶためフランスへ。日本帰国後に酒屋で働き、豪州のワイン生産者との出会いを機に渡豪。現在は、アデレードを拠点にワイン生産・販売の勉強に加え、彫刻を中心とした芸術活動を行う。


使い終わったワイン樽を彫刻刀・のみ・木槌で彫刻し、あっと驚く芸術作品を作り上げるアーティストの山下亮太さん。現在、オーストラリアのワイナリーやレストランを回り創作活動を続ける山下さんだが、今の姿は4年前には想像もしていなかったという。

芸術大学を卒業後、山下さんは美術の非常勤講師として中学校に勤務したが、その中で「芸術の仕事で食べていくのは難しい」と感じ創作活動への情熱を失っていく。

しかし、そんな山下さんにとってある経験が新たな道に進むきっかけとなった。

「大学生のころに果物屋でアルバイトをしていて、その仕事を通してワイン生産者の方と直接話す機会がありました。その中で、芸術はビジネスという要素を抜きにしても成り立つかもしれないが、ワインは生産の上で『販売』という表現が不可欠なんだと気付いたんです。大学生当時ワインにはまっていたこともあり、そのころワインの生産・販売に対して興味を持ちました」

その経験が山下さんの心の中のいろいろな思いをワインという分野へと向かわせた。「自分の表現方法を変えよう」と山下さんは芸術から一度離れてワイン生産・販売を学ぶことを決断する。

思いがけない芸術への復帰

4日から1週間をかけて制作される山下さんの作品
4日から1週間をかけて制作される山下さんの作品

ワイン生産・販売を勉強するために、山下さんはワーキング・ホリデーを利用しフランスへ渡った。

勉強のために訪れたあるワイナリーで、ブドウの収穫後の試飲会でのこと。山下さんはワイナリーのオーナーからテーブル代わりに使っていたワイン樽にペンキで絵を描くように勧められた。しかし、ペンキの化学物質のにおいが元々苦手だった山下さんは、その時「たまたま持ってきていた」という彫刻刀で1つの作品を彫り上げた。その作品を見た周りの人たちは「こんなの見たことない」と大いに驚いたという。

「帰国後は酒屋で仕事をする予定だったので、ワインの知識を蓄えておこうと思っていました。そこで、可能な限りの数のワイナリーを訪ねていたんです」と当時の生活を語る山下さんだが、その作品を機に訪れた先々のワイナリーで樽彫りの申し出が舞い込み、作品作りを続けるようになった。一度は外れた芸術という道に、思いがけない形で戻っていたのだった。

オーストラリアへ

フランスから帰国後、酒屋で働き始めた山下さんだったが「今度はヨーロッパを広く回りたい」と次なるプランが既に頭にあった。「フランス語だけだと心もとないから英語も必要」と感じていた山下さんはそのころ、地元・佐賀県のバーにワインのプロモーションに訪れていたアデレードの生産者との幸運な出会いを果たす。「英語の勉強だけでなく、ワイン生産・販売の勉強もできる。芸術活動も続けられるのでは」、そう考えた山下さんはワーキング・ホリデーで2カ国目となるオーストラリアへ活動の場を移した。

現在、山下さんはオーガニック・ワインのワイナリーを中心に回り、その中でワインの勉強と創作活動を続けている。食事と住居をワイナリーから提供してもらい「作品づくりのギャラはチップ程度」の生活だと言うが、山下さんは今の暮らしに大きな喜びを感じているという。「1日8時間くらい制作をします。作品づくりという1つのことに没頭できる、大好きな時間です。この何かに夢中になり作品も残るという喜びからは離れられないですね」

アーティストとして突き進む

オーストラリアでのワーキング・ホリデーも間もなく終わりを迎えるという山下さん。彼は、その先を確かなビジョンを持って見つめている。

「今後はヨーロッパ全土にある自分の好きな生産者や産地を巡りたいと思っています。その後は、できればフランス・オーストラリア・日本に活動拠点を築き、そこを中心に作品を生み、アーティストとしての道を深く突き進むのが将来の目標です」

ワイン樽から再び始まった“アーティスト・山下亮太の道”。彼の作品が世界中の人びとを驚かせる、そんな光景が楽しみだ。

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